ハミなし頭絡で楽しい馬生活!日本ビットレスブライドル協会

テーマ別に連載形式になっています。テーマ別に最初の記事からお読みください。

殺虫剤というか、農薬について

2020年07月20日 | ハエ対策

 殺虫剤について言及すると「それっっ、農薬は害だ、殺虫剤なんぞ使うな」ってなりがちなんですけど(一方、ホムセではやたら殺虫剤だの除草剤だの売られてて、しかも、その対象は「不快害虫」だったりする。不快だからいなくなってくれってひどくないですか?)むしろ、見ていると、殺虫剤の使い方、その時期等々、そこら辺に問題がありそうなんです。あと、殺虫剤や農薬に対する理解がほぼない状態で撒き散らしている、んじゃなかろうか?という疑念。

 ということで、農薬について。農業をある程度「事業」として行うとなれば、農薬ってやっぱりどうしても必要なんじゃないかと思うのは、一種類の植物を同じ地域に大量に植える手法を取れば、そりゃその種の保育園みたいなもの、どんどこ病気だの虫だのがたかるに決まっているから。「無農薬」って聞こえはいいですけど、家庭菜園のレベルでも野菜が虫害に遭って穴だらけとか普通に起こるし。むかーし子供だった頃、親が、多分遊び半分で畑をやってましたけど、農薬撒きまくってたよなあ・・・・・。ナスなんか、ニジュウヤホシテントウっていう植物食のテントウムシに食い荒らされまくってて。そういうのをほっとくと、他の区画の菜園にも悪影響だしね。虫害が出ないようにしつつ農薬も使わんと、という農法を実践している場所もあるし、それで成果も上がっている場所もあるようだけど(そういうのもYOUTUBEに結構出てますね)。この方とか。


更地から2年で緑の楽園に!実践した4つのこと【自然農・パーマカルチャー 】

こういう農法は大いにありと思うんですが、収益性がどうなのかとか考えると、難しいところもあるでしょう。

 という事で農薬。知識0で「ダメだあ」と言うのはよろしくない。なので、資料を。今って、なんでもネットに載ってるんですね。

1)殺 虫 剤 の 特 徴 と 使 用 上 の 注 意 事 項  

2) 家畜・ミツバチ・マルハナバチに対する被害防防止

この2つの資料に色々書かれています。これもさらっと表になってますが・・・・。IGR製剤は資料2)の表のうち8/30/31/91/98/110/137/138/159 。また、表を見るとネオニコチノイド系については、ミツバチやハナバチに対する影響が突出して高いことが分かります。

 この表は、農薬使用法を順守した場合、というのも重要です。順守しないで、ただ撒いたんじゃ、効果なし副作用爆上げ、になりかねない面があるのは、薬だもの、当然ですけど。

 気になっているのは、馬施設で、そういう農薬知識もなく適当に殺虫剤撒いてるんじゃないの?と思われる節が多々あるから。あと、殺虫剤等々の対処は、医療で言えば「治療」で、一回治療すりゃOK、にはなり得ない、し、治療するくらいなら、そもそも予防した方が手っ取り早い&金がかからない&楽勝なのでは?と思うので。


敷料と床とハエ

2020年07月17日 | ハエ対策

 乗馬は、近くにあった最大手の乗馬クラブ(ほぼ特定できちゃいますね)で始めたのだけど(大学の馬術部は、ここに入ったらまともな大学生活、どころか勉強自体が不可能だと思ったのと、今は知らないが、当時はOB連中がやたら幅をきかせていて、飲み会というと現役部員がOBに酌をして回るという、なんじゃそりゃという慣習を聞いて、ぞおっとしたので入らず。それでよかった。「馬ってこういうもんだ」という変な思い込みをつくらずに済んだから)、入ってすぐ、このハエの多さは何なんだ、と呆れましてね。夏ともなると、サシバエが馬の腹にわんさかたかって、そのせいで馬がイラついて人を振り落とす事故が多発する。こっちまで刺されそうになる。で、それに対してはっきり言って「無策」としか見えなかったから。じゃあ他のクラブはどうかというと、おそらく日本・いや、世界中の乗馬施設が「無策」で、春~秋はしゃあない、で済ませてるんじゃないかと思う。サシバエについては、「アニマルライツセンター」とかいう団体が動物園や牛舎等々に対して告発だあなんてやってますけど、まずはあちこちの乗馬クラブに対して言ってほしいですよ。そっちの方が余程だもの。

 サシバエ被害は特に牛や豚で深刻で、酪農業界ではなんとかならんか、と皆さん問題視しているし、あちこちの農業試験場等でも調査研究しているし、なのに、対策がちっともうまくいっていない。やってることは「掃除&殺虫剤&ハエ取り紙&IGR製剤(脱皮抑制剤)」がおおむねのパターン。最近はそれに追加して


 

のような殺虫剤を練り込んだ防虫ネットが効果あり、とされているようだ。基本は殺虫剤ですね。

 でね、これからは、もう、殺虫剤を特に幼虫対策としては使いにくくなるだろうと思うんです。幼虫というか、ウジは畜舎の敷料の中にいるから、そこにIGR剤を撒きなさいとなってるけど、それが堆肥になって、回り回って花に入り込んで、他の昆虫に悪影響を与えてしまう。特にミツバチに対する影響が不安視されているわけで。現時点で問題になっているのはフィプロニル等の ネオニコチノイド剤とされてますけども。

 じゃ、殺虫剤抜きで対策できるのか、と疑問ですけど、そもそも、殺虫剤をたんとばらまいて全然効果が出てないじゃありませんか、という現実。最近のサシバエときたら、コックローチ程度じゃ全然平気なんですよ。あと、最近の話だがサシバエに対する天敵ハチが見つかったというんだけど、殺虫剤はどちらも平等に殺してしまいますから。

 ということで、もっと総合的に考えた方がいいんじゃないかと思う。個人でできる対策と、施設側にやってほしい対策とに分けてみますが、床や敷料との関連もあるから。なかなかややこしいのですけども。


堆肥化というけれど

2020年07月14日 | 厩舎管理等

 堆肥について、基本的な情報はこちらなんですが、今はYOUTUBE先生が大勢いらっしゃいますので、その方の講義の方がなんぼも分かりやすいですね。後半には馬糞堆肥の話もちょっと出てきます。

で、酪農の場合、堆肥化施設は下手をすると畜舎よりずっと規模が大きかったりする。作業規模も大きい。

凄いです。ローダーが運転できないと、牛舎管理はできない感じね。最大手の乗馬クラブでもせいぜい飼ってる馬の数は1カ所につき100頭前後ですけど、牛の場合は1000頭とか、当たり前だものね。

 堆肥化について真剣に考えてしまうのは、どこの乗馬施設でも、馬糞や敷料の行き先は名ばかりの「堆肥舎」らしき所にどさっと積み上げて終了、になってしまっているから。家畜排せつ物法は、その辺に馬糞をぶん投げる「野積み」を禁止している。ので、屋根と床と壁が付いてりゃいいんでしょ、的ないい加減な堆肥舎に放り込んで終了になってしまってるんです。これは、ただの廃棄物で、堆肥とは言えない。その結果、堆肥舎=サシバエ製造工場になっちゃってるケースが大半ではないでしょうか。

 サシバエ対策については、いずれ詳述する予定ですが、現状の乗馬クラブで、個人の努力でサシバエをどうにかするのは不可能だと思います。クラブが根性出さないと。根性の出し方の一例として糞便&敷料の堆肥化にしっかり取り組んでみればいいのに、という話。その上で肥料取締法に基づいてちゃんと届を出して馬糞堆肥を売りまくる、という手もあると思うんだけどな。昨今、どのクラブも金がなくて往生してる、教える仕事以外のなにかで金を生み出す仕組みを考える方が生産的じゃないかと。難しいでしょうか?

 そもそも堆肥の原料になる糞便や尿は、不衛生なものです。「ボロ」とかいってごまかすべきではない。それをなんとか衛生上問題がないレベルに分解するのが「堆肥化」で、この仕事をしてくれるのが微生物。うまく働いてくれれば、堆肥化の過程で堆肥プラントは60℃以上の高温になる。60℃以上ともなれば、サシバエの卵もウジも生きてはいられない。小規模のたい肥作りの一例はこちらに紹介されています。堆肥化にかかる時間は、馬糞を使うとやや効率的になるようだけど、やっぱり1か月くらいは必要になる。施設に置いておけないよね・・・・。

 でも、堆肥をつくるというのは大変な作業なんですよね・・・・・。好気性発酵させなくちゃならないから切り返し(空気を混ぜるために掘り返して混ぜ直す事)・微生物がちゃんと働き、かつ、火災にならないように加水すること(50%以上はないといけない)、手動でやったら重労働、水分を大量に含んだ土を掘り起こして切り返し作業って、大変過ぎます。。。
 やってみている動画。枠が簡単に外れる工夫があるからまだマシそうですけど・・・・

 最近は、通気装置を使って強制通気して切り返し作業を省略します、という装置もある。これを使っている乗馬クラブもある。使い勝手は良さげですけども。ブロワーを要するだけで、大きな設備は必要ないから、機械が壊れる可能性は低そう。送気型だから、送気管の目詰まりもしにくそう。とにかく発酵熱を70℃近くまで上げられれば、堆肥内のサシバエの幼虫や病原細菌・雑草の種等々が死滅してくれるから。

 ただねえ、堆肥=土壌改良剤として考えると、農地に撒くというのもそんなに量を使うように思えなくて。農家さんとうまいこと契約できるといいですけど、だぶつくと難しいですね・・・・。商売にするなら、まずは肥料取締法を順守した上で届け出をして、販路開拓となります。やってやれないことはなさそうなんだけど。

 で、堆肥舎の管理をちゃんとした方がいいと思うのは、一体どこからサシバエが湧いて出てくるのか、散々考えたから。


堆肥と肥料

2020年07月13日 | 厩舎管理等

 ワタクシ、農学部獣医学科卒なんですよ。なのになのに、堆肥と肥料の違いを今日まで知らんかった~~~~ アホか~~~~

 でもねえ、農学部といっても、獣医学科ってなんか離れ小島風でしてね。これ、問題です。小動物ならともかく、大動物や公衆衛生方面に行くなら、農業部門に対する理解がないと、務まらないでしょう。こんな事、学生の頃は全然考えなかったんですけど、もったいなかったな。。。。

 家畜の糞尿については、今やちょっとでも臭うと近隣住民とやらの逆鱗を食らうということで、どう処理するか、は大問題になっている。昨年行った「畜産エキスポ」でも、「悪臭対策」についての講演会があったし。講師の先生がおっしゃるには、臭い&騒音は、あくまで「主観」に基づいた判断になりやすい、臭いについては、かなり頑張って1/10にしました、で、やっと「少し臭わなくなった?」程度の評価しかしてもらえないんだそう。だから、とにかく最初の対応が非常に大切なんだそうです。家畜飼うなら、家畜以前に糞尿対策をがっつりやらないとイカンということなんでしょうね。

 もう一つ、臭いはハエを呼び寄せる。どんどん衛生状況が悪化してしまう。イエバエも、サシバエも、対策はそこからやらないと。で、家畜の糞尿対策の柱は、焼却処分か、堆肥化か、とこの2つにほぼ集約されている、とみていい。日本は特に、堆肥化率が非常に高いそうで、酪農家さん達の努力をしみじみ感じるんですよ・・・・。

 で、堆肥なんですけど。馬施設で、「馬糞の堆肥差し上げます」というのどこでもやってますよね。あれ、実は、「堆肥」じゃないんですよ。っていうか、今後は大丈夫なんでしょうか?心配しているのは、この間、メルカリで肥料を小分け販売してた人が逮捕されちゃったから。「肥料取締法」が根拠法なんだそうですが、初耳・・・・。ただ、理解はできます。肥料に何らかの有害物質が含まれていて、それが回り回って野菜に入っちゃって、で、食べたら食中毒とか、普通に起こりそうですもん。堆肥は肥料じゃないから大丈夫なのか?なんだか危なっかしい・・・・。

堆肥と肥料の違いは、簡単にいうと

  1. 堆肥:土壌を改良するもの
  2. 肥料:植物に栄養を与えるもの

なんだそうです。そうなのか。。。こういう理解でいいのかしら?で、堆肥は、作成法としては、有機物(落葉のような植物質や家畜糞のような動物質)を発酵させて(腐敗させないということ)無害な物質に変えつつ、畑や田んぼの土地を耕作栽培に向いた土地に変更する、もの、のようです。堆肥ってまともにつくるとなるとエライ大変なんですよ。その話は次回。


敷料問題

2020年07月09日 | 厩舎管理等

 床は多分防水より透水の方がいいのではと思うのは、防水だと敷料がどんどん湿ってしまうから。そうなると、敷料をしょっちゅう交換したり継ぎ足したりしなければならなくなる。これがかなり重労働で。おが粉を使っている施設が多いと思うのだが、木粉が舞い上がっているのを見ると、これを毎回吸い込むのは人馬共にどうなのか、という疑問もある。一方藁だと臭ってしょうがない。大学の馬術部の臭いも、大概敷料の藁を一々乾かして再利用するせいだったんじゃないか。藁が臭くて。

 一方、おが粉をしょっちゅう交換して清潔にしています、を売りにしている乗馬施設も多いけど、そんな重労働をしなくても衛生的に管理できればいいわけで。乗馬施設=3Kじゃ、しょうがないですもん。

 敷料については、対象は主に牛ではあるが、色々研究されている。というのも、敷料はそのまま大量の廃棄物になるわけで、どう処理するのだ、という問題が常に付きまとうから。パッと来るのは「堆肥」、堆肥化して農家さんに引き取ってもらおうじゃありませんか、という事なんですけど、となると、堆肥になりやすい敷料を考えなくちゃならないのだ。最近はおが粉の価格が上がっちゃって、なんとかして安くて病気になりにくくて堆肥化等処理がしやすくて、という敷料を皆さん探しているんですね・・・・。酪農家の方は本当に大変。

 敷料研究資料としては、熊本畜産広場にあるものがかなり詳しい。さらっと表になっていますが、ここまで調べ上げるのは大変だったと思います。農水省も考えています。農水省が頑張る理由は「家畜排せつ物法」が大きいでしょうね。糞尿処理について、こうも色々な法律が絡むという事は、旧来かなり問題が大きかったことを示しています。真剣に考えなくちゃなりません。

 敷料の表のうち吸水性だけに着目すると、圧倒的におが粉と藁が強いですね。時々使われるもみ殻は吸水性はかなり悪め。通気性は高くなるから、動物はまあ喜ぶだろうし堆肥の質もいいいそうなんだけど、逆に腐りにくいから堆肥化はしづらい。馬施設で使われるのは、圧倒的におが粉なんだけど、理由としては、通年入手できる、うまくすると製材所等々から安く譲ってもらえる、かもしれない、というあたりか。もみ殻や藁は通年入手は無理で、通年使うとなると、保管設備が必要になる。乗馬施設は牛や豚の施設に比べたら、全然小規模だから、保管庫まで建設できない、というのもあるか。NTCはビニルハウス内におが粉を保管している。でも、ビニルハウスすらつくる場所がない、という所も多いでしょうね。

 敷料の行き先なんだけど、家畜の場合、圧倒的に「堆肥化」のようです。だから、条件として「堆肥化しやすい」というのも入ってくる。というか、もう、堆肥化を前提にした敷料研究になっていますね。これとか これ とか。敷料に含まれる細菌についての研究は これ 。かなり面白いです。というか、こういうの卒論でやってよ、獣医科の学生諸君。こういう基礎研究がない状況であれこれ言っても、説得性に欠けるんですよね。
  代替敷料として、全農が出しているのが「あんしん君」。これは古紙リサイクル品なんだそうですが、堆肥率が高い、無菌である、圧縮されているので場所を比較的取らない、等の利点があるそうです。勿論有料ですけども。

 敷料のおが粉代替品、自分が思いつくのは、例えば竹パウダーとか。最近は性能のいい粉砕機があって、竹のように固いものでもパウダー状にまで粉砕できるらしい。竹パウダーは消臭・抗菌作用もあるし、乳酸菌がかなり優勢になるそうなので、敷料に混ぜるといいのではないか。同様に、間伐材やもみ殻を粉砕して敷料にできないものか?

 敷料についてあれこれ考えてしまうのは、敷料=床=サシバエ!と関連しているから。それからもちろん、蹄管理に直接かかわってくるものでもあるし。