漫画の思い出
花輪和一(27)
『護法童子・巻之(二)』(双葉社)
「旅之八 水子沼」
「水子」は、捨て子のこと。
かなり無理な話。
子を捨てた母親が悔いる。そんな情景が、捨てられた少女たちに見える。ある少女は「あれは 嘘の世界よ」と一蹴する。別の少女は、嘘の世界に潜り込み、「あたしだけ 幸福に なってごめん」と喜ぶ。
不幸な現実と幸福な嘘のどちらを選ぶべきか。護法童子には解決できない。苦悩そのものが解脱の契機になる。そんな淡い夢で終わる。
作者は迷っているのだろう。
「旅之九 流転」
貧しく愚かな醜女が、病弱で邪魔な両親を殺す。彼女の両親を介護していた美女に騙されたからだ。性悪女は、地獄のような場所に墜ちる。護法童子は彼女を救おうとするが、できない。
真の主題は親殺しだ。作者は親殺しを正当化できないで、うろうろしている。
(終)