「折原一」のミステリ連作集『グランドマンション』を読みました。
『漂流者』に続き、「折原一」作品です。
-----story-------------
「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。
騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣──次々に住人が引き起こすトラブル。
そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは……。
希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。
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隣人問題、騒音問題、虐待、不法侵入、年金不正受給、振り込め詐欺、火事…… アクの強い住人たちが、これでもかとばかり次々に問題を引き起こす「グランドマンション一番館」を舞台にしたミステリ連作集、、、
奇想と騙りが炸裂する、不可解で愉快なグランドマンション… 叙述トリックの連続で、何が起きるかわからないドキドキ感が愉しめる作品でした。
■音の正体
■304号室の女
■善意の第三者
■時の穴
■懐かしい声
■心の旅路
■リセット
■エピローグ
■解説 杉江恋松
202号室に住む騒音に敏感な「沢村英明」は、真上の302号室に住む子どもの足音や赤ん坊の泣き声等の騒音に悩んでいた… 「沢村」の我慢は限界に達し、育児放棄や虐待を繰り返しているらしい母親に苦情を、、、
その後、子どもの生活感が全く感じられなくなり、子どもたちは母親の手で殺められたのでは!? という疑惑が「沢村」の頭に浮かぶ… 被害者かと思った人物が、実は加害者だったという、どんでん返しが愉しめる『音の正体』。
303号室の「松島有香」は、グランドマンション二番館の販売事務所に勤めており、所長の「大田原浩平」と二人で事務所をやりくりしていた… ある日、「牧野麻子」と、その婚約者「杉崎大介」が事務所を訪ねてきて304号室を成約、、、
その後、「有香」は、鍵の紛失、携帯の紛失、さらに、不審な電話と不穏な出来事が続き、そして、「麻子」が「大介」と「有香」の不倫を疑い、ある罠を仕掛けてくる… 「麻子」や「大田原」の住居について、意外な結末が愉しめる『304号室の女』。
206号室の「高田英司」は、高齢の母親「筆子」と暮らしていた… 彼は民生委員をやっていて、305号室に住む「久保田綾香」に想いを寄せていたが、ある日偶然、「綾香」の婚約者「立川茂樹」の浮気現場を発見し、その事実を善意の第三者と名乗り、手紙と証拠写真で「綾香」に知らせる、、、
さらに正義感の強い「高田」は、「綾香」の祖母「ミヨ」の年金不正受給を暴こうと、ある行動を起こすが、それによりある事実を知ることに… 叙述トリックを使って、30年の時間軸の差を巧く使った『善意の第三者』。
203号室の「瀬沼富男」は無職で家賃滞納中、ミステリマニアで多数のミステリ稀覯本を持っている「瀬沼」は204号室の老人「佐久田芳子」が多額のタンス預金をしていることを知り、ミステリ作品の密室犯罪を参考にしながら「佐久田」の金を奪うことを計画する… しかし、「瀬沼」は犯行を実行する前に自室で殺され、しかも、そこは完璧な「密室」であった、、、
「瀬沼」は殺される直前、警察に電話して犯人は管理人だと告げていたが、管理人にはアリバイがあった… 密室を扱うという本格ミステリのパロディっぽさが愉しめる『時の穴』。
105号室の「多賀稲子」がオレオレ詐欺で500万円を騙し取られ、続いて106室の「塩崎俊夫」が200万円を騙し取られ、301号室の「塚本ハル」のところにもオレオレ詐欺らしい電話があるが、「塚本ハル」は騙されず、逆に犯人を出し抜こうとする… 民生委員の「高田」は104号室の「岡安亮太」が怪しいと疑う、、、
意外な人物が犯人でしたね… 被害者かと思った人物が加害者だったという叙述トリックを愉しめる『懐かしい声』。
103号室の「武藤留子」は、突然、部屋を訪れた男を思わず殴ってしまった… その男は救急車へと運ばれていくが、その後、「留子」は男が落としたであろう鞄を拾い、鞄の中に入っていた手帳に書かれていた、ある少女の壮絶な日記を読むことになる、、、
叙述トリックを使って時間軸を錯覚させることで、謎めいた物語りに仕上げてある『心の旅路』。
105号室の「多賀稲子」は、窓のカーテンを開けると戦慄が走った… なんと、目の前にあったはずの「グランドマンション2番館」が消えてなくなっていたのだ、、、
「稲子」は痴呆が始まっており、他の住民と話がかみ合わない… そんな中、民生委員の「高田」が年金の不正受給で逮捕され、106号室の「塩崎」も事故に遭う。
「グランドマンション1番館」と「2番館」を誤認させるトリックと、管理人を誤認させるトリックの、二つの叙述トリックを愉しめる『リセット』。
『エピローグ』は、放火で焼失し、新しくなったグランドマンション1番館を売りに出している「大田原浩平」と「松嶋有香」の後日譚ですかね。
8つの物語の連作となっているのですが… 印象に残ったのベスト3は『音の正体』と『304号室の女』、『懐かしい声』かな、、、
そして、『時の穴』が次点かな… サクッと読めて、叙述トリックを堪能できる一冊でした。
『漂流者』に続き、「折原一」作品です。
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「グランドマンション一番館」には、元「名ばかり管理職」の男、元公務員、三世代同居の女所帯から独居老人、謎の若者、はてはかなり変わった管理人までと、アクの強い人たちが住んでいる。
騒音問題、ストーカー、詐欺、空き巣──次々に住人が引き起こすトラブル。
そして、最後に待ち受けていた大どんでん返しとは……。
希代の名手が贈る必読の傑作ミステリー連作集。
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隣人問題、騒音問題、虐待、不法侵入、年金不正受給、振り込め詐欺、火事…… アクの強い住人たちが、これでもかとばかり次々に問題を引き起こす「グランドマンション一番館」を舞台にしたミステリ連作集、、、
奇想と騙りが炸裂する、不可解で愉快なグランドマンション… 叙述トリックの連続で、何が起きるかわからないドキドキ感が愉しめる作品でした。
■音の正体
■304号室の女
■善意の第三者
■時の穴
■懐かしい声
■心の旅路
■リセット
■エピローグ
■解説 杉江恋松
202号室に住む騒音に敏感な「沢村英明」は、真上の302号室に住む子どもの足音や赤ん坊の泣き声等の騒音に悩んでいた… 「沢村」の我慢は限界に達し、育児放棄や虐待を繰り返しているらしい母親に苦情を、、、
その後、子どもの生活感が全く感じられなくなり、子どもたちは母親の手で殺められたのでは!? という疑惑が「沢村」の頭に浮かぶ… 被害者かと思った人物が、実は加害者だったという、どんでん返しが愉しめる『音の正体』。
303号室の「松島有香」は、グランドマンション二番館の販売事務所に勤めており、所長の「大田原浩平」と二人で事務所をやりくりしていた… ある日、「牧野麻子」と、その婚約者「杉崎大介」が事務所を訪ねてきて304号室を成約、、、
その後、「有香」は、鍵の紛失、携帯の紛失、さらに、不審な電話と不穏な出来事が続き、そして、「麻子」が「大介」と「有香」の不倫を疑い、ある罠を仕掛けてくる… 「麻子」や「大田原」の住居について、意外な結末が愉しめる『304号室の女』。
206号室の「高田英司」は、高齢の母親「筆子」と暮らしていた… 彼は民生委員をやっていて、305号室に住む「久保田綾香」に想いを寄せていたが、ある日偶然、「綾香」の婚約者「立川茂樹」の浮気現場を発見し、その事実を善意の第三者と名乗り、手紙と証拠写真で「綾香」に知らせる、、、
さらに正義感の強い「高田」は、「綾香」の祖母「ミヨ」の年金不正受給を暴こうと、ある行動を起こすが、それによりある事実を知ることに… 叙述トリックを使って、30年の時間軸の差を巧く使った『善意の第三者』。
203号室の「瀬沼富男」は無職で家賃滞納中、ミステリマニアで多数のミステリ稀覯本を持っている「瀬沼」は204号室の老人「佐久田芳子」が多額のタンス預金をしていることを知り、ミステリ作品の密室犯罪を参考にしながら「佐久田」の金を奪うことを計画する… しかし、「瀬沼」は犯行を実行する前に自室で殺され、しかも、そこは完璧な「密室」であった、、、
「瀬沼」は殺される直前、警察に電話して犯人は管理人だと告げていたが、管理人にはアリバイがあった… 密室を扱うという本格ミステリのパロディっぽさが愉しめる『時の穴』。
105号室の「多賀稲子」がオレオレ詐欺で500万円を騙し取られ、続いて106室の「塩崎俊夫」が200万円を騙し取られ、301号室の「塚本ハル」のところにもオレオレ詐欺らしい電話があるが、「塚本ハル」は騙されず、逆に犯人を出し抜こうとする… 民生委員の「高田」は104号室の「岡安亮太」が怪しいと疑う、、、
意外な人物が犯人でしたね… 被害者かと思った人物が加害者だったという叙述トリックを愉しめる『懐かしい声』。
103号室の「武藤留子」は、突然、部屋を訪れた男を思わず殴ってしまった… その男は救急車へと運ばれていくが、その後、「留子」は男が落としたであろう鞄を拾い、鞄の中に入っていた手帳に書かれていた、ある少女の壮絶な日記を読むことになる、、、
叙述トリックを使って時間軸を錯覚させることで、謎めいた物語りに仕上げてある『心の旅路』。
105号室の「多賀稲子」は、窓のカーテンを開けると戦慄が走った… なんと、目の前にあったはずの「グランドマンション2番館」が消えてなくなっていたのだ、、、
「稲子」は痴呆が始まっており、他の住民と話がかみ合わない… そんな中、民生委員の「高田」が年金の不正受給で逮捕され、106号室の「塩崎」も事故に遭う。
「グランドマンション1番館」と「2番館」を誤認させるトリックと、管理人を誤認させるトリックの、二つの叙述トリックを愉しめる『リセット』。
『エピローグ』は、放火で焼失し、新しくなったグランドマンション1番館を売りに出している「大田原浩平」と「松嶋有香」の後日譚ですかね。
8つの物語の連作となっているのですが… 印象に残ったのベスト3は『音の正体』と『304号室の女』、『懐かしい声』かな、、、
そして、『時の穴』が次点かな… サクッと読めて、叙述トリックを堪能できる一冊でした。
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