忍之閻魔帳

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Blu-ray「斉藤由貴/Billboard Live Tour “水響曲”」作家に愛された歌手、歌を愛する女優

2021年07月21日 | 瓦版


▼Blu-ray「斉藤由貴/Billboard Live Tour “水響曲”」作家に愛された歌手、歌を愛する女優


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07月21日発売■Blu-ray:斉藤由貴/Billboard Live Tour “水響曲” プレミアムコレクターズエディション
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楽天ブックスからちゃんと午前に届いたので早速鑑賞。
セルフカバーアルバム「水響曲」を発売した斉藤由貴が行なった
ビルボードライブの模様を収録した「斉藤由貴/Billboard Live Tour “水響曲”」が本日発売。

FNS歌謡祭や松任谷由実のツアー、筒美京平のトリビュートアルバムなどで知られる
武部聡志の旗振りの下、ピアノとストリングスカルテットというクラシカルな編成で
アルバムの世界を再現した即日完売のプレミアライブが家で楽しめる。
4月25日のビルボードライブ東京での夜公演をノーカットで完全収録し、
さらに昼公演でしか演奏されなかった3曲も追加した全14曲構成。
Blu-rayには武部聡志とのスタジオライブ「卒業」「土曜日のタマネギ」の2曲と
アルバムについて語り合う対談を特典映像として追加収録している。

CDの限定盤はオリジナル音源集、Blu-rayの限定盤はインスト集CDと
斉藤由貴の限定商法はそこそこコアなファンの私でも素直に「通常盤で良いか」と思える
割り切りの良さがあって好感が持てる。今回も通常盤を購入。

CDの完成度からある程度想像は出来ていたのだが、メリーポピンズのようにふわふわと
ビルボードのステージに降り立った斉藤由貴は、「POETIC Live 1986」で魅せてくれた
アイドル・女優・歌手・文学少女の4つの顔を自在に使い分ける変幻自在ぶりに
35年の歳月が加わり、MCまで含めて1本の芝居を見ているかのようだった。

今や名プロデューサーの武部聡志が「去年僕がやった全ての仕事で一番力を入れた」と語るように
アルバム「水響曲」の流れをそのまま組み込んだライブ構成は
ビルボードという箱の大きさも想定した音作りがされていて
ストリングスアレンジもピアノテクニックも文句なし。
ピアノは「SURF&SNOW in Naeba」(松任谷由実)よりも明らかにノッていた。
いいのか、怒られるぞユーミンに。
若かりし頃にプロデュースを任された斎藤は、武部氏にとって
プロデューサーと歌手であると同時に、同志でもあるのだろう。
今でも必ず年に一度は「ライブをやろう」と武部氏から誘いかけるという。
それは、「君が現役で歌を続ける限り僕は詩を書くよ」と言っている
松本隆と太田裕美の関係に近いだろうか。
そしてその松本隆が作詞した二文字シリーズ「卒業」「情熱」「初戀」も本作には収録されている。

かつて等身大で歌っていた文学少女の顔を再現して見せたかと思えば、
今の年齢からのアプローチで歌う「土曜日のタマネギ」は
「夜会1990」で「ミルク32」を歌った時の中島みゆきのようでもあり、
大掛かりな装置も派手なライティングもない舞台上で、次から次に違う景色を表現する。
上質なひとり芝居を見ているような求心力と、例えようのない心地よさ。

松本隆、玉置浩二、来生たかお、谷山浩子、筒美京平ら
多くのレジェンド達から提供された楽曲はどれも古びることなく
35年間歌い続けてもなお新鮮な感動を与えてくれる。
ここまで作家に恵まれているのは斉藤由貴と薬師丸ひろ子ぐらいではないかと思うが
生に強い薬師丸に比べて斉藤由貴はメディア露出には正直向かないのが難点。
テレビで歌う斉藤由貴の姿だけでは絶対に伝わらない魅力がここには在って、
それは薬師丸と同等以上のものだということだけは断言しておきたい。
自身のエピソードを披露した後で声を詰まらせながら歌う「卒業」を
ひとりでも多くの方に見ていただきたい。

採点機では決して測ることの出来ない『表現力』の塊のようなライブ。
今これだけのステージができる女性ソロシンガーは日本に数えるほどしかいない。
デビュー当時から知っている方は絶対に絶対に買うべし。

余談。
この前のFNSから思っていたのだが、武部氏の毛量が急に5倍ぐらいになっていて驚いた。
才能溢れる方なので、あまりそこは気にしないタイプかと思っていたのだが。




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発売中■CD:35周年記念セルフカバーアルバム「水響曲」通常盤 / 斉藤由貴
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【関連記事】斉藤由貴の32年を歌詞と共に振り返る
【関連記事】それでも失われない斉藤由貴の透明感の秘密より再掲。

今年でデビュー35周年を迎えるにあたり、斉藤由貴の音楽活動をバックアップしてきた
武部聡志をプロデューサーに迎えて、松本隆・筒美京平のゴールデンコンビによる名曲「卒業」を始め
初期のシングルヒット9曲と「AXIA」を含む全10曲入りのセルフカバーアルバム。

歌手・斉藤由貴の魅力を熟知した武部聡志のアレンジの下、
54歳になった斉藤由貴が往年の名曲を再演する1本の舞台を見ているかのような作り。
アルバムのコンセプトとしては「MOON」や「POETIC Live 1986」に近いかも知れない。
デビュー当時から詩の朗読を挟むなど、凡百のアイドルとは一線を隠す表現を追求していた彼女らしい。
もともと歌い手としてはテクニカルではなく、歌で表現する女優(詩人)といった佇まいだったので
そこの部分には何ら変化はない。
むしろ、50歳を過ぎて「初戀」や「情熱」のような少女の純真を表現する面白さがあり
演者としての腕の見せ所といった気合十分の化かしぶりに改めて恐ろしさすら感じた。

プライベートに目を移せば、この35年で幾多の醜聞があり、その多くは彼女自身の弱さに起因していた。
「好きになってはいけない」だの「好きよ好きです愛しています」など
「どの口が」といったダッチロールの人生を歩んできたはずなのに、
アルバムタイトルと同じく水のように透明で静かな斉藤由貴の歌唱からは
そういった雑音は一切聴こえてこない。
女優の為せる技なのか、信心からなのか、本心から穢れを纏っていないのかは分からないが
私が未だに斉藤由貴の動向をチェックしてしまうのは、こういった掴みどころのなさにあるのだと思う。
最後に流れるのが「さよなら」。

「さよなら」 そんな言葉この世に決してないと思う
「さよなら」 今 言われてもきっとずっと好きでいられる


シングルとしてはそれほど印象の強い曲ではないのだが
今の彼女には確かに一番マッチしている。
本人の書いた歌詞の内容も、今聴くと当時とは全く違う響きを放っている。


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