当院で入院やお預かりしている犬を散歩に出した時、外で排便したとすると、するや否や即座にやって来るキンバエには恐れ入ります・・・・・。多分臭いを察知してどこからか飛んでくるんでしょう。ハエ軍団は、臭いにとても敏感なんでしょうね。
サシバエも、秋終盤になると、ひっくり返した馬着やゼッケンにたかりまくるようになります。自分の保温もあるし、やっぱりゼッケンや馬着に馬の体臭が付いているから誘われる、という事もあるんでしょう。となると、体臭をどうにかしないと、ということになります。
しかし、馬のような草食獣は特段体臭なんかないはず、「体臭」とされているものはなにか、これは馬房の臭気でしょうね。臭気(特にアンモニア臭)が染み付いちゃってるんだ。あーやだなー、動物関連施設ってどうしてこう臭うんだ
自分で動物病院をつくらなくちゃならなくなった時(勤めていた病院をいきなりクビになりまして)、とりあえず、他の動物病院をちょっと見学させてもらったんですけど、どこもかしこも凄い臭気でたまげちゃって。鼻が曲がるよくこんな場所で仕事ができるなあ、いや、それどころか入院患者さんにこの臭い絶対に染み付くぞ、トラブルにならないのか?と不思議で。ああ、そういえば、勤めていた病院もめちゃくちゃ臭くて、それをハイターを撒きまくってなんとか臭気を失くしたんでした・・・・・。
ので、当院では一切臭いが出ない・付かない・いい空気が維持できるよう、設計段階からかなり考えました。臭気って空気清浄機をつければどうにかなる、ほど、甘くないです。開院から20年以上経過してますけど、未だ臭い0。入院患者さんも臭いなんかつかないから、安心して預けていただいてます。「先生のとこにいれば安心だから」と言っていただけるのは、有難い(緊張もしますが)。カンケーないですが、動物病院やペットショップ等々、臭う場所は基本的な管理が不行き届きと判断していいと思います。行かない方が吉。下手すると病気をうつされます。
鼻が曲がる臭気の主たる原因はアンモニア臭で、これは尿中の尿素が変化したもの。尿素はタンパク質の老廃物のなれの果て。糞便の臭いはどうか?これ、以前読んだ
に面白いことが書いてありました。藤田さんはかなり癖の強い方だな~~、と思いつつ。競走馬には、とにかく走ってほしい。ので、やたらサプリや濃厚飼料を食わせる、従って、馬の糞便の臭いが人間のそれっぽくなってくる、というんです。馬房がどんどん臭くなっちゃうよ・・・・。
馬に濃厚飼料を当たり前のように食べさせてますが、必要なのか?これは、不要です。草食獣は大まかに反芻獣とそうではないのと、2グループに分けられますが、馬は反芻獣じゃない方です。長い小腸で草から乏しい栄養を極限まで吸い上げて、更に、盲腸で発酵させて取れる栄養を摂る。濃厚飼料を給餌すると、小腸から吸収される糖類がドカンと跳ね上がります。で、一過性の高血糖になるもんだから、イライラする、蹄葉炎を誘発する、わけ。で、更には盲腸の中の細菌叢をかく乱してしまうので、疝痛が起こる。特に春~秋の期間は、濃厚飼料をやるべきではありません。
以前、割と有名な乗馬クラブに7月頃行ったら、馬の夕飼いがずらっとバケツに入っていたんだけど、ハエがわんさかたかってて。濃厚飼料のにおいに誘われたイエバエなんでしょうけども、不潔の一言。で、濃厚飼料をあてがわれている馬は皆さんがれまくってて生気がない。で、糞便や尿の臭いもきつくなるからサシバエもたかる。濃厚飼料はネズミも呼びます。不衛生を絵に描いたようになってしまうんですね。良かれと思ってやっているであろうことが、逆効果になってしまっている。
疝痛や蹄葉炎等々を防止するには、少なくとも春~秋の間、一切濃厚飼料の給餌をストップするのが、食餌管理としては最良です。管理もラクになるし、ハエもたからなくなるし、ネズミも呼ばれないでしょうし。
自馬を預けてる方は、まずは濃厚飼料の給餌を止めてもらえばよいかと思います。色々言われるかもしれませんが、気にしない事です。
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