東川篤哉の連作ミステリ作品集『谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題』を読みました。
東川篤哉の作品は、先月読んだ『純喫茶「一服堂」の四季』以来ですね。
-----story-------------
ゆるすぎる名探偵&迷推理女子による、猫とユーモアたっぷりの本格ミステリ
下町情緒あふれる東京の谷根千(谷中・根津・千駄木) の路地裏にある、隠れ家的雑貨屋「怪運堂」。
明るさだけが取り柄の女子大生・岩篠つみれは、ミステリアスな店主・竹田津優介の秘められた探偵の素質に気付く。
部屋中の物が逆さまになった謎などの怪事件を持ち込むと、竹田津は猫をかまったり寄り道ばかりしながらも、鮮やかに真相を解き明かしていく――
謎解きと下町散歩はよく似合う。
猫&ユーモアたっぷりの本格ミステリ!
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KADOKAWAが発行・編集するエンターテインメント小説誌『小説 野性時代』に2018年(平成30年)から2020年(令和2年)にかけて連載され、2020年(平成26年)に刊行された作品……谷根千ミステリ散歩シリーズの第1作です。
■第1話 足を踏まれた男
■第2話 中途半端な逆さま問題
■第3話 風呂場で死んだ男
■第4話 夏のコソ泥にご用心
■解説 若林踏
東京・谷中には、おいしい食べ物、下町情緒、そしてミステリが揃っている!
東京・谷中にある鰯専門の居酒屋・鰯の吾郎……人気エリアから外れた場末感漂う店だが、(自称)看板娘・岩篠(いわしの)つみれの下にはなぜか事件が集まってくる、、、
ある日客が忘れた名刺入れを届けに行くと、自宅の浴槽から両脚を突き出している男性の姿が……これってかの有名な ではなく、溺死体!?
兄・岩篠なめ郎が大親友だという開運グッズ店・怪運堂の店主で正体不明の男・竹田津優介の洞察力を借り、看板娘が事件に挑む! 下町風情漂う街を歩いて手掛かりを探す、新ミステリシリーズ全4篇!
テンポの良さと、ユーモアミステリと本格ミステリの絶妙なバランスが味わえる、東川篤哉らしい作品でしたね。
そんな中でイチバン印象に残ったのは、本作品の中で唯一、殺人を扱った『第3話 風呂場で死んだ男』ですね、、、
居酒屋・鰯の吾郎に忘れ物をした客・寺島公一郎の自宅をつみれが訪ねると、そこには浴槽に上半身を突っ込んで日本の脚を立たせた寺島の死体があった……日本一有名な死体といっても過言ではない横溝正史の『犬神家の一族』に出てくる死体のパロディですが、笑えるだけでなく、手がかりの埋め込み方が巧く、手がかりそのものが真相を指し示すわけではない展開や、他の手がかりと組み合わせ、ロジックを積み重ねることによって真相が導き出せるように組み立てられており、とても愉しめました。
その他の3作品は日常の謎を解くライトミステリ的な展開でしたが、、、
つみれが先輩から頼まれたサークル仲間の男性の足を踏んでしまった事件をきっかけに、石材店から何も盗まずに逃げた泥棒の謎に挑む『第1話 足を踏まれた男』、
つみれの友人の祖母が旅行から帰宅すると、家具やインテリアが逆さまの状態になっており、明らかに何者かが侵入したことは間違いないが、何も盗まれておらず、侵入者が何のために逆さまな状態を作ったのかを探る『第2話 中途半端な逆さま問題』、
つみれの友人宅に侵入した泥棒を見つけ出すために、些細な手がかりから、連鎖的に推理が導かれ、犯人特定に至る過程が見事な『第4話 夏のコソ泥にご用心』、
と、それぞれ謎解きが愉しめました……ちなみにタイトルにある「谷根千(やねせん)」とは下町情緒あふれる、谷中、根津、千駄木周辺地域を指す呼び名なんでそうですね。
続篇を読みたいところですが、、、
本作品は、この1冊しか刊行されていないようです……残念。
東川篤哉の作品は、先月読んだ『純喫茶「一服堂」の四季』以来ですね。
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ゆるすぎる名探偵&迷推理女子による、猫とユーモアたっぷりの本格ミステリ
下町情緒あふれる東京の谷根千(谷中・根津・千駄木) の路地裏にある、隠れ家的雑貨屋「怪運堂」。
明るさだけが取り柄の女子大生・岩篠つみれは、ミステリアスな店主・竹田津優介の秘められた探偵の素質に気付く。
部屋中の物が逆さまになった謎などの怪事件を持ち込むと、竹田津は猫をかまったり寄り道ばかりしながらも、鮮やかに真相を解き明かしていく――
謎解きと下町散歩はよく似合う。
猫&ユーモアたっぷりの本格ミステリ!
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KADOKAWAが発行・編集するエンターテインメント小説誌『小説 野性時代』に2018年(平成30年)から2020年(令和2年)にかけて連載され、2020年(平成26年)に刊行された作品……谷根千ミステリ散歩シリーズの第1作です。
■第1話 足を踏まれた男
■第2話 中途半端な逆さま問題
■第3話 風呂場で死んだ男
■第4話 夏のコソ泥にご用心
■解説 若林踏
東京・谷中には、おいしい食べ物、下町情緒、そしてミステリが揃っている!
東京・谷中にある鰯専門の居酒屋・鰯の吾郎……人気エリアから外れた場末感漂う店だが、(自称)看板娘・岩篠(いわしの)つみれの下にはなぜか事件が集まってくる、、、
ある日客が忘れた名刺入れを届けに行くと、自宅の浴槽から両脚を突き出している男性の姿が……これってかの有名な ではなく、溺死体!?
兄・岩篠なめ郎が大親友だという開運グッズ店・怪運堂の店主で正体不明の男・竹田津優介の洞察力を借り、看板娘が事件に挑む! 下町風情漂う街を歩いて手掛かりを探す、新ミステリシリーズ全4篇!
テンポの良さと、ユーモアミステリと本格ミステリの絶妙なバランスが味わえる、東川篤哉らしい作品でしたね。
そんな中でイチバン印象に残ったのは、本作品の中で唯一、殺人を扱った『第3話 風呂場で死んだ男』ですね、、、
居酒屋・鰯の吾郎に忘れ物をした客・寺島公一郎の自宅をつみれが訪ねると、そこには浴槽に上半身を突っ込んで日本の脚を立たせた寺島の死体があった……日本一有名な死体といっても過言ではない横溝正史の『犬神家の一族』に出てくる死体のパロディですが、笑えるだけでなく、手がかりの埋め込み方が巧く、手がかりそのものが真相を指し示すわけではない展開や、他の手がかりと組み合わせ、ロジックを積み重ねることによって真相が導き出せるように組み立てられており、とても愉しめました。
その他の3作品は日常の謎を解くライトミステリ的な展開でしたが、、、
つみれが先輩から頼まれたサークル仲間の男性の足を踏んでしまった事件をきっかけに、石材店から何も盗まずに逃げた泥棒の謎に挑む『第1話 足を踏まれた男』、
つみれの友人の祖母が旅行から帰宅すると、家具やインテリアが逆さまの状態になっており、明らかに何者かが侵入したことは間違いないが、何も盗まれておらず、侵入者が何のために逆さまな状態を作ったのかを探る『第2話 中途半端な逆さま問題』、
つみれの友人宅に侵入した泥棒を見つけ出すために、些細な手がかりから、連鎖的に推理が導かれ、犯人特定に至る過程が見事な『第4話 夏のコソ泥にご用心』、
と、それぞれ謎解きが愉しめました……ちなみにタイトルにある「谷根千(やねせん)」とは下町情緒あふれる、谷中、根津、千駄木周辺地域を指す呼び名なんでそうですね。
続篇を読みたいところですが、、、
本作品は、この1冊しか刊行されていないようです……残念。
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