▼最新作「キングダム」前に振り返る、リブート版「猿の惑星」三部作まとめ
05月10日公開■洋画:猿の惑星/キングダム
2011年から2017年にかけ3部作で制作されたリブート版「猿の惑星」に続く新シリーズが2024年5月10日に公開。
前作から約300年後の世界を舞台に、世界を支配する側となった猿達の間で人間の扱いを巡って勃発した対立の模様を描く。
実に7年振りの新作でリブート第2章への突入となるわけだが、さすがにもう記憶から薄れて
あまり覚えていないという方(@私含む)も少なからずいらっしゃると思うので
当BLOGの過去ログで取り上げた紹介記事に少し手を入れて、1本の記事にまとめてみた。
3作を見返すほどの時間がないけれど劇場で新作を観に行く予定の方の参考になれば。
▼「NO」で始まる歴史。映画「猿の惑星 創世記 ジェネシス」
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ティム・バートン版のように新たな解釈で作り直した全くの別物でもないし
オリジナルに忠実なリメイクでもない切り口で描かれるリブートシリーズ第1弾。
主演は「127時間」のジェームズ・フランコ、共演に「スラムドッグ$ミリオネア」のフリーダ・ピント。
猿のシーザーは「キング・コング」や「ロード・オブ・ザ・リング」などで活躍している
パフォーマンス・キャプチャーの第一人者アンディ・サーキス。
サンフランシスコでアルツハイマーの治療薬研究を続けている
神経科学者ウィル・ロッドマン(ジェームス・フランコ)が新薬を完成。
治験体として一匹のチンパンジーに投与したところ、突然人を襲い、
施設内を片っ端から破壊し始めたため、警備員によって射殺される事態に。
死んだチンパンジーは妊娠しており、子どもを守るために暴れたのだと知ったウィルは
母を亡くした子どものチンパンジーにシーザーと名前を付け、共に暮らし始める。
シーザーには、母に投与した新薬の効果が引き継がれていた。
高い知能を持つシーザーは、ウィルに対して親子のような感情を、
ウィルの父に対しても親愛の情を抱き、やがて、ある事件を引き起こしてしまう。
序盤から中盤にかけて描かれる、シーザーの目覚ましい成長と
ウィルとの間で育まれてゆく絆については文句無しに面白かったのだが
シーザーが施設に収容されてからの脱獄、大移動までの流れがあまりにも唐突で
前半と後半で別の映画のようになってしまったのは残念。
人と猿との種族を超えた愛を描くヒューマンドラマとして見ても、
私の目にはウィルが無責任な飼い主に映ることも多く、表面的に可愛がるだけで
シーザーの寂しさや嫉妬に気付かず、父のためだけに行動するウィルの無神経さもちょっと理解し難い。
ウィルの甘さも含めて、人間を見限ったシーザーが「No」の雄叫びと共に
行動を起こしたというなら納得もいくが、高い知能を持ったはずのシーザー達がやっていることが、
人間達と同等以下の、数と力に物を言わせた破壊行為である、というのがどうにもやるせない。
骨組みはしっかり出来ているし、映像も美しい。
脚本と設定にもう少し手を加えただけで傑作にもなり得た作品。
リブート企画の第1弾と考えれば上々のスタート。
▼人を超え、人に堕ちる苦悩。映画猿の惑星:新世紀(ライジング)
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「創世記(ジェネシス)」に続くリブート第2弾。
シーザー役には前作に引き続きアンディ・サーキス。
共演はジェイソン・クラーク、ゲイリー・オールドマンなど。
監督には「クローバーフィールド / HAKAISHA」のマット・リーヴス。
前作から10年が経過し、人間と猿の力関係は大きく変化して今や猿達は圧倒的優位に立っていた。
人間に裏切られ、人間と決別して作り上げたはずの猿達のコミュニティは
彼等にとって理想郷となるはずだったが英雄として君臨するシーザーは、あることに気付いてしまう。
それは、「猿もまた人間と同じ過ちを犯してしまう」という哀しい事実だった。
猿と人間の駆け引きを通して、我々は闘いや裏切りから
永遠に逃れることはできないのか、という人間社会の問題を描き出す傑作SF。
アクションも特撮も文句なしで、130分があっという間に過ぎる。
後半のあるシーンでビデオカメラの映像を見つめるシーザーに泣けた。
完全な続編なので、「創世記(ジェネシス)」を見ておかなくては理解が足らない箇所も多いはず。
前作未見の方はまずそちらから。
▼そして伝説へ…。映画「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」
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SF映画の歴史を語る上で欠かせない名作「猿の惑星」のリブートシリーズも本作でひとまず完結。
前作「新世紀」の2年後を舞台に、妻子を奪われた怒りと哀しみを糧にしたシーザーの復讐を描く。
初代のルパート・ワイアットから引き継いだマット・リーヴスが「新世紀」に続いて2作連続で監督を務めている。
猿と人類との終わりなき全面戦争へと突入した「新世紀」から2年、
大佐の奇襲攻撃によって最愛の妻子を無惨に殺されてしまったシーザーは
憎しみに駆り立てられて少数の仲間を引き連れて復讐へと旅立った。
言葉を話すことの出来ない少女ノバとの出逢いを経て、ついに敵陣へと辿り着いた一行だったが、
冷静さを欠いた行動が裏目に出て敵に捕まってしまう。
施設内には多くの仲間が捕らえられおり、彼らの置かれた状況の過酷さを目の当たりにしたシーザーはある決意をする。
新三部作の完結編ということで、いわゆる「ドラクエ」スタイルのシナリオ運びで
1968年公開の初代「猿の惑星」へと繋がる作り。
人類の支配が終わり、猿が支配する側になった理由が語られる。
シーザーの息子であるコーネリアスはさておき、少女時代のノバの登場は旧シリーズ未見の方は
なぜ猿の群れに少女が混ざってくるのか今いち分かり辛いかも知れない。
アクション大作として作られた「創世記」「新世紀」から、最終章はぐっと渋めのドラマ重視へ。
前2作が「X-MEN」「X-MEN 2」なら、本作は「LOGAN / ローガン」ぐらいの重厚さがある。
娯楽作としての派手さ、楽しさは「キングコング 髑髏島の巨神」が上だが、
「LOGAN」の魅力がウルヴァリンの生き様であったように、
本作の見どころは妻子を亡くしたシーザーの悲哀と、それでも仲間を引き連れて闘う勇姿である。
全体的な構成は「ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー」と
「大脱出」をミックスしたような脱出&戦争映画で、
名サイドキャラクター(バッドエイプ)が華を添えるのも定番。
枠組みだけは旧シリーズのような王道だが、そこに登場する猿のモーションは
前2作からさらに進化していよいよ「芝居」が本気レベルにまで達している。
猿と人類の対立がほぼ猿側に寄り過ぎていて、
人間側の主張する言い分がほとんど語られていなかったり、
脱出劇の終盤の展開がやや御都合主義だったりと、
繊細を極める猿達のドラマに比べて、詰めの甘い箇所がいくつか気になったのも事実。
「クローバーフィールド / HAKAISHA」からトントン拍子に
大作を任されてきたマット・リーヴスの次回作は「THE BATMAN-ザ・バットマン-」。
インディーズからの出世組として、今や世界トップレベルの成功者と言えるだろう。
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