萌芽落花ノート
14 初恋
十六の秋
私がまだ日本語を信じていた頃
鏡に映った日本語の輝きに代わるものが涙だという
そんな日本語の輝きを受けて
私はあなたに恋をしたと信じた
法悦と朦朧の合間に
日本語は一筋の閃光となって鏡の部屋を乱舞し
私は笑いながら速度を待ったが
明け方
恋は腹這いのまま
窒息していた
日本語の輝きは薄れ
涙は一滴も零れなかった
(終)
萌芽落花ノート
14 初恋
十六の秋
私がまだ日本語を信じていた頃
鏡に映った日本語の輝きに代わるものが涙だという
そんな日本語の輝きを受けて
私はあなたに恋をしたと信じた
法悦と朦朧の合間に
日本語は一筋の閃光となって鏡の部屋を乱舞し
私は笑いながら速度を待ったが
明け方
恋は腹這いのまま
窒息していた
日本語の輝きは薄れ
涙は一滴も零れなかった
(終)
SONG
髪切り
夜爪を切る子は
親の死に目に会えぬという
あなたに会えない私の夜は
せめて髪を切りましょう
せめて髪でも あなたの気に入るように
せめて髪でも切りましょう
(終)