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表三郎氏

2006年02月12日 | Society(社会)政治・経済・ニュース・反権力・反原発
office-ebara」のWebsiteを見ていたら、懐かしい名前に出会った。表三郎氏である。桃山学院大学の非常勤講師の時に家に行った事もあった。2年生時のゼミの先生である。その後、駿台予備学校で人気英語科講師になられたとの事。

当時は革共同から大市大全共闘議長を経て、桃山学院大学の非常勤講師になったばかりの頃だと思う。当時から『現代の理論』『情況』誌に論文を多数発表されていた。授業中に学生運動の話に脱線して非常に面白かった。

表三郎氏は1940年広島に生まれ、戦後日本の貧困の時代に、大阪で育つ。当時の社会を民主主義の立場から批判するため、1950年代からの左翼運動に参加。二浪の末、本番の練習のつもりで受けて合格していた甲南大学へ祖母が勝手に入学金を納めて進学。最初革命的共産主義者同盟(革共同)に所属するも、中核派・革マル派の分裂に際してはそのどちらにも加わらず、その後大阪市立大学大学院時代に理論家として全共闘運動を指揮し、一躍勇名をとどろかせる。1970年大阪市立大学大学院博士課程終了。

その後、桃山学院大学の非常勤講師となるが、妻子を養う必要性に迫られ、駿台予備校教師となるや、その類いまれなカリスマ性からたちまち人気講師となる。英語を教える以上に、次のように学生の夢を実現する方法を指南してきたのが人気の秘密。「夢をもったら2番手、3番手に甘んじるな!自己像は必ず狂っている。大人になるとは、あるがままの自己を受け入れることである。考えることは生きることと同じ。考えを正そうとするのなら生き方を正さねばならない。根底から自分をたたき上げる必要がある。」これまでに教えてきた生徒の数は10万人をはるかに越える。そして過去に京大で講演会を開催した際には800人締め切りになるほどの好評を博したこともある。伊藤和夫氏率いる構文主義の総本山である駿台に在籍しながら、ポスト構文主義を掲げている。

夜9時就寝、深夜1時起床という「超朝型生活」実践。英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語に加え、60歳を越えてからギリシャ語と中国語の習得に挑戦中。本代に年間数百万円以上、散財することもあり、置き場所に困った数万冊の蔵書を保管するため、自宅の隣地に書庫専用の家を建てている。

「人は必ずなりたいものになる」が人生のモットー。グレン=グールドのCDを聴きながら、濃い目のコーヒーを飲む時間を大切にしているとのこと。

以前から三郎という名前から三男坊だと思っていたが、やはり男四人兄弟の三男だということが『答えが見つかるまで考え抜く技術』の本で知った。先生の家におじゃました当時(1972年初頭)、生後1ケ月くらいの赤ちゃんを先生が抱いておられた事を思い出した。その子のお子さん(先生の孫)が今は3歳(2003年当時)ということがその本に書いてあった。ということは、その時の赤ちゃんは現在34~35歳になられたことになる。男の子か女の子かその時、聞かなかったが、その本には娘と書いてあったが、一人っ子とは限らないので、未だにその赤ちゃんが男の子か女の子かは不明である。

先生はガッチガチのマルクス主義者だったが、1997年前後にマルクスから脱却し、マルクスを捨てたとのこと。「個人」という概念ができ上がったのは(個人が個人を規定するようになったのは)ルネッサンス以降であり、共同体が解体されることで「個人」は発生した。「個人」の発生以降、個人の自由が全体との関わりとしてとらえられることとなった。歴史的決定論はある大きな枠組みにしか適用できないものだったし、個人に対して適用できるものではなかった。

マルクスの考えの根底には実は人間蔑視があった。プロレタリアートという集合体などいなかった。それは幻想だった。党ができることでプロレタリアートが創出されてしまったのだ。大きな枠組みについて語るgrand theoryの時代は終わった。個々に考えていくしかない。普遍概念を使って実体を説明するのはおかしい。個から遊離した全体など存在しない。

中国では毛沢東のカリスマに自己を投入し埋没させていった時代もあった。また共産主義のようなユートピア主義が殺人を生むことにもなった。なぜなら私的所有の廃止には身体の私的所有も含まれているからだ。全体の調和をはかるために国家形成がなされたが、人間が人間であるかぎり支配的な統一体などいらない。国民国家の概念は解体されつつある。絶対的アナキズムの世界へと歩み始めた。

アーキーとは支配のことであり、アナーキーとは支配批判のこと。民主主義とは、不同意を示すことを許容することなのだ。違う思想をもっていても協力はできる。完全に一致した協力などできるわけがないが、そのような完全性を求めなくとも、人間は言語をもっている以上始めから協力関係にある。無限に多様な人間であっても自ら秩序が生まれるのだ。

宗教学者のエリアーデが、マルクス主義の宗教観を論じる中で、宗教とは人間の共同性の意識であり、人間の意識の本質である、と言っている。従って、一つの宗教を社会的土台から解明したとしても、宗教そのものを解明したことにはならない。マルクスの間違いはここにあり、宗教とは何かを解明しないで、ある社会形態にとってのある宗教を批判したら宗教の批判が終わると言ってしまった。

マルクス主義は既に社会をトータルに捉えていると思い込んでいるので、経済決定論を生む。だから、計画経済によって理想的な社会が創れると考えられた。それが、〈社会主義建設〉という言葉を生んだ。マルクス主義では、下部構造が上部構造を決定すると言われるが、ところが、ソ連では上部構造である政治がソビエト社会を創った。

マルクス主義の力は全社会をトータルに捉えられるということであったが、これが逆にある虚像を生み出した。マルクス主義者が個人主義を嫌うのは、自分たちはトータルにものを掴んでいると思っているから。しかし、我々は関係の中にいる以上、トータルということはあり得ない。

階級闘争という考え方をすると、どうしても独裁を生む。プロレタリアート独裁とは、本当は大きな語義矛盾である。端的に言うと、社会的階級が政治権力を握ることはできない。プロレタリアートが一つの政治的意思を持つためには党とならざるを得ない。すると、必然的に党が独裁することになる。プロレタリアート独裁という言葉は、社会の次元と政治の次元とを取り違えている。資本主義社会はブルジョワジーの独裁だとよく言われるけれども、本当にブルジョワジーが独裁しているのか?という問題も考えてみたい。

階級概念はフランス革命史の研究から出て来たもので、マルクスはそれを創始したのではなく、経済の問題に結び付けただけ。レーニンは、プロレタリアート独裁の定義として、すべての法を無視する暴力、と言っている。これを権力を握った人間が言ってしまったらおかしい。魏京生は社会主義法が絶対に必要だと言った。それがないから毛沢東はあれだけの人間を殺してしまった。

いずれにせよ、マルクス主義という宗教は止めたい。我々の社会の現実から考えて、残っているものはあるのだが、受け継ぐべきでないものもある。マルクスは独占が資本主義の最後の段階だと思っていたが、現実にはそうではなかった。

(先生の経歴等は著書『答えが見つかるまで考え抜く技術』『日記の魔力』やインターネットの「Wikipedia」「第54回駒場祭・表三郎氏講演会(京大講演会内容)」「office-ebara」の「アソシエ21関西…第2次PC講座テープおこし・表三郎2000.3.11」等を参考にした。)

『スーパー英文読解法(上・下)』(論創社)等の大学受験参考書を多数出版されており、最近では、ベストセラー『答えが見つかるまで考え抜く技術』サンマーク出版(2003年)や『日記の魔力』サンマーク出版(2004年)がある。また京大や東大、アソシエ21関西等での講演活動もされている。

★電子書店パピレス
★表三郎(Wikipedia):
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%A8%E4%B8%89%E9%83%8E

★第54回駒場祭 表三郎氏講演会:
http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/9281/index.html

★office-ebara.org第2次PC講座テープおこし 表 三郎 2000.3.11:
http://www.office-ebara.org/modules/xfsection04/
article.php?articleid=46

★This Month インタビュー 第10回表三郎氏 Timebook Town(前編):
http://www.timebooktown.jp/Service/clubs/00000000/
f06/f06_10_01.asp

★This Month インタビュー 第10回表三郎氏 Timebook Town(後編):
http://www.timebooktown.jp/Service/clubs/00000000/
f06/f06_10_02.asp

★「日記の魔力」おススメ!:
http://www.geocities.jp/serizawa_kojiro/9-nikki.htm

★エニアグラム研修報告「日記の魔力」表三郎著について:
http://d.hatena.ne.jp/kolbe/20050911

★生涯学習ブログ:
http://gakusyuu.blog.ocn.ne.jp/gakusyuu/
2006/05/post_6489.html

★人生を成功に導く読書術おやじむしの3分書評:
http://plaza.rakuten.co.jp/successread/diary/200609300000/

★なるしす日記表三郎「答えが見つかるまで考え抜く技術」より:
http://d.hatena.ne.jp/narushisu/20051101/1130803212

★Jandy's Blog『答えが見つかるまで考え抜く技術』表三郎著(サンマーク出版):
http://blog.goo.ne.jp/jandy7322/e/
50d6cb4fbd066927c666e96315f81815

★Jandy's Blog『日記の魔力』表三郎著(サンマーク出版):
http://blog.goo.ne.jp/jandy7322/e/
e115acdd5192520d21760da584b7aff3

★Jandy's Blog「表三郎氏」:
http://blog.goo.ne.jp/jandy7322/e/
737043606ea1ea29ee7a943b34f7b987


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1 コメント

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懐かしい名前ですね (アッテンボロー)
2006-02-26 00:03:02
 私も表氏の英語を受講していました。授業中にトロツキーの話をしたり色々脱線するのが面白く、勉強そっちのけで話に聞き入っていました。
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