忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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母は強し!は世界共通「Mr.インクレディブル」

2004年11月22日 | 作品紹介(映画・ドラマ)
■DVD:「Mr.インクレディブル (ピクサーころころアート・ボックス 付き)」

きっとピクサーはずっとこういうのをやりたかったんだと思う。
ドリームワークスが手掛ける「シュレック2」の好調を横目に見ながら
「ふんっ、あれぐらい自分達にも出来るわい!」と爪を噛んでいたのではないか。
過去のディズニー×ピクサーではあり得なかったブラックなテイストを盛り込みつつ、
いつも通りファミリーでもきちんと楽しめる。
今回はピクサーの持ち込み企画ということなので外すわけにはいかなかったのだろう。
自らに課した高いハードルを見事にクリアした快作に仕上がった。

内容は、「スパイキッズ」を手本にしたようなキャラクター設定、
「スパイダーマン」などのアメコミ映画を思わせる勧善懲悪のストーリー、
「007」シリーズを思わせるアダルトな演出など、
アメリカ人好みの要素がたっぷり詰め込まれているので、
既に公開中のアメリカで「ファインディング・ニモ」を超える快進撃を続けているのも納得だ。
各キャラクターの特殊能力については
「サイボーグ009」や「ワンピース」から拝借したのではないかという気もするが、
「きっと偶然の一致だよね」ということで流しておこう。

今回最も活躍するのは、主役のMr.インクレディブルではなく、
元イラスティガールであるMrs.インクレディブルだ。
だらしない亭主の尻を叩き、長女ヴァイオレットの悩みに先輩として接する一方で、
暴れたい盛りの長男ダッシュの首根っこもしっかり掴んでいる。
中盤以降はゴムゴムの実を食べたに違いない伸縮自在の体を駆使して大活躍を見せる。
パッとしない図体のデカいパパより
小柄なママがテキパキと家族を束ねるのは世界共通なのかも知れない。
家族のピンチに誰よりも力を発揮するのはやっぱりママなのだ。

「ビックリすることが好き」な三輪車に乗った子供や、
エドナ・モードが「マントは使わない!」と断固として譲らない理由、
家族で唯一普通なジャック・ジャックなど、
伏線に対するオチの付け方もいちいちシャレが効いている。

唯一の難点は、スーパーヒーロー時代のインクレディブルの相棒である
フロゾンというキャラクターの存在意義がもうひとつ薄いことだ。
序盤と終盤に少しずつ出て来るのだが、どちらも単に賑やかしに出て来ただけに見えてしまう。
見た目も特殊能力もかなり目を引くキャラクターなので、
あの程度にしか活躍しないのは勿体ない。
インクレディブル以外の家族と絡むエピソードがひとつでもあれば
グッと魅力的なキャラクターになったと思うのだが。

破竹の勢いで拡大するドリームワークスのCGアニメに「待った」をかける傑作だとは思うが、
毒気0(ゼロ)のディズニー映画を期待して劇場に足を運んだ人の中には
「死ぬ」「殺す」という台詞に驚く人もいるだろう。
個人的にはディズニー×ピクサーの最高傑作だと思ったが、さて。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:Mr.インクレディブル
    配給:ブエナビスタ・インターナショナル
   公開日:2004年12月4日
    監督:ブラッド・バード
   出演者:クレイグ・T・ネルソン、ホリー・ハンター 他
 公式サイト:http://www.disney.co.jp/incredible/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (8)
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