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『償いの雪が降る』 アレン・エスケンス

2022年10月20日 21時33分40秒 | ■読書
アメリカの作家アレン・エスケンスの長篇ミステリ小説『償いの雪が降る(原題:The Life We Bury)』を読みました。
ここのところ、アメリカの作家の作品が続いています。

-----story-------------
余命わずかな殺人者に、僕は雪を見せたかった。
バリー賞ほか3冠! 心揺さぶるミステリ

授業で身近な年長者の伝記を書くことになった大学生のジョーは、訪れた介護施設で、末期がん患者のカールを紹介される。
カールは三十数年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、仮釈放され施設で最後の時を過ごしていた。
カールは臨終の供述をしたいとインタビューに応じる。
話を聴いてジョーは事件に疑問を抱き、真相を探り始めるが……。
バリー賞など三冠の鮮烈なデビュー作! 
訳者あとがき=務台夏子
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2014年(平成26年)に刊行された著者デビュー作… ジョー・タルバートシリーズの第1作です。

母子家庭で育ったジョー・タルバートは実家を出て念願の大学進学を果たす… 授業で身近な年長者の伝記を書くことになり、祖父母も父親もいないため介護施設を訪れたところ、末期がん患者のカール・アイヴァソンを紹介される、、、

カールは30年前に少女暴行殺人で有罪となった男で、病気のため仮釈放され、施設で最後の時を過ごしていた… カールは臨終の供述をしたいとジョーのインタビューに応じる。

カールやベトナム戦争での戦友ヴァージル・グレイの話を聴き、裁判記録や証拠写真を確認しているうちに事件に疑問を抱くようになったジョーは、常に問題を起こしている母親や自閉症の弟ジェレミーのトラブルを解決しつつ、アパートの隣人で美人女子大生のライラ・ナッシュとともに真相を探り始めるが…… 。

面白かったー デビュー作とは思えないほどの秀作でしたね、、、

素人探偵として活躍する主人公のジョーが魅力的で共感できる人物に描かれているのが印象的… 大学に進学して実家を離れて、パブの用心棒のアルバイトで稼ぎながら一人暮らしをしているが、ギャンブルやアルコールに溺れがちで常にトラブルを起こす母親(毒親)や自閉症の弟のフォローが欠かせず、祖父の死に関わる心の傷を抱えているという設定に共感してしまうし、正義感と無鉄砲とも思える行動力でカールの冤罪を晴らそうとする姿をハラハラしながら、そして応援しながら読み進めました。

物語の展開もバランスが良いんですよね… 終盤に意外な犯人が判明するミステリ要素も愉しめますが、恋愛小説、青春小説、冒険譚、ヒューマンドラマとしての要素が絶妙なバランスで織り込んであり、これもなかなか良い感じ、、、

本シリーズは続篇が刊行されているので、是非是非読んでみたいですね。

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