手にマメができた。
何年ぶりだろう。
どう少なく見積もっても十年ではきかないはずだ。
盛夏がすぎ、徐々に体力の回復を感じはじめたのをよしとして、あばら骨がはっきりと確認できるほど痩せてしまった身体を、今いちどシェイプアップしようという作戦の一環として、しばらく休んでいた四尺の大太鼓打ちを再開したのが9月はじめ。
最初は、初心者用の軽く細い大太鼓バチを使っていたのだが、もうそろそろよかろうと、少し大きめのバチに変え、1時間あまり叩いたのが先の日曜日。
けっきょく、痛みを感じてきたので打つのをやめたのだが、翌日、気がついてみると、できていたのだ。
いつも、
「手の皮がやぶけて痛い」
とか
「マメができて痛い」
とかを、
わざわざ申告してくる子どもたちに向かって、
「マメができるうちは半人前。おんちゃんぐらいになったらどんなにやってもマメなんかできんぞ」
とうそぶき、
「えーどうして?」
と訊く子らには
「叩き方がしっかりしてたらマメなんかできんの」
と言い放ってきたくせに、なんという体たらく。
まったく、ざまあないったらありゃしない。
だが・・・
そうか、マメができたか・・・
手のひらをしげしげとながめては、なんだか少し新鮮で、ちょっとうれしかったりもする辺境の太鼓打ち62歳と9ヶ月。
まだまだできるよ。
(たぶん)
なのである。