94歳の川島良吉さん埼玉12区で奮戦中
あの戦争で中国に7年間従軍した、94歳の川島良吉さんの立候補について
大手マスコミがほとんど無視と沈黙の中、
ロイターとスポーツ報知の報道があったので転載します。
実に、角度が違えば報道の内容と雰囲気は全く違うとよくわかる2つの記事です。
スポーツ報知
(2012/12/07)
「94歳無所属新人、蓄えた葬式代つぎ込み出馬…埼玉12区」
埼玉12区に無所属新人で立候補した川島良吉氏は、御年94歳。今選挙の最高齢候補者となるおじいちゃんは「葬式代としてためていた年金を選挙資金に充てた」と覚悟を口にする。一方の最年少候補者は群馬4区の民主・青木和也氏。投票3日前の13日に25歳となる。
94歳ながら、視力1・2を誇る両目は鋭い眼光を放つ。国の行く末を憂う川島氏は、立候補の理由を明快に語る。「オレの出番だと思ってしまったんですよ」。供託金300万円は葬式代にと、ためていた年金から捻出した。まさに不退転。覚悟の初出馬だ。
政治家を志したことはなかったが、各党の主張を聞くうちに闘志がたぎった。「右傾化する安倍(晋三・自民党総裁)や石原(慎太郎・日本維新の会代表)から『軍』なんていう言葉が普通に出る。橋下(徹・同党代表代行)もムチャクチャ。無条件降伏したのに。日本はどうなっちゃったんだ、という不安がありました」。耳は少し聞こえにくいが、話し出したら止まらないマシンガントークが武器だ。
第1次世界大戦が終結した1918年に生を受け、第2次大戦勃発の39年に徴兵。中国での7年間の戦闘では多くの仲間を失った。「オレは戦争で死なず、散々いい思いをした。このままじゃ死んでいった仲間に申し訳ないと」。そんな思いが出馬へと背中を押した。先月30日に自宅に親族を集めて「出馬表明」。最初は反対した親族も熱意に負けた。「友だちに手伝ってもらおうと思ったけど、もうみんな死んでいなくなってた」
カマド販売業、金融証券業などさまざまな仕事に従事した。今は埼玉県羽生市の自宅で一人暮らし。腰は真っすぐ。足取りは軽快だ。炊事、洗濯、掃除から車の運転まで自分でこなす。総務省選挙部管理課によると、94歳は今選挙の立候補者1504人の最高齢となる。
埼玉12区は民主・本多氏と自民・野中氏の対決に、自民を離党した元県議・森田氏が加わる激戦の構図だ。「正直勝てるとは思っていない。でも訴えたいんですわ」。公約は憲法9条順守、原発反対、天皇を「象徴」ではなく「元首」とすること。公示直前の出馬決定で活動は出遅れたが、ようやく7日、チラシとポスターの作製に着手した。今後は街頭演説も行う予定だ。「男ってのはね、やるときゃやんないといかんのよ」―。
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ロイター通信(2012年 12月 13日 14:27 JST)
「94歳の新人が衆院選出馬、葬式代切り崩し当選目指す」
[東京 12日 ロイター] 16日に投開票を迎える衆議院議員選挙。埼玉12区に無所属新人で立候補している川島良吉さんは、今回の選挙で最高齢となる94歳だ。
出馬の動機は、既成政党の足並みが揃わない分裂状態に我慢ならなかったことだった。「たまたまテレビを見ていたら、1人でも立候補できることが分かった」と語る川島さん。供託金の300万円は、自分の葬式代を切り崩して捻出したという。立候補締め切りの3時間前に滑り込みで届け出たが、その際、窓口の女性から「本気ですか」と尋ねられたそうだ。
川島さんは妻や多くの友人をすでに亡くしており、家族会議を開いてサポートを呼び掛けた。表立った街頭活動はしていないが、反原発などを公約として記載したポスターは掲示板にしっかりと貼られている。
選挙戦で注目を集めるテーマの1つに、尖閣問題などで冷え込む日中関係が挙げられるが、日中戦争で7年間従軍した経験を持つ川島さんは、「戦後の厳しい状況を生き抜く上で、中国人は私を助けてくれた。私は彼らを良く知っている」と話す。
高齢化社会が進む日本で、川島さんは文字通り彼らの代弁者として選挙戦に臨む。