イクイノックスが今年の “最強馬” であることに異論の余地はないと思います。おそらくJRAが後日発表する2023年の「年度代表馬」にも文句なく選ばれるでしょう。しかし、今年のように衆目の一致する「第一人者(馬)」がグランプリに出走しなかった場合、ついでに言えば、イクイノックスに次ぐ「二番手」のリバティアイランドもいない上に、3歳の菊花賞馬も出ないグランプリレースは、はたしてどんな決着となるのでしょうか。今日は、有馬記念を過去20年くらい遡って、そんなレアなケースがあるのかどうか調べてみたいと思います。
その年の「最強馬」と「年度代表馬」は必ずしも一致しません。たとえば、2013年はオルフェーヴルが前年に続いて凱旋門賞を2着し、有馬記念も制していますが、この年の「年度代表馬」は、スプリンターズSと香港スプリントを連覇し、安田記念をも制した短距離界の雄、「世界のロードカナロア」でした。さすがに、「距離」を理由にロードカナロアを「最強馬」にふさわしからず、とは言えないとは思いますが、それでも中長距離に関して言えば、「第一人者(馬)」はやはりオルフェーヴルでよい気はします。しかし、主観で「最強馬」を選ぶわけにもいかないので、一応「年度代表馬」を目安に、その年の天皇賞・秋やJCの成績なども適宜加味しながら「最強馬」を特定しようと思います。とりあえず「年度代表馬」が有馬記念を走らなかったケースを拾ってみましょう。
年度代表馬 有馬記念1⃣~3⃣着(※〇数字は人気、[ ]は前走の人気と着順)
20 アーモンドアイ 1⃣クロノジェネシス① 2⃣サラキア⑪ 3⃣フィエールマン②
[天皇賞秋②3着] [エリ女杯⑤2着] [天皇賞秋⑤2着]
18 アーモンドアイ 1⃣ブラストワンピース③ 2⃣レイデオロ① 3⃣シュヴァルグラン⑨
[菊花賞①4着] [天皇賞秋②1着] [JC⑤4着]
15 モーリス 1⃣ゴールドアクター⑧ 2⃣サウンズオブアース⑤ 3⃣キタサンブラック④
[天皇賞秋②3着] [JC⑤5着] [菊花賞③1着]
12 ジェンティルドンナ 1⃣ゴールドシップ① 2⃣オーシャンブルー⑩ 3⃣ルーラーシップ②
[菊花賞①1着] [金鯱賞⑥1着] [JC②3着]
09 ウォッカ 1⃣ドリームジャーニー② 2⃣ブエナビスタ① 3⃣エアシェイディ⑪
[天皇賞秋④6着] [エリ女杯①3着] [JC⑪5着]
08 ウォッカ 1⃣ダイワスカーレット① 2⃣アドマイヤモナーク⑭ 3⃣エアシェイディ⑩
[天皇賞秋②2着] [JC⑯12着] [天皇賞秋⑧5着]
2015年のモーリスは、この年6戦全勝で安田記念、マイルCS、香港マイルを3つ獲り(翌年には天皇賞・秋や香港カップも制しました)、その強さが際だつ一年でした。実はこの年、宝塚記念を勝ち、天皇賞・秋も①人気で制したラブリーデイも年度代表馬の有力候補でしたが、次のJCで①人気3着、有馬記念が②人気5着で、評価を下げてしまい、選から漏れました。2013年のロードカナロアと同様、中長距離馬から年度代表馬が選ばれなかった、やや特殊な年だったと思います。
さて、調べてみると、今年と同様、JCの上位1・2着と菊花賞馬が不在の年は、2020年のみです。2着に⑪人気のサラキアが入っているのが目を引きますが、改めて、一覧を眺めてみると、その他の年についても人気薄の連絡みが目につきます。やはり「年度代表馬」クラスの「最強馬」が参戦しない年のグランプリは荒れるのでは、という感じを強く持ちます。
では、どんな馬が荒れを演出するのか。上の一覧から人気薄で3連に絡んだ馬たちの前走を見ると、JCが3頭、天皇賞・秋が2頭です。このあたりに穴馬が潜んでいると見るならば、前走JC組からは、そこそこ人気になりそうなドウデュースやタイトルホルダーよりも、ディープボンド(10着)に目がいきます。振り返れば、2年前の4歳時には、このレースでエフフォーリアの2着している馬ですので、今回人気を落としていれば、逆に絶好の狙い目かも知れません。牝馬では、エリザベス女王杯3・4着のハーパー、ライラックあたりでしょうか。
明日はオーソドックな分析で有馬記念の本命馬を探ってみようと思います。本日もお読みいただきありがとうございました。今日は陽も出ず、寒い一日となりそうです。どうか暖かくしてお過ごしください。