妻の母、92歳が脳梗塞で緊急搬送された。つい先日まで元気であったが、昨日の朝、施設の朝食の時に片腕が動かず、食事もできないことから、救急車を呼び、病院へと搬送された。
妻に連絡がいき、私も随行することになった。8時ころに発症、病院で説明を受けたのが10時ころ、検査に時間がかかり、医者と会って説明を受けたのが12時前。説明の内容は、まず、血栓の位置などを画像で説明を受ける。血管の状態なども鮮明な映像とともに説明があった。
92歳という年齢を考慮して、
(1)化学療法で治療する。つまり、薬などで血栓をなくす方法をとる。
(2)管内治療法(カテーテルによる血栓除去)での手術をする。
この2つの選択のどちらかにするか決定してほしいとのことであった。(1)の方法では、回復の可能性はあるが、大きな期待はできない。(2)の方法では、回復の可能性は高いが、失敗の可能性もある。(1)の正負の幅(治るー治らない)が狭いが、(2)の場合の正負の振れ幅は広い、つまり、治る可能性は高いが、失敗した時のマイナスが大きいと説明をうける。大きなマイナスとは何かと質問すると、最悪の場合は、死亡ということになるとのことだ。
<画像はネットよりお借りしています>
年齢が92という高齢なので、難しい選択だが、家族としてどちらかに決定してほしいと告げられる。ただし、1時間も2時間も話し合って決めるわけにはいかないので、5分から10分で結論を出してほしいとのことであった。医者としては、「すべき」に力が入っているように見えた。さて、廊下に出て、まず娘に電話してみようと妻が言う。娘は、3年間ほど大学病院の脳外科で働いていたので、何かアドバイスがあるかもしれないと考えたからだ。ただし、娘のいた脳外科は主に、脳腫瘍の専門で頭を切り開く手術の患者が多かったと聞いていた。娘曰く、カテーテルの手術はそんなに難しい手術ではないということであった。
とにかく、危険であっても選択は、「手術」とした。そうでなければ、後悔することになるだろうと感じた。10分間の家族会議で手術の決定を医者に告げた。手術室まで同行し、見送った。
待合室で待つことになった。病院内のコンビニでおにぎりとサンドイッチを買って食べた。最近の病院では、手術の時間中、待合室で待つと言うことはあまりなく、専用の連絡機器を持たされたり、スマホで連絡するという形式をとることが多いが、この病院は、とにかく待つことになっていた。待合室には、20名前後は常時いて、手術の多さに少し驚く。手術の時間は、1時間半から最長3時間程度かかると聞いていた。持ってきた雑誌を読み終わり、ネットを回り、TVを見て、長い3時間が過ぎた。
番号を呼ばれ、医者と話すことに。手術は、失敗だと告げられた。血栓が複数あり、血管が老年のため曲がりくねっていて、カテーテルが到達するのに苦労したそうである。3回ほど試したが、うまくいかず、これ以上回数を増やすと血管が損傷する恐れがあり、中止したとのことである。画像を見せられながらの説明は、丁寧であった。ICU (集中治療室) に案内され、本人と面会となるが、意識ははっきりしないようであった。娘と手をぎゅっと握ったように見えた。
今後の話になる。1日から2日でHCU (高度治療室) に移り、様子を見ることに。さらに今後の状況について聞いてみると、とにかく老齢のため、回復は難しく、2週間程度で退院し、医療型療養病床のある病院に転院することになるだろうと言うことであった。現在入居中の老人施設に帰ることはほぼ不可能と言われた。
さらに、緊急事態が発生した場合の対応も訊かれた。本人と話し合われたことがありますかと言うことだが、もちろん、話し合ったことはなく、認知症も進んでいるので込み入った話はできなかった。家族の間では、延命治療は必要ないということで了解していた。病院や施設で延命治療をしている老人を複数見たが、複数のチューブに絡められて、寝ているだけの存在は、本人にとって幸せと言えるかどうか疑問である。
今後、自分で食事ができるようになるかと医者に聞いてみた。ほぼ難しいとのことだ。栄養は点滴その他で補給するとの説明があった。最近の終末期の考え方で、食べることができなくなったときは、寿命と考えるのが基本ではないかと言われている。終末期老人では、胃ろうは、積極的に行われていないとも聞いている。
すべてが、暗い話に向かうことになるが、残りの人生をしっかりと生きることを願うだけである。帰りに老人施設に寄り、状況などを説明した。施設には帰れそうにないこと、同じ施設にいる夫(祖父)にどう説明するかなどを話した。夫には、施設の方からやんわりと説明していく方針だとのことだった。
2日後、病院より、リハビリのために「靴」をもってきてほしいと連絡があった。
<タカシン時代の一枚>
<主夫の作る夕食>
毎日献立考えるがたいへんだ。
エビチリ作ってみた。