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<ラオスダム決壊とメコン川開発問題>ラオスダム流失事故、背後には「メコン川開発問題」が隠れている

2018-07-27 08:24:01 | インド・東南アジア・中央アジア

ラオスダム流失事故、背後には「メコン川開発問題」


 「7月15~24日、メコン川本流に沿って一部地域で3メートル以上増加するなど、急激に水位が

増加している。しかし、まだ警告段階ではない。熱帯台風『ソンティン』でラオス北西部の

ルアンプラバンから首都ビエンチャンまで暴雨が降ったためと分析される」


 メコン川を共有する4カ国が共同で設立した国際機構メコン川委員会(メートルRC)のホームページに

25日掲載された文だ。大雨によってラオス全体でメコン川の水位が高まったという事実を警告している。

メコン川委員会は、持続可能な発展に向けて川を共有する6カ国のうち、タイ、ラオス、カンボジア、

ベトナムが加盟国として参加している。メコン川上流に位置した中国とミャンマーは外れている。


 メコン川委員会の説明によると、SK建設が施工したラオスのセピエン-セナムノイダムが

23日(現地時間)に決壊し、数百人が行方不明になる前から、ラオスの多くの地域で水位は急激に

増加していた。SK建設の関係者は事故初期「当該地域で普段の3倍を超える大雨によって補助ダム

1つが氾濫した」と明らかにした。SK建設側の主張通り土ダムの一部が流失したものなのか、

手抜き工事で補助ダムが決壊したのかを知るには、事故原因を究明しなければならない。


■メコン川の無作為式ダム建設

 今回のSK建設のセピエン-セナムノイダム決壊事故前から、メコン川の無作為式ダム建設と

これによる水位不安定は、国家間の外交問題にまで広がってきた。国連環境計画(UNEP)は2009年5月

「中国のダム建設でメコン川の流量と流れが変化し、水質悪化と生物多様性破壊が起きる可能性が高い」

と警告した。


 6カ国を貫通するメコン川は世界で十二番目に長い。4350キロメートルの長さのメコン川上流には

中国が位置しているが、中国は1995年に最初のダムを建設した後、7つの水力発電用ダムを追加で

建設した。雲南省、チベット、青海などメコン川上流地域にも20あまりのダムを追加で建設する予定だ。

それだけでなく、中国企業は川の下流6カ所のダム建設プロジェクトにも投資した。

 問題は、上流のダム建設で下流の水位が予測不可能になったという点だ。メコン川中流に位置した

タイは、2013年12月から2014年2月まで水位が急激な変動を見せると、中国を疑いもした。

タイ北部地域であるチェンライ県チエンセーン地区を流れるメコン川は、2013年12月6日に水位が

2.73メートルだったが、同月17日は6.75メートルに跳ね上がった。しかし、2014年2月初めには

1.6メートルに下がり、急激な変化を見せた。タイは中国との交渉に出て、2010年からメコン川の

水位情報の提供を受けたが、乾季には受けられていない。雨期にのみダムの放流量などの情報を

受けるだけだ。


■水資源管理による6カ国の対立

 メコン川の水資源管理をめぐり国家間の葛藤が悪化すると、カンボジア、ラオス、ベトナム、

タイなど4カ国が1978年にメコン川委員会を構成し、水資源開発を調整した。持続可能な開発を

目指したものだ。しかし、中国の本音は違う。中国は残りの貧国にダムを建設して経済的利益を

得る一方、これらの国家における外交的存在感を拡大しようとしている。

中国は従来の「メコン川委員会」(MRC)に代わる「瀾滄川-メコン川協力会議」(LMC)を設立した後、

この地域に莫大な投資と経済協力を約束し、メコン川周辺国の歓心を買うために努力してきた。


 昨年12月30日、ベトナムのハノイで開かれた第6回メコン川経済圏(GMS)ビジネスサミットで、

中国の王毅外交部長とベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマーなど5カ国の政府代表らは、

計660億ドル(約7兆3000億円)にのぼる227のプロジェクトの推進に合意した。

メコン川経済圏ビスジスサミットの代表的なプロジェクトも、中国資本を投入してメコン川支流に

総事業費8億1600万ドル(約900億円)、予想生産電力400メガワットのLS2(Lower Sesan 2)規模の

ダムを建設するものだ。特に東南アジア国家の中でも産業化が遅れたカンボジアは、中国の投資を

受け大規模な水力発電ダムを建設、産業発展に必要な電力インフラを拡充して国民の電気料負担を

減らすという計画を立てた。


 中国は、大規模な資本を投入してメコン川を中心に東南アジア地域に41ものダム建設を推進している。

しかし、移住民の激しい反発と環境汚染の懸念などによって、ダムプロジェクト自体が中止となる

事例も出ている。ミャンマーは少数民族の生活の基盤を奪って生態系を破壊するという理由で、

2011年に事業費36億ドル(約4000億円)に達するミッソン水力発電所建設プロジェクトを留保した。


■片や水があふれ、片や水不足

 メコン川に雨後の竹の子のようにダムが建設されたため、下流地域は農業用水不足などで大きな

苦難を負った。ベトナムは2016年に90年ぶりの最悪の日照りを経て、コメ収穫量が大幅に減り

180万人が飲み水の供給を十分に得られなかった。エルニーニョによる気候変化が最も大きな原因だが、

中国が川の上流に建設したダムによって閉じられた水が相当蒸発したことも原因とされた。

 

 2012年にSK建設が受注したラオスのセピエン-セナムノイダム建設事業も、ラオス南部のボラベン

高原を貫通するメコン川支流をふさぎ、落差の大きい地下水路と発電所を建設し電力を生産するものだ。

発電容量は410メガワットで、韓国内最大規模の忠州ダムに匹敵するが、電力生産量の90%をタイに

輸出することにした。この事業は韓国輸出入銀行対外経済協力基金(EDCF)から初めて955億ウォン

(約94億円)を支援した官民協力事業として、SK建設と韓国西部発電などが施工に参画した。

「アジアのバッテリー」になろうとするラオスが、韓国の技術と資金を受け入れたのだ。


 しかし、2013年の国政監査で環境影響評価などが行われなかったという指摘が起こった。

当時、キム・ヒョンミ民主党議員(現国土交通部長官)は、セピエン-セナムノイ水力発電事業に関する

環境影響評価報告書の公開を要請したが、対外秘という理由で公開されなかった事例を取り上げ、

韓国の援助情報が透明に公開されない場合、不正腐敗が発生するリスクが大きいと指摘した。

当該国家の真の発展にも否定的影響を及ぼしかねないことを警告したものだ。


 このようにみると、SK建設のラオスのセピエン-セナムノイダムの決壊は、単なる建設会社の

手抜き工事疑惑の問題だけではない。世界で12番目に長い川を共有した大国中国と、

残りの開発途上国間の協力は不在だった。生態系保護と開発論理の調和もなかった。

韓国政府も対外経済協力基金を提供し、SK建設を支援したが、メコン川の環境保護と川を巡って

繰り広げられている6カ国間の摩擦というさらに大きな絵を見ることはできなかった。