忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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シナリオも演出もチープ過ぎる「サイレン FORBIDDEN SIREN」

2006年02月06日 | 作品紹介(映画・ドラマ)


東宝
サイレン スペシャル・エディション

「サイレン FORBIDDEN SIREN」は、
PS2用のホラーゲーム「サイレン」をベースに
サイコサスペンスとして映画化した作品である。
監督は、人気ドラマ「ケイゾク」「トリック」等を手掛けた堤幸彦。

【ストーリー概要】

 持病を持つ弟の転地療養のため、
 父と共に夜美島に引っ越してきた由貴(市川由衣)は、
 隣家の住民(西田尚美)から
 「サイレンが鳴ったら外に出てはいけない」と謎の警告を受ける。
 島民の視線に不気味さを感じる由貴にとって、
 弟の主治医である南田(田中直樹)だけが頼りだった。
 次第に募っていく不安の中、ついにサイレンの音が鳴り響く。

初めに断っておくと、これは「ホラー映画」ではなく、
あくまでも「サイコサスペンス」なのであって、
ゲーム版「サイレン」のような恐さを期待してはいけない、ということだ。

それにしても、「サイコサスペンス」と銘打つ作品は
何故こうもシナリオが完全にパターン化してしまうのか。
多■■格や妄■だけで全てを片付けてしまうパターンは
いい加減止めるべきだろう。
伏線の張り方から種明かしまで全てがおざなりで、
やっつけ仕事にも程がある。
全体的には出来損ないの「箪笥」のようなシナリオで、
そこに「シャイニング」っぽいトリックや、
「着信アリ」(劇場版の1作目)、
「ハイド・アンド・シーク」のような要素をプラスして
一丁上がり、という感じだ。
チラシには「サイレンを取り巻く3つの謎」だの、
1590年のアメリカでどーしたこーしたなど、
さも「何か」が潜んでいるかのように煽っているが、
結局ほとんど本編と絡んで来ないままに終わってしまう。
29年前の島民消失事件さえ踏まえておけば、
それで全部説明がついてしまうのだ。
「サイレンが鳴ったら外に出てはいけない」という言葉の種明かしも
「そりゃないぜ」と溜息の漏れる強引なこじつけで、
脚本の不出来で言えば、
現在公開中の「フライトプラン」すら上回るチープさだ。

堤監督も、ゲームが原作という部分に縛られ過ぎたのか、
脚本の不出来に匙を投げたのかは分からないが
既存の作品の演出を寄せ集めて軽く撮ってみた、という印象を受ける。
市川由衣はともかく、森本レオや田中直樹のキャスティングには
口出し出来なかったのだろうか。
恐怖に戦くはずのシーンで試写室が(笑いで)沸くのは、
ミスキャスト以外の何ものでもなかろう。

また、この映画は360度の立体音響をウリにしているが、
ただ単に五月蝿いだけで、びっくりはするものの、
恐怖感のアップにはなっていない。
技術的な効果をあれこれ研究する前に、
メロディラインや挿入するタイミング等に気を配るべきだったように思うが。

ゲーム版との関連性は、夜美島という舞台とわらべ唄が同じで、
あとはゲームと同じカットが意図的に挿入されているぐらいか。
映画とゲームがお互いに補完し合うような関係にはなっていないので、
ゲーム版だけ遊べばOKという気がする。
(PS2用ソフト「サイレン2」は、前作よりずっと出来が良くなっている)

「ドッグヴィル」という映画のパンフレットに、
ゲーム版「サイレン」のディレクターである
外山圭一郎氏がコメントを寄せている。
私がこのコメントの中で印象に残っている言葉に

「澱んだ平穏の醜悪さ」

というのがあるのだが、
映画版からは、そういった物は一切感じなかった。
ここにはただ、作為的な「異常」があるだけだ。

●ゲーム版「SIREN2」の紹介記事はこちら。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:サイレン FORBIDDEN SIREN
    配給:東宝
   公開日:2006年2月11日
    監督:堤幸彦
   出演者:市川由衣、森本レオ、田中直樹、阿部寛、松尾スズキ、他
 公式サイト:http://www.siren-movie.com/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (23)
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前作のイメージを払拭出来るか「サイレン2/SIREN2」

2006年02月06日 | 作品紹介(ゲーム)

SIREN2
夜見島 わらべ唄「巫秘抄歌」CD付き


今回は劇場用 「サイレン FORBIDDEN SIREN」と
「サイレン2/SIREN2」を同時に取り上げてみる。

PS2版「SIREN」は、発売前はさほど話題にならなかったものの、
発売日近辺に投入されたCMの効果で注目度が一気にアップし、
発売直後は品切れが続出、通常版の累計15万本、廉価版3万本、
合計18万本のスマッシュヒットとなった。

狙い済ましたCM戦略は好みではなかったものの、
ホラー好きな私は発売日に購入した。
が、難易度の高さとマップの分かりにくさに敢えなく断念、
結局エンディングまでは辿り着けなかった。
追加出荷分があまり伸びなかったのも、
中古市場での値崩れが激しかったのも、
全てこの難易度設定のせいだと私は思っている。
この時から、「SIREN」に関しては、世界観やストーリーは良いものの、
難易度が高過ぎて人には勧め辛い作品、
というイメージが焼き付いてしまっていたのだが・・・

今回の「SIREN2」は、驚くほど親切になっている。
待望の難易度設定追加で、私にも充分手が出せるようになった。
何と言ってもこれが一番嬉しい。
(難易度によってエンディングが変わることもないそうだ)
導入部分のチュートリアルも親切で、
序盤だけで言えば、前作とは別物かと思うほど出来は上がっている。

屍人のグラフィックや動きはさらに洗練(と言っていいのか)され、
不気味度もパワーアップしているが、
照準の合わせ方も随分親切になっているので
前作よりは安心して闘いを挑む事が出来る。

映画版は有名俳優ばかりで作られているため
屍人メイクもコントにしか見えなかったが、
「その辺に居そうな誰か」になった途端、震え上がるほど怖くなる。
そう、屍人は有名人を使わないからこそ怖いのだ。
(ピエール瀧は出ているが、顔にインパクトのある方ではないので無問題)

問題は、前作で苦手意識を持ってしまった私のようなユーザーを
いかにしてあと一度引っ張れるかであろう。
私は、もう一度チャレンジしてみようと思っているのだが。

ただし、映画を観てゲームにも手を出してみようかという方は要注意。
プレイするならばそれなりの覚悟を持っておくように。
怖さのレベルが違い過ぎる。

サイレン 劇場版劇場用映画「サイレン」の紹介記事はこちら。


SIREN(廉価版)


一度ベスト版(2800円)としてリリースしたものを
さらに値下げし1800円にしたもの。
これを機に「1」から始めたいならお勧め・・・したいが、
本当に難しい。腕に自信のある方のみ。


箪笥


映画紹介の中で引用した映画。
韓国製のホラーで、あまりにも「リング」を意識し過ぎた
シーンなども出てくるが、全体的には秀逸。
主演の姉妹二人が素晴らしい。


SIREN MANIACS サイレン公式完全解析本-


ディレクターである外山圭一郎氏の監修による解析本。
発売当時、伊藤潤二の漫画が読みたくて購入した。
世界観に惚れ込んだディープなファンには必読の一冊。

*当BLOGでの新作紹介は、
 1:あくまでも開発途中のROMを使ってのプレイであること。
 2:数分のプレイによる第一印象に過ぎないこと。
 3:発売までに内容変更の可能性もあること。
 を予めお断りしておく。
 簡単に言えば、「あまりあてにしないでくれ」ということだ。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:サイレン2/SIREN2
    機種:PS2
  メーカー:SCE
   発売日:2006年2月9日
    価格:7140円(税込み)
 公式サイト:http://www.playstation.jp/scej/title/siren2/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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