卓球・水谷隼 金メダルの陰で戦い続けた「中国卓球の不正ラバー問題」
7/27(火) 21:55配信 ニッポン放送
話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、7月26日、東京五輪の新種目、卓球・混合ダブルスで、伊藤美誠選手とペアを組み金メダルを獲得した、水谷隼選手にまつわるエピソードを取り上げる。
「今まで世界卓球、五輪でメダルをたくさん取ってきたが、銀メダルや銅メダルで、日の丸をてっぺんに
あげることができなくて、きょう日本の国旗が一番上にあがり、君が代を聞いているときはアスリートと
して誇りに思った最高の瞬間」
~『産経新聞』2021年7月27日WEB配信記事『水谷「中国超え苦しかった」 金の卓球ペア一問一答』より
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東京五輪から卓球競技で採用された新種目、混合ダブルスで、水谷隼・伊藤美誠ペアが日本卓球界初の
金メダル獲得を果たしました。決勝の相手は、第1シードの許キンと劉詩ブン(中国)。2019年世界選手権
の個人戦の優勝の、世界最強ペアです。水谷・伊藤ペアも過去4度対戦して一度も勝利したことのない相手
でしたが、2ゲームを連取されても諦めず、痛快な逆転勝利での快挙達成だったことも、喜びをより大きく
しました。
今回の金メダルは、日本卓球界初、ということはもちろん、中国勢を破っての金、ということに、ひときわ
大きな意味があります。
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「今も昔も中国の壁はみなさんが思っているよりも高くて、今まで越えることができなかった。これから
先もずっとずっと中国という壁はものすごく高い。そんな中で今回は少しは活路を見いだせた。五輪と
いう特別な舞台だと中国選手も同じ人間だと感じたが、中国を越えるのはここまで苦しいというのも、
感じさせてくれました」
~『産経新聞』2021年7月27日WEB配信記事『水谷「中国超え苦しかった」 金の卓球ペア一問一答』より
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打倒中国。それは水谷選手にとって、まさに選手生命を賭けて挑んできた長年の課題であり、悲願でした。
個人・団体の両方でメダルを獲得した前回のリオデジャネイロ五輪でも、男子シングルスでは準決勝で
当時世界ランク1位の馬龍(中国)に敗れ、3位決定戦に回っての銅メダル。団体では決勝で中国に敗れて
の銀メダルと、快挙のときであっても常に目の前には中国勢が立ちはだかっていました。
そして、試合以外の部分でも、水谷選手にとって中国は卓球人生をかけて向き合ってきた巨大な壁。
それは、「世界一になりたい」という選手としてのプライドだけでなく、「卓球界の未来」を考えて
ぶつかり続けた相手でした。
象徴的な出来事が2012年、ロンドン五輪後にありました。実はこの時期、水谷選手は国際大会への出場を
ボイコットしていたのです。その原因こそ、“卓球帝国”中国を中心としていた「ラケットの不正ラバー
使用」でした。
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僕はこれから、選手生命をかけて卓球界に横行している不正行為と戦っていきたいと思っています。
もちろん、アンフェアな状況への憤りがあるからですが、それだけが理由ではありません。このまま
不正行為を放置すれば、卓球というスポーツの未来にも暗い影を落としていくという危惧が心の底に
あるからです。
~『Number』2012年11月8日号『<日本卓球の至宝、覚悟の告発> 水谷隼 「世界の卓球界を覆う違法行為を僕は決して許さない」』より
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雑誌『Number』で卓球界に巣食う不正行為を告発し、問題提起したのが2012年11月のこと。
国際大会では以前から、卓球ラケットのラバー部分に「グルー」や「ブースター」と呼ばれる接着剤を
使用して打球の反発力を強める不正が公然化。この接着剤が人体に悪影響があるとして、2008年に
国際卓球連盟が全面禁止を命じても、実質的に野放し状態であることを水谷選手は問題提起。事態改善が
なされるまでの「国際大会ボイコット」を宣言したのです。
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ロンドン五輪のあと、問題を解決するためには自分の進退をかけるしかないと思いました。それで静岡に
帰省したとき、新聞記者の人たちに補助剤の問題を訴え、解決するまでは国際大会を欠場する意向を
伝えたのです。
いろんな反応がありました。「メダルを獲れなかった言い訳にするな」という声も聞こえてきました。
僕の立場が危うくなることを心配してくれる人もいましたが、僕は自分の競技人生だけではなく、卓球
という競技が歪んだ方向へ流れていくのをなんとかしてくい止めたいのです。
~『Number』2012年11月8日号『<日本卓球の至宝、覚悟の告発> 水谷隼 「世界の卓球界を覆う違法行為を僕は決して許さない」』より
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この「不正ラバー問題」が改善できない最大の要因は、卓球帝国・中国を中心に世界トップ選手たちが使用をやめない
から、とされています。
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水谷によると、中国を中心とした外国人選手はグルーに代えてラケットの反発力を強くする「補助剤」を
現在も公然と使用しているという。
「グルーは揮発性溶剤だったためシンナーのような強烈な臭いがしました。違反溶剤の検査機は臭いを
感知する機械ですが、『補助剤』はほとんど無臭で感知できません。つまりいまの検査態勢だと違反を
取り締まれないのです。だから、外国人選手たちは違反だと分かっていながら補助剤を使い続けている
のです。僕は ’09年からずっと補助剤の使用禁止を訴え続けてきました。しかし、結局ロンドン五輪でも
放置されたままでした」
~『フライデー』2013年3月1日号『卓球・水谷隼「不正ラバーには絶対負けない」~打倒中国へ国際大会復帰』より
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この水谷選手の“決死の告発”でも不正利用の実態は変わらず、水谷選手も痺れを切らして国際大会に
復帰したのが2013年2月。その後も不正ラバー問題は、何も変わらないどころか、悪化している状況に
あるといいます。
それでも信念を曲げず、自身は「ノーマル」ラケットで世界の強豪と戦い続けてきた水谷選手。その末に
辿り着いた金メダル獲得に、もっと注目が集まって然るべきではないでしょうか。
そして、金メダリストとなったことで改めて水谷選手の発信力が強まり、注目を集めれば、不正問題の
あり方が変わる可能性もあります。その意味で今回の金メダルは水谷選手にとって競技人生の到達点で
あるとともに、「卓球界の未来」のための大事な通過点である、と言えるのです。
もちろん、東京五輪でもまだ団体でのプレーが残っています。ますます、水谷選手の言動からは目が
離せません。
卓球・伊藤美誠 準決勝で中国人選手に敗れるも「日本のピエロ」と中国語の中傷コメント止まず
2021.7.29 17:25 AERA
女子シングルスの準決勝が29日に行われ、世界ランク2位の伊藤美誠(20)=スターツ=が同3位の
孫穎莎(中国)に0-4でストレート負けを喫した。決勝進出はならず、同日夜の3位決定戦へ回ることが
決まった。
孫は伊藤と同年代の20歳で、互いの存在を励みに切磋琢磨してきた。直近では4連敗を喫するなど、
金メダルを目指す上で難敵だったが、その壁は高かった。勝負の分岐点になったのは第2ゲーム。9-3と
リードしながら8連続得点を奪われるなど逆転された。孫のフォアハンドから繰り出される強烈なボールを
最後まで抑えきれず、得意のサーブも攻略された。完全な力負けだった。
白熱した試合だったが、暗い影を落としているのが中国語などによるネット上での誹謗中傷のコメント
だ。孫に敗れた伊藤のインスタグラムには、「日本チームのピエロ」、「中国に勝てるのは中国だけだ」
など心無いコメントが多数書き込まれている。「私も中国人ですが、美誠ちゃんは素晴らしい選手だと
思います。無礼な人を相手にしないでください」と伊藤を擁護するメッセージも見られるが、モラルを
欠いた書き込みは度を超えている。
「伊藤が水谷隼(32)=木下グループ=とペアを組んだ卓球混合ダブルスで日本卓球界初の金メダルを
獲得したのが、卓球王国の中国にとって屈辱に感じたのでしょう。敵意むき出しで難癖をつけてきたり、
嫌がらせをしている。選手にとっても迷惑だし、この状況を放置するのが健全だとは思えない。IOCは
何かしら調査するべきではないでしょうか」(スポーツ紙の卓球担当記者)
水谷は28日に自身のツイッターを更新し、「とある国から、『○ね、くたばれ、消えろ』とかめっちゃ
DMくるんだけど免疫ありすぎる俺の心には1ミリもダメージない」と告白。「それだけ世界中を熱く
させたのかと思うと嬉しいよ 日本人の方は全て応援メッセージです ありがとう」と綴って大きな
反響を呼んだが、伊藤に対しても金メダル獲得後に、ネット上の「荒らし行為」がエスカレートした。
今回は新型コロナウイルス対策により、台上の汗を拭くこと、ボールに息を吹きかける行為を控える
ように呼びかけられていたが、水谷・伊藤が決勝戦でそのような反則行為をしていたとネット上で話題に。
中国語で「卑怯者」、「メダルを獲得する資格はない」など書き込まれた。
「もちろん、中国人選手を応援している人たち全員が伊藤に攻撃的な態度をとっていないことは理解して
います。『みっともない書き込みはやめろ。同じ中国人として恥ずかしい』など誹謗中傷に不快感を示す
コメントが見られるし、伊藤に激励のメッセージも多く寄せられている。伊藤に勝った孫もこのような
事態になることを望んでいないだろうし、五輪の盛り上がりに水を差す行為です。中国が卓球王国である
事実は誰もが認めますが、ファンのマナーやメディアリテラシーが三流だったら、他国は尊敬の念を抱け
ないですよ」(民放テレビ関係者)
伊藤はシングルスで3位決定戦、女子団体の試合が残っている。心身ともに極限の世界で戦っている
選手たちを傷つけるような書き込みは許されない。(伊藤選手は銅メダル獲得しました)
伊藤選手は韓国の報道陣からライト照射の妨害も受けました。
不当に削除されまくっている場面の動画はコレですよね?
— かのぷ~♪ (@kanopoo1973) July 29, 2021
何度でもアップ出来るように、念の為にデータは保存してあります。pic.twitter.com/gadMcEYtM5