二つに見えて、世界はひとつ

イメージ画像を織りまぜた哲学や宗教の要約をやっています。

スーパーポジション

2022-08-14 09:02:00 | 哲学
量子力学の「重ね合わせ」は英語ではスーパーポジション(super position)日本語では「重ね合わせの原理」とか「状態の共存」とかの概念で説明されますが、特に「状態の共存」との発想が素晴らしい。この考え方で「矛盾」の概念が一変しました。この3つの言葉は絶妙の組み合わせなので、これで「量子状態」とは何かがイメージできます。

 まず「スーパーポジション」という言葉で、それが位置とか場所を表現していることがわかります。つぎに「重ね合わせの原理」でその場所にある要素を重ねあわせます。そして重なり合った部分を共存の状態にすればそれが「スーパーポジション」になります。

光の場合
 光の重なり合い、色の重なり合い、そして光と色の共存状態が見られます。このような「場所」がスーパーポジションです。
  
物理学の場合


上図の赤い部分がスーパーポジションです。プラスとマイナスが共存しています。加えて0も存在します。0が存在するのはスーパーポジションが数学の0ではなく、0も排除されない共存の場所だからです。
古典物理の原子 量子論の原子


論理学の場合


❲例❳ 上図の
AはAである。BはBである。これは古典論理学の「同一律」です。重なり合う「AかつB」は「矛盾律」にあたります。矛盾は真偽の対象にならないので「排中律」で思考から排除します。古典論理学は矛盾を排除した論理なのです。
ここで「AかつB」が矛盾になるのはAとBを共存状態ではなく混合状態にするからです。

 量子論の場合はこの図全体が状態の共存の「場」であり、重なりあった部分が特にスーパーポジションと呼ばれ、肯定と否定が共存しています。つまり量子論は矛盾を容認した論理だということになります。
オイラー図



*どちらにしても動いているもの、変化しているもの、不定なものは割合で表現するしか方法はないと思います。

温度、速度、密度、信頼度、
生存率•••などです。









重ね合わせのイメージ

2022-08-13 19:51:00 | 哲学
 量子論の考え方に重ね合わせと状態の共存の二種がありますが、対象により考えやすい方を使えばよいと思います。

 量子の重ね合わせは手で掴んだり目で見ることのできるものではありませんが、以下は実際に見ること経験することのできる重ね合わせです。いくらか量子の重ね合わせのイメージが浮かんでくるかと思います。

光と色の重ね合わせ

光の場合が重ね合わせ状態。離せば元の状態に戻ります。色の場合は混合状態です。元の状態には戻りません。


   影の色
  
  
紙管に向けて、赤・青・緑の3色の光を同時に照らすと、赤紫(マゼンダ)・うす青(シアン)・黄の3色の影ができ、影の周りは赤・青・緑が重なった白色になることがわかります。光が全く届かない部分は黒色になります。
  (ワオ!科学実験ナビより)

感覚と概念の重ね合わせ

感覚(直観)


概念(名前)
あか オレンジ きいろ あお みずいろみどり きみどり むらさき しろ くろ

重ね合わせ

*概念のない直観は盲目であり、直観のない概念は空虚である。 カントの名言


動きと静止の重ね合わせ

 時間とは、出来事や変化を認識するための基礎的な概念である。芸術、哲学、自然科学、心理学などで重要なテーマとして扱われることもあり、分野ごとに定義が異なる。(wiki)

    ルビンの砂時計

 
 砂時計は、現在というものが未来と過去の間にあることを象徴しています。くびれた部分(現在)を見つめる。すると時間というのは上(未来)から流れてきて下(過去)へと流れてゆく流れ、と感じられるようになります。
(wiki)








シュレーディンガーの猫

2022-08-11 13:08:00 | 哲学
シュレーディンガーの猫

 シュレーディンガーの猫は、1935年にオーストリアの物理学者エルヴィン・シュレーディンガーが発表した物理学的実在の量子力学的記述が不完全であると説明するために用いた、猫を使った思考実験。 (ウィキペディア)

実験
図はニュートン別冊「量子論のすべて」より


 図のように、密閉された部屋の中に一匹の猫と毒ガス発生装置(中央下のハンマーと毒ガス入りビン)が入っています。

 毒ガス発生装置は放射線検出器(左下のマイクのような形の装置)と連動していて、検出器の前に放射性物質を含む鉱物が置かれています。放射性物質はウランやラドンなどで、原子核が崩壊したときに放射線を放出します。

 放射線検出器が放射線を検知すると毒ガス発生装置が働き、毒ガス入りのビンがハンマーで壊され、空間内に毒ガスが充満します。すると猫が毒ガスにより死んでしまいます。 

 さて、放射性物質はいつ放射線を放射するかは確率的なものとなり、予測できません。猫が生きているか死んでいるかは、観測者が観測するまでわかりません。

 ここには2つの状態の共存が存在しています。つまり、原子核が崩壊した状態としていない状態、さらに猫が生きている状態と死んでいる状態です。

 さて、ある時間を経過した時点における猫の運命はどうなっているのでしょう?

 猫の生死は、のぞき窓から観察すればすぐにわかります。シュレーディンガーが問題にしたのは、観察する前の猫の状態をどう考えるかという点です。

 放射性物質が原子核崩壊を起こすかはミクロの世界の現象です。この実験で、一時間以内に原子核崩壊が起こる確率は50%であるとします。このとき量子論では、観測前の放射性物質について、「原子核崩壊を起こした状態」と「原子核崩壊を起こしていない状態」が半分ずつ重ね合わさっていると考えます。

 もちろん観測をすれば、原子核崩壊の有無はたちどころに判明します。しかし、観測前の状態については「重ね合わせになっている」とするのが、量子論に基づく考え方です。

  では、観測前の猫の状態はどうなっているのでしょう? 

猫の生死は原子核崩壊の有無と完全 に連動しています。だとすれば、放射性物質の状態が重ね合わせになっている以 上、猫の状態も重ね合わせになっていなければなりません。つまり猫は部屋の中で「原子核崩壊が起きて死んだ状態」と「原子核崩壊が起きずに生きている状態」が半分ずつ重ね合わせになっていると考えられるのです。


 シュレーディンガーはこれを、「生きている猫の状態と死んだ猫の状態が重なり合って存在している」という、文字通りの意味に解釈し、「ミクロの世界の特殊性」を前提にした量子力学者たちの説明に対して、「マクロの事象」を展開することによって「量子力学の確率解釈」が誤っていることを証明しようとしました。

(wikipediaほか)

シュレーディンガーの波動関数
 


量子論と古典論理

量子論とシュレディンガーの意見がちがうのは互いに使用している論理が異なるからです。量子論の使用している論理は数学で言うところの集合論です。ベン図で見ると考え方がわかりやすくなります。

図の「AかつB」の部分がいわゆる「重なり合っている状態」をあらわします。そしてAとBはそのまま保たれています。

シュレーディンガーの論理は
古典論理学の命題論理、排中律を使っています。「真でありかつ偽である」というのはあり得ない、矛盾であり、考えられないから無いものとして思考から排除するというわけです。二者択一の論理です。



古典論理学で排除された部分も数学的には率や度で表現します。この場所は動きと変化や比例の場所ですから固定した言葉や数字で表わせません。これがいわゆる「量子力学の確率的解釈」です。ミクロマクロにかかわらず日常的に使われている数学的テクニックです。



スーパーポジション

重ね合わせの原理は英語ではスーパーポジション。「重ね合わせ」より「状態の共存」のほうが良いと思います。

上の記事にある
「ここには2つの状態の共存が存在しています。つまり、原子核が崩壊した状態としていない状態、さらに猫が生きている状態と死んでいる状態です。」

これは典型的な排中律を使った考え方です。つまり「事実は真か偽であり、その中間はない」とする命題論理学的思考です。

「状態の共存」と言いながら、「不明」という状態を排除しています。この「不明」という状態がいわゆる「確率的解釈」です。


「猫の生死は、のぞき窓から観察すればすぐにわかります。シュレーディンガーが問題にしたのは、観察する前の猫の状態をどう考えるかという点です。」

何とも奇妙な文章です。

観察前にわかるはずがありません。猫の生死は、「生きているか死んでいるかは不明」という以外はあり得ないと思いますが、常識的すぎるでしょうか。





















状態の共存

2022-08-09 09:38:00 | 哲学

 量子論

 量子論とは、「光は波なのか粒なのか」という昔の人の疑問から話が発展していきます。

 いろいろな実験やら理論やらを突き詰めていくと、光は粒子の性質と、波の性質のどちらも併せ持つことがわかりました。さらに、光に限らず原子よりも小さいようなミクロのモノは何でも同じように粒と波の性質を持つことがわかりました。これらを合わせて「量子」と呼びます。

  

 いろんな研究の結果、ミクロの世界ではあらゆる物質は「状態の重ね合わせ」という不思議な現象が起こることがわかりました。 さて、状態の重ね合わせとは何でしょう•••?


状態の重ね合わせとは?

 ここに、ある箱があったとします。この箱には仕切りを入れることで、中身を分けることが出来ます。

 この箱の中にボールを入れてフタをします。中の様子は見えません。そして真ん中に仕切りをします。ここで、このときボールが左右どちらにあるかをかを考えます。どのような状態にあるでしょうか。

 常識的には仕切りをした時「ボールはどちらか一方にある」と考えます。そしてフタを開けてみても同じです。ボールはどちらか一方にあります。

 量子論では二つの状態が共存します。量子論の最も重要な原則は、一つの電子が複数の状態を同時に取ることができると考えることです。そして、電子の状態とは 「電子の位置」のことです。

箱の中に電子1個を入れてフタをします。中の様子は見えません。箱の真ん中に仕切りを入れます。ここで、電子が左右どちらにあるかを考えます。

電子の状態 共存1



常識的に考えると, 確かに電子は左右どちらか一方に存在しています。しかし量子論的には電子は左にある状態と右にある状態が重なり合っています。そのため、確率を用いなければ、左右の箱どちらにあるかは議論できません。電子が2つに増えたわけではないことに注意してください。この部分が量子論の理解し難い部分です。箱を開けて光を当てて電子を観測をすると、電子は左右のどちらか一方に存在してることが確認できます。

電子の状態 共存2



上記のことが量子論の世界で起きることです。つまり、 中が見えない箱の中に 「電子が左にある状態」と「電子が右にある状態」が共存しているのです。これを「状態の共存」といいます。そして観測を行うと電子が左右どちらにあるかが確定します。このことを「収縮」と言います。

シュレーディンガーの猫

 このようにミクロな世界では、物質が様々な状態で重なっている•••。こんなこと言われても、素直に信じるのは難しいと思います。他の科学者も同じように、こんなことあるわけがないだろ!と考える人もいて、大変大きな議論になりました。

 シュレーディンガーという科学者は、上記の状態の重ね合わせの考えを、ある思考実験によって否定しようとしました。この思考実験が有名な「シュレーディンガーの猫」と呼ばれている話です。





運動は矛盾である

2022-08-08 19:54:00 | 哲学
運動と位置の関係についての物理的法則がいくつかあります。なお物理的な記述に関する記事はすべて受け売りです。

 エネルギー保存の法則

 運動エネルギーと位置エネルギーの関係を、振り子で見てみます。位置エネルギーは、おもりが最も高いところにきたとき最大。おもりの位置が低くなると、位置エネルギーは小さくなり、その分、運動エネルギーは大きくなります。反対の端にきたとき、運動エネルギーはゼロに。高さは左端にあったときと同じ。つまり位置エネルギーは再び最大になるのです。位置エネルギーは中央の最も低いところで最少。このとき運動エネルギーは最大となります。位置エネルギーと運動エネルギーの和を力学的エネルギーと言い、その値は常に一定。これを「力学的エネルギー保存の法則」と言います。



 不確定性原理

 量子力学における基礎的原理。原子や電子などの世界では、一つの粒子について、位置と運動量、時間とエネルギーのように互いに関係ある物理量を同時に正確に決めることは不可能であること。1927年にハイゼンベルクが提唱。


   
[補説] 同時に正確に決めることができない位置と運動量、時間とエネルギーのような物理量の組み合わせを不確定性関係という。
(不確定性原理 デジタル大辞泉 )

  

図でAを0としCを1とすると、動いている状態は0と1の間にあって揺れ動いています。0でもなければ1でもない状態ですが、0にもなり得るし1にもなり得る状態です。このように状態が時間とともに変化するという考え方が「シュレーディンガーの猫像」と呼ばれます。



 運動は矛盾である

  

 ドイツの哲学者ヘーゲルは、弁証法を定式化し、矛盾の重要性を指摘しました。
ヘーゲルは、言います。

「ある物が運動するのは、それが今ここにあり、他の瞬間にはあそこにあるためばかりでなく、同一の瞬間にここにあるとともにここになく、同じ場所に存在するとともに、存在しないためでもある。運動は存在する矛盾そのものである。」  wiki「矛盾」より


見出し画 カンディンスキー「いくつかの円」