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『バートラム・ホテルにて』 アガサ・クリスティ(著),乾信一郎(翻訳)

2024年12月21日 20時14分14秒 | ■読書
イギリスの作家アガサ・クリスティの長篇ミステリ作品『バートラム・ホテルにて(原題:At Bertram's Hotel)』を読みました。
『愛の探偵たち』、『フランクフルトへの乗客』に続き、アガサ・クリスティの作品です。

-----story-------------
姪のジョーンが、気分転換に旅行をすすめてくれたとき、ミス・マープルはロンドンのバートラム・ホテルを選んだ。
14のとき、叔父と叔母が一度連れていってくれたことがある。
落着いた雰囲気のうちに、目立たぬぜいたくがあるホテルだった。
が、なにしろはるか昔のことである。
どんなに変ってしまったか、心配でもあった。
ところが、バートラム・ホテルはかわっていなかった。
そっくり昔のままだった。
奇蹟的に、もはや消滅したはずの古き良き英国が、そこには生き残っていた。
エドワード王朝時代の家具・調度・風習、それに地方在住の、爵位をもった未亡人や聖職者、退役軍人といった、時代から忘れられた宿泊人。
懐しい過去がいまも暖かなマユに包まれて、保護されているのだ。
もっとも、ときたま現代が吹きつけてくることもある。
ここ数年、ロンドン警視庁管内で続出している大胆振りない強奪事件 ――銀行強盗、給料強奪、郵便託送中の宝石類の盗難の噂が話されたり、大西洋横断飛行から原子力潜水艦の便乗までやってのけ、大衆のアイドルになったべス・セジウィック夫人といった風変りな人間がとまりに来たりする。
ともあれ、楽しいホテルだわと、ミス・マーブルは満足していた。
そして、犯罪などとはまったく無縁な場所に思われたのだが……。
詮索好きな老嬢ジェーン・マーブル、久々の登場!
(解説 佳多山大地 「ライバルは『ラバー・ソウル』」)
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1966年(昭和41年)に刊行された、ミス・マープルシリーズの長篇10作目となる作品です。

ロンドンのバートラム・ホテルに行きたいわ……姪から気分転換の旅行を勧められたミス・マープルは、こう答えた、、、

そこは、古き良きエドワード王朝の面影を今なお残す、格調高いホテル……ここ数年ロンドンを荒し回っていた強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を醸し出していた。

マープルにとっては、まさに恰好の休養の場のはずであった……だが、徐々に露見する、ホテル内の錯綜した人間関係、、、

そして、客の一人の突然の失踪……果たして彼女を待ち受けていた驚愕すべき犯罪とは? 流麗なタッチで描く香り高い本格篇!

大都会ロンドンの一画にエドワード王朝時代そのままのたたずまいを保つバートラム・ホテルは、ここ数年ロンドンを荒し回っていた強盗団の脅威とも無縁であるかのごとく、優雅な雰囲気を醸し出していた……休養のためバートラム・ホテルに滞在したミス・マープルは、徐々に露見するホテル内の錯綜した人間関係に気付き、宿泊客であったのペニファザー牧師の突然の失踪、その後、濃霧の夜に発生した宿泊客エルヴァイラ・ブレイクの射殺未遂事件、結果的にホテルのドアマン・マイケル(ミッキー)・ゴーマンが銃殺された事件の捜査に協力することに、、、

あくまでも捜査の中心はフレッド・デイビー主任警部を中心としたロンドン警視庁なのですが……ミス・マープルの推理や助言により、真相が判明するという展開でした。

ミス・マープルの出番は少ないものの、二転三転するエルヴァイラ・ブレイクの射殺未遂事件(マイケル・ゴーマン射殺事件)の意外な真相と、狙撃犯のあまりにも独善的な動機が印象的な作品でした……アガサ・クリスティの作品としては、まずまずだったかな、、、

相続……お金……そして恋って、人を狂わせてしまいますねー 怖いな!


以下、主な登場人物です。

ジェーン・マープル
 探偵好きな独身の老婦人

エルヴァイラ・ブレイク
  ホテルに滞在中の若い娘

デレク・ラスコム
 大佐。エルヴァイラの後見人

ペニファザー牧師
 クロース大聖堂評議員

ベス・セジウィック
 女流冒険家

ラジスロース・マリノスキー
 レーサー

ハンフリーズ
 ホテルの支配人

ゴーリンジ女史
 ホテルの受付

マイケル(ミッキー)・ゴーマン
 ホテルのドアマン

ヘンリー
 ホテルの給仕頭

ローズ・シェルドン
 ホテルのメイド

リチャード・エジャトン
 エジャトン・フォーブズ&ウィルバロー事務所弁護士

フレッド・デイビー
 ロンドン警視庁主任警部

キャンブル
 ロンドン警視庁警部

ロナルド・グレイブズ卿
 警視庁副総監

アリス
 バートラム・ホテル従業員

ブリジット
 エルヴァイラ・ブレイク友人

セリナ・ヘイジー
 ミス・マープル知人。レスターシャ在住

キャボット夫人
 エルマーの妻

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