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<台湾情報18-15>ささやかれる台湾「武力統一」の現実味 / 台湾、WHOに100万米ドル寄付 蔡総統「これが中国大陸との違い」

2018-06-01 19:21:48 | 台湾 中台・国際関係

ささやかれる台湾「武力統一」の現実味

2018年6月1日(金)17時00分   Newsweek
 

「中国離れ」を図る台湾の蔡英文総統 

 

 

<台湾に対する外交的包囲網を狭め続ける中国・習近平政権の次の一手は?>

それは蔡英文(ツァイ・インウェン)が台湾総統に就任する2カ月前のこと。

16年3月、中国政府は突如、西アフリカの小国ガンビアとの国交回復を発表した。ガンビアは13年11月に台湾と断交していたが、

中国は16年1月の台湾総統選で「独立志向」の蔡が勝利したのを見届けた上で、あえてガンビアとの国交回復に踏み切った。

それが蔡英文への警告であることは明らかだった。


その後も、中国は台湾と国交のある小国を次々と切り崩してきた。サントメ・プリンシペ、パナマ、ドミニカ。そして5月24日には

ブルキナファソが、新たに台湾との断交を発表。これで台湾を独立国として承認する国は18カ国のみとなった。


ブルキナファソは、直ちに中国との国交樹立に動くとは表明していない。しかし台湾の呉釗燮(ウー・シエチャオ)外交部長(外相)

は、今回の決定の背後に中国がいることは「誰の目にも明らか」だと述べている。


台湾と外交関係を維持する諸国に圧力をかけるためなら、中国政府は手段を選ばない。台湾がWHO(世界保健機関)などの

国際会議に出席できないよう、裏で手を回しているし、各国の航空会社に目的地表示を「台湾、中国」とするよう求めてもいる。

一方で台湾周辺の軍事的緊張をあおり、台湾住民に本土への移住を促している。


死傷者ゼロの台湾攻略案

さらに憂慮すべき点は、こうした動きは最悪のシナリオの序章にすぎないとの見方が出始めていることだ。つまり、中国政府が台湾を

併合し中国の統一という建国以来の夢を実現するため、ついに武力行使に出る可能性だ。


香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストには、早ければ20年にも武力行使があり得るとの観測記事が載った。


もっと早い可能性もある。先ごろ中国のある研究者が出した本には、「中国が死傷者を1人も出さずに台湾を取り戻す」案として、

「18年または19年の夏か秋」に電力インフラを短距離・中距離弾道ミサイルで攻撃し、台湾を攻略する作戦計画案が披露されている。


中国の台湾に対する姿勢が硬化した要因は3つある。まず、最高指導者の習近平(シー・チンピン)が民族主義的な志向を

臆面もなく打ち出していることだ。50年までに中国を「社会主義強国」として完成させることを目標に掲げ、世界に向けて

「中国の偉大な再生」を約束してみせた手前、自国の核心的利益に関して弱腰な姿勢を見せるわけにはいかない。

そしてもちろん、台湾の併合は最大の核心的利益だ。それを実現すれば、習は中国共産党の歴史に名を刻める。

 

第2に、前総統の馬英九は中国との関係緊密化に努めたが、蔡英文の台湾は中国離れを加速している。中国にノスタルジアを感じる

世代が減り、若い世代が台頭しているという事情もあるだろう。


最後の要素は対米関係だ。米トランプ政権は中国に対して強硬な姿勢を示しており、そうなれば台湾に接近するのは当然のこと。

潜水艦の自主建造計画を進める台湾に対し、トランプ政権は米国製部品の供給を許可した。アメリカが台湾への関与を強めれば、

中国側は台湾への圧力を強めざるを得ない。


中国と台湾、そしてアメリカの間を吹く政治の風を読めば、中国から台湾への圧力が弱まる気配はない。残された問題は、

中国がどこまでやるかであり、台湾とアメリカは想定外の事態への対処を今から始めるべきなのかどうかだ。

<Newsweek2018年6月5日号掲載>

 

 

台湾、WHOに100万米ドル寄付 蔡総統「これが中国大陸との違い」

2018/05/26 18:43    中央通信社


(台北 26日 中央社)蔡英文総統は26日、100万米ドル(約1億950万円)を世界保健機関(WHO)に寄付すると発表した。

昨年に引き続き今年も、中国大陸の圧力によって年次総会(WHA)に招請されなかった台湾。

しかし蔡総統は「世界に貢献する決意がある」として、アフリカで先ごろ確認されたエボラ出血熱の対策に役立ててほしいと語った。

蔡総統は一方で、自身のフェイスブックにも「われわれは打って出る」などと題した関連のコメントを投稿。

同資金は本来、24日に断交した西アフリカのブルキナファソとの外交の場で使用するものだったと明かし、

「これからはより小回りの利いた戦略で中国大陸が築いた外交上の壁を突破する」と宣言。また、WHOは政治を行う場所では

ないはずだとした上で、台湾は、自身の権利を主張するだけでなく、地球人としての義務を果たす意欲も持ち合わせていると強調。

「これが中国大陸との違いだ」とつづった。

2016年5月に蔡英文政権が発足して以来、中国大陸の外交圧力は強まる一方で、WHAに関しては、2009年から8年連続で

オブザーバー参加してきた台湾への招請が昨年からストップ。また、国交樹立国にも影響が及び、これまでに、

サントメ・プリンシペ(2016年末)、パナマ(昨年6月)、ドミニカ共和国とブルキナファソ(いずれも今年5月)の計4カ国と

断交した。