何かを知らない子どもたち
何かが終わって
僕らは生まれた
何かを知らずに
僕らは育った
今の僕らにできることは
平和の歌を歌うことだけさ
僕らの名前を憶えてほしい
何かを知らない子どもたちさ
(終)
何かを知らない子どもたち
何かが終わって
僕らは生まれた
何かを知らずに
僕らは育った
今の僕らにできることは
平和の歌を歌うことだけさ
僕らの名前を憶えてほしい
何かを知らない子どもたちさ
(終)
ネンゴロ二十世紀1924
1924 人の苦に寄り添う国共合作。(第一次国共合作)
1924 人の苦に寄り添う護憲三派。(第二次護憲運動)
1924 人の苦に寄り添うマクドナルド。(マクドナルド内閣成立)
1924 人の国より賠償金。(ドーズ案採択)
(終)
『冬のソナタ』を読む
「影の国へ行った人」(上p33~59)
2 眠り姫
少女よ、急ぎなさい。
「眠るなよ!」
(上p40)
眠りなさい。急いで眠りなさい。
そして、遅刻しなさい。
通学時間が長いせいで、毎回バスの中で居眠りをしてしまうユジンは、その日も座ってすぐうたた寝をしてしまった。
ユジンが隣に座っている男を意識し始めたのは、しばらく過ぎてからだった。
(上p40)
眠り姫は、眠ることによって「男を意識し始めた」のだ。
ユジンは、まるでこの現実はすべて彼のせいだと言わんばかりに、しばらく怒った足取りで歩き、突然立ち止まると自分をきょとんとした眼で見ている男にまた言った。
(上p41-2)
眠り姫が目覚めると、二人だけの「この現実」が始まる。
「早く来て。何してるのよ。一緒にタクシーに乗ればタクシー代も半分ですむでしょ」
(上p42)
「半分」の始まり。
若干長く感じる前髪が額を半分ほど覆っている整った顔に浮かぶ憂愁を、ユジンはそのとき感じることができなかった。とても長い歳月が流れたあと、ユジンはやっとそれが彼の本当の姿であることを知ったのだった。
(上p42)
「感じること」によって「知った」のではない。「知った」から「感じること」ができるようになったのだ。
ユジンは驚きのあまりに眼を大きく見開き、思わず叫んでしまった。
「あの子よ!」
(上p43)
眠り姫を発見した「男」だけが彼女に発見してもらえる。
(終)
ネンゴロ二十世紀1923
1923 特に短い任期の首相。(シュトレーゼマン首相になる)
1923 特に災害、大震災。(関東大震災)
1923 特に認めるレンテン・マルク。(レンテン・マルク発行)
1923 特に認めるトルコ国民党。(ローザンヌ会議1922~)
(終)
腐った林檎の匂いのする異星人と一緒
34 ゲーム(STAGE1 壊れる)
水曜日の午下がり、あるいは木曜日の遅い朝、あなたはゲームを始める。
まずシャワーを浴びる。洗面所の鏡の前でピンをくわえる。髪を結う。高く? 低く? 後れ毛を撫で上げ、一瞬迷い、重力に委ねる。
寝室に戻り、鏡台の前に腰を下ろし、頬紅を薄く延ばす。服のボタンは前。襟は大きい。細いベルトの腕時計は文字盤を外に向けて装着する。よし。
ブーツの紐を、編み物でもするみたいに、楽しげに結ぶ。小声でハミング。靴の歌。そのはずだけど、歌詞は思い出せない。メロディーさえ切れ切れ。
カタカタ、ミシンを踏むように爪先と踵を上下させてから、息を詰め、立ち上がる。
一回転半。スカートが少し遅れて纏わり、静まる。後姿を確認してから、帽子を選ぶ。三面鏡を閉じ、ロッキング・チェアを男の子のように小突いて揺らす。行ってきます。
カーテンは閉めない。
靴音。
ドアの閉まる音。
どこかで何かが壊れる音。
あなたはこのゲームを続けますか?
(続)