忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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金勘定>プライドの裏側を邪推してみる

2004年11月01日 | 業界四方山話
一流の板前が一流の料亭を経営出来るわけではない。
一流の選手が一流の監督になれるわけでもない。
プライドと金勘定のどちらを優先するのかは、どこの世界でも頭の痛い問題だと思う。
今日(11月1日)、カプコンの代表作「バイオハザード」シリーズ最新作、
「バイオハザード4」のマルチプラットフォーム展開が発表された。
GC版は予定通り2005年1月27日発売、PS2版を2005年末に発売予定とのこと。

「バイオハザード」というタイトルに特別な思い入れのない私にとって
今回のニュースはさほど衝撃的ではなかったが、
「『バイオハザード』シリーズは今後はGCで独占供給します」と高らかに宣言し、
任天堂の宮本氏ともがっちりと固い握手を交わした同シリーズのプロデューサー、
三上氏に対して今後巻き起こるであろう、各方面からの強烈なバッシングを思うと
他人事ながら同情を禁じ得ない。
特定の機種に肩入れする、いわゆる「信者」の方々からA級戦犯扱いされることは必至だ。

カプコンの「独占です」→「嘘でした」のオオカミ商法は何も今に始まったことではない。
PSでリリースされた初代「バイオ」も、当初はPSのみの独占供給だと言われていた。
当時のライバルマシンであったSSとはハードの能力に差があり過ぎて移植は不可能と言われていたのだ。
が、結局あっさり移植されてしまった。
「コードベロニカ」もやはりDC独占と言われていたが、完全版はPS2にも移植された。
そして、GCでの独占供給を発表、
多数のPSユーザーががっくりと肩を落としかけたが、「アウトブレイク」がPS2で発売。
「バイオ」とは直接関係ないが、「ビューティフルジョー」や「Killer7」なども
当初はGCオリジナルとして発表され、後になってPS2版の発売が決まった。
繰り返される狼少年・カプコンの発表に一喜一憂するシリーズファンからすれば
最早呆れて物が言えない状態だとは思うが、この前言撤回劇が
ほぼ毎回「カプコンがいよいよヤバいらしい」という噂が流れた後であることを思うと、
1本の売り上げが最低でも数十万を見込める稼ぎ頭故の「縛り」を感じる。

クリエイターからすれば、産み落とす作品は我が子同然であろうし、
だとすれば少しでも環境の良い産院を選ぶのは道理である。
(あくまでも親の目から見た、という意味であり、GC>PS2という意味ではない)
GCへの独占供給を発表した当時の三上氏のインタビュー記事からは、
社内から相当の反発を受けたことと、それでも自分はこうしたいのだ、という強い信念を感じた。
あれだけの発言を翻すのは、三上氏が相当なタマか、相当のお家事情かのどちらかしかあるまい。
最近のカプコンは、夏に不良在庫を数百円で大量に吐き出したかと思ったら、
コーエーのお家芸でもあるセット販売を「鬼武者」や「バイオ」を使って作ってみたりと
会社全体が逼迫した事態であることは容易に想像がつく。
産院を選ぶ前に、帰る家が無くなってしまっては元も子もない。
三上氏なりに悩んだ末の決断であったと思う。

カプコンは、シリーズ物や版権物が幅を利かせる中、
未だにオリジナルの新作をそこそこのレベルで発表し続ける希有なメーカーである。
孝行息子の使い回しでどこまで巻き返せるか分からないが、頑張ってほしい。

コメント (25)
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