リチウムイオン電池の実用化開発で、旭化成の吉野氏が
ノーベル化学賞に輝いた。今年のノーベル・ウィークの
幸先良いスタートである。
エンジニアリング会社に在職時代、あるメーカー向けに
携帯電話(スマホ)用リチウム電池の製造ラインの一部を
見積もったことがある。
絶縁材を挟んた正負極のロール巻きのシートを、高速で、
正確に所定長さ(約60cm)に切断する工程である。
切断されたシートは、その後の行程で、扁平した渦巻き状
になってスマホの電池ケースに納まる訳である。
シート状のものの搬送や切断にはちょっとしたノウハウを
持つ我が社だったが、その切断長さの要求精度は「0.1mm」。
実験の結果、0.2mmなら保証出来そうだったが、客先は
No!の回答。「その0.1mmのために電池がケースに接触して
熱を帯び、最悪燃えだしたら補償出来ますか?」。
価格の問題もあり受注を断念したが、最近の携帯電話や
モバイルバッテリーの燃焼事故のニュースを見るたびに、
「受注しなくて良かった」とつくずく思う次第である。
さて、台風19号接近前の昨日は久々の快晴。JR高崎線
北本駅から鴻巣宿を越えて吹上駅まで歩いた。写真の整理
はこれからだが、さわりを紹介しよう。
前回の桶川宿から北本駅までの中山道沿いの約4キロは、
圏央道が横切っているくらいで、街道に関する見どころは
ほとんどない。
しかし、北本駅から1キロ近く桶川方向に戻ったところに
中山道以前の鴻巣宿だった「本(モト)宿」がある。本来の
鴻巣宿、という意味であろう。
そして、この北に高崎線の駅が出来た時、本宿の北の駅、
北本宿駅、略して「北本」駅になったという。
北本駅前まで戻る途中、珍しい無患子(ムクロジ)の樹が
ある多聞寺と、このあたりで盛んだったという「和算」の
問題と回答、十二問が描かれた扁額が奉納された天神社に
寄ってみる。
北本駅前の交差点にある「北本市域における中山道」の
説明によれば、江戸幕府前の文禄年間に徳川家康が泊まる
「鴻巣御殿」が建った今の鴻巣駅近くに、本宿から宿場が
移ったという。
日差しは強いが風があって涼しく感じる日。ここから
吹上駅までの約12キロ、快適なウォーキングになりそう
である。続きは次回。