イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品集『フランクフルトへの乗客(原題:Passenger to Frankfurt)』を読みました。
『愛の探偵たち』に続き、アガサ・クリスティの作品です。
-----story-------------
その日、サー・スタフォード・ナイをフランクフルト空港の通過客待合室へ追いやったのは、ジュネーヴ上空を覆う濃霧だった。
マラヤでの調査任務を終え、ロンドンのわが家へ急ぐ足を止められた、この中年の外交官はいささかうんざりしていた。いつもこうだ。
魅力のない仕事を終えたばかりなのにいまいるのは騒々しい待合室。すべてが退屈だった。
先が見えた任務、きまりきった空の旅。人生さえも。
せめて、なにか心躍らせるもの、未知の事件が自分を待っていたら……? 冒険への扉は突然開かれた。
一人の美女が、とてつもなく奇妙な願いを訴えてきたのだ――危険が迫っている。
別の人間になりすましてロンドンに入りたいので、パスポートとマントを貸して欲しいと。面白そうだ。
やってみる価値があるかもしれない。
彼は、眠っている間の盗難に見せかけるために、女の残していった睡眠薬入りのビールをゆっくり飲みほした……。
なにくわぬ顔で、ロンドンへ帰ったサー・スタフォードを待っていたのは、イギリス諜報部の異常なまでの関心だった。
そして、彼をつけ狙う何者かの影。
二度も轢き殺されかけた時、彼は謎の女にもう一度逢おうと決意した―― 《フランクフルトへの乗客、至急連絡乞う》! 一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀―― 現代文明への諷刺を盛り込んだクリスティーのスパイスリラー!
解説:森薫「クリスティーで読むイギリス使用人事情」
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1970年(昭和45年)に刊行されたノンシリーズ物のスパイ・スリラーです。
■まえがき
■ 第一部 中断された旅
・1. フランクフルトへの乗客
・2. ロンドン
・3. クリーニング屋からきた男
・4. エリックとの夕食
・5. ワグネリアン・モチーフ
・6. ある貴婦人の肖像
・7. マチルダおばの助言
・8. 大使館のディナー
・9. ゴドルミング近郊の家
■第二部 ジークフリートへの旅
・10. 城に住む婦人
・11. 青年と美女
・12. お抱え道化師
■第三部 国内で、そして国外で
・13. パリ会議
・14. ロンドン会議
・15. マチルダおばの温泉治療
・16. パイカウェイは語る
・17. ヘル・ハインリヒ・シュピース
・18. パイカウェイの解説
・19. サー・スタフォード・ナイの客
・20. 提督、旧友を訪問する
・21. ベンヴォ計画
・22. ジュアニータ
・23. スコットランドへの旅
■エピローグ
■解説 クリスティーで読むイギリス使用人事情 森薫
パスポートとマントをかしてほしい……空港で出会った謎めいた女性の申し出は、外交官スタフォード・ナイを国際的大陰謀へと巻き込んだ、、、
帰国した彼をつけ狙う何者かの不気味な影、世界各地で起こる暴動、そしてドイツ山中の巨大な城に潜む謎の老嬢……一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀とは? 諷刺と奇想に富んだ女史得意のスパイ・スリラー。
外交官のスタフォード・ナイがフランクフルト空港で謎の女性と出会い、危険が迫っているのでパスポートとマントを貸してほしい奇妙な願いを聞き入れたことから、国際的大陰謀に巻き込まれる序盤の展開や、ヒトラーが生き延びていて、その息子が存在しているのでは……と思わせる展開、人間を情け深い性格に変えてしまうガス兵器を開発しようとしたベンヴォ計画等、興味深い部分はあったものの、気持ちが物語に入り込むことができず、途中から集中力を欠いてしまいましたね、、、
風呂敷を広げ過ぎて、収拾しきれていない感じ……アガサ・クリスティの作品にしては物足りなかった印象です。
以下、主な登場人物です。
スタフォード・ナイ
外交官
マチルダ・クレックヒートン
スタフォードのおば
ゴードン・チェトウィンド
スタフォードの上司
ミルドレッド・コートマン
アメリカ大使の妻
ネッド・アルタマウント
イギリスの有力者
ロビンスン
謎の人物
ヘンリー・ホーシャム
保安にいる男
メアリ・アン(レナータ・ゼルコウスキ)
フランクフルト空港で出会った謎の女性
ジェイムズ・クリーク
ロード・アルタマウントの補佐
マンロー
大佐
パイカウェイ
陸軍大佐。特捜部主任。
フィリップ・ブラント
提督
ロバート・ショーラム
マチルダンの友人。物理学者
リーザ・ノイマン
ロバートの秘書
マカラック
医者
『愛の探偵たち』に続き、アガサ・クリスティの作品です。
-----story-------------
その日、サー・スタフォード・ナイをフランクフルト空港の通過客待合室へ追いやったのは、ジュネーヴ上空を覆う濃霧だった。
マラヤでの調査任務を終え、ロンドンのわが家へ急ぐ足を止められた、この中年の外交官はいささかうんざりしていた。いつもこうだ。
魅力のない仕事を終えたばかりなのにいまいるのは騒々しい待合室。すべてが退屈だった。
先が見えた任務、きまりきった空の旅。人生さえも。
せめて、なにか心躍らせるもの、未知の事件が自分を待っていたら……? 冒険への扉は突然開かれた。
一人の美女が、とてつもなく奇妙な願いを訴えてきたのだ――危険が迫っている。
別の人間になりすましてロンドンに入りたいので、パスポートとマントを貸して欲しいと。面白そうだ。
やってみる価値があるかもしれない。
彼は、眠っている間の盗難に見せかけるために、女の残していった睡眠薬入りのビールをゆっくり飲みほした……。
なにくわぬ顔で、ロンドンへ帰ったサー・スタフォードを待っていたのは、イギリス諜報部の異常なまでの関心だった。
そして、彼をつけ狙う何者かの影。
二度も轢き殺されかけた時、彼は謎の女にもう一度逢おうと決意した―― 《フランクフルトへの乗客、至急連絡乞う》! 一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀―― 現代文明への諷刺を盛り込んだクリスティーのスパイスリラー!
解説:森薫「クリスティーで読むイギリス使用人事情」
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1970年(昭和45年)に刊行されたノンシリーズ物のスパイ・スリラーです。
■まえがき
■ 第一部 中断された旅
・1. フランクフルトへの乗客
・2. ロンドン
・3. クリーニング屋からきた男
・4. エリックとの夕食
・5. ワグネリアン・モチーフ
・6. ある貴婦人の肖像
・7. マチルダおばの助言
・8. 大使館のディナー
・9. ゴドルミング近郊の家
■第二部 ジークフリートへの旅
・10. 城に住む婦人
・11. 青年と美女
・12. お抱え道化師
■第三部 国内で、そして国外で
・13. パリ会議
・14. ロンドン会議
・15. マチルダおばの温泉治療
・16. パイカウェイは語る
・17. ヘル・ハインリヒ・シュピース
・18. パイカウェイの解説
・19. サー・スタフォード・ナイの客
・20. 提督、旧友を訪問する
・21. ベンヴォ計画
・22. ジュアニータ
・23. スコットランドへの旅
■エピローグ
■解説 クリスティーで読むイギリス使用人事情 森薫
パスポートとマントをかしてほしい……空港で出会った謎めいた女性の申し出は、外交官スタフォード・ナイを国際的大陰謀へと巻き込んだ、、、
帰国した彼をつけ狙う何者かの不気味な影、世界各地で起こる暴動、そしてドイツ山中の巨大な城に潜む謎の老嬢……一外交官が巻きこまれた国際的大陰謀とは? 諷刺と奇想に富んだ女史得意のスパイ・スリラー。
外交官のスタフォード・ナイがフランクフルト空港で謎の女性と出会い、危険が迫っているのでパスポートとマントを貸してほしい奇妙な願いを聞き入れたことから、国際的大陰謀に巻き込まれる序盤の展開や、ヒトラーが生き延びていて、その息子が存在しているのでは……と思わせる展開、人間を情け深い性格に変えてしまうガス兵器を開発しようとしたベンヴォ計画等、興味深い部分はあったものの、気持ちが物語に入り込むことができず、途中から集中力を欠いてしまいましたね、、、
風呂敷を広げ過ぎて、収拾しきれていない感じ……アガサ・クリスティの作品にしては物足りなかった印象です。
以下、主な登場人物です。
スタフォード・ナイ
外交官
マチルダ・クレックヒートン
スタフォードのおば
ゴードン・チェトウィンド
スタフォードの上司
ミルドレッド・コートマン
アメリカ大使の妻
ネッド・アルタマウント
イギリスの有力者
ロビンスン
謎の人物
ヘンリー・ホーシャム
保安にいる男
メアリ・アン(レナータ・ゼルコウスキ)
フランクフルト空港で出会った謎の女性
ジェイムズ・クリーク
ロード・アルタマウントの補佐
マンロー
大佐
パイカウェイ
陸軍大佐。特捜部主任。
フィリップ・ブラント
提督
ロバート・ショーラム
マチルダンの友人。物理学者
リーザ・ノイマン
ロバートの秘書
マカラック
医者
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