★「輪舞歩道橋」ってネーミングがすごいでしょ
『広辞苑』によると、「輪舞」とは「人が輪になって踊ること」らしい。その輪舞っていう単語がついている歩道橋がわが家の近くにあります。いつ頃できたんだっけなあ。正確にはわからないのですが、ここ10年以内? そんな感じです。
こんなふうに十字路の真上にでっかく丸い歩道橋が君臨しているのです。わかりますか? かなりでかいものなので、電車に乗り遅れるっ!というときには、なんだかぐるーっと遠回りしているような気になる。真ん中をつっきれる通路があればいいのに、とか思ったりする。
そうそう、ちょっとオシャレなドラマに登場して(どんなドラマかは忘れたけど)、おおっ!と驚いたこともある。「昨日、撮影してたよ。○○(これも忘れた)がいたよ」なんていう噂をきいたこともあり。
晴れ渡っているときには、遠く富士山が見えることも。今は真っ白な山姿がきれい。歩道橋をあるくと、こんな感じです。
とにかく通路の幅がはんぱじゃなく広い。アウトレットができたり、獣医看護大学?ができたりして、多少は人通りも増えたかもしれないけど、でも実は本当に人の通らない歩道橋なのです(笑)。とくに夜は、この歩道橋を通って帰宅する人が少ないので、いつも貸切り状態のよう。ある意味、税金の無駄遣いの象徴のような施設。
でも晴れ渡った空を独り占めできるし、歩くのはほんとうに気持ちがいい。とにかく空が大きいのです、ここでは。スピッツの「空も飛べるはず」じゃないけど、でもちょっとそんな気分にもさせてくれる…。
★だけど…
人が通らないわりには、とにかくゴミが多い。歩道橋の上はそんなことはないのですが、歩道橋へ上り下りする階段には、吸い殻、ハンバーガーショップの袋、スナック菓子のふくろ、などなどが散乱している。とくに吸い殻はひどい! どいつだ、ここにポイ捨てするやつは!!
みかねて、たまに帰りにビニール袋に拾ったりするんだけど、私も気が向いたときしかしないからなあ。あまり自慢はできません。なんかね、悲しくなるような光景です。
それと、ここからの風景を邪魔するものが現れた。ここからはあまり高い建物は見えなかったのですが、民間の高層マンションができまして、最近シートが取っ払われて、その様態が明らかになりました。こんな感じ。
そっち方向はあまり高層の建物はなく、ちょっとヨーロピアンな雰囲気の町並みに統一されてて、たま~に散歩したりしてるんですよね。そこにこんな無機質な建物が。ああ…。
まあ、私の場合はすぐに慣れちゃうんだろうけど、ちょっと邪魔されたなあ、と今は少し不愉快。しかたないけど。
★ステッキのステキな男性
ここでのステキな出会いを書くのが今日の目的でした(忘れるところだった)。
去年の夏頃に、ここを歩く70代か80代くらいの男性を見かけたのです。たぶん病気で倒れられて、体が不自由になり、そのリハビリのために毎朝歩いていらしたのです。 ステッキをついて、ほんとうに少しずつ一歩一歩ゆっくりと…。かわいいキャップをかぶり、うすいパーカーなどをはおって。
私は仕事柄、毎朝決まった時間にそこを通るわけではないんだけど、8時か9時台には必ずその姿を見ることができました。きっと毎朝毎朝1時間近く(?)歩いていらしたのだと思います。
いつの頃からか、すれ違うと(その人と私は逆回りに歩いているので)、軽く会釈をするようになりました。「おはようございます」と声をかけたかったんだけど、ひょっとして話すこともままならない状態なのかな、とそんなことを考えて、会釈だけ何か月も。
秋を過ぎるころになると、目に見えてその足取りが軽くなり、そのうちステッキをつかずに少しスピードアップしているのに気づき、ああ、すごいなあ、と感動すら覚えるほどでした。
冬になってからも変わることなく、淡々と歩く姿が見受けられました。モスグリーンの毛糸のキャップをかぶり、少し大きめの軽そうなジャケットを着て、首にはくすんだ色のチェックのマフラー。誰の趣味なんだろう。奥さん? 娘さん? お嫁さん? それともご本人? 嫌味じゃないオシャレがさりげなくて、小柄なその人が歩道橋をゆっくり歩く姿は絵になります。
そして、先週の久しぶりの雨の朝。霧雨程度ではあったけれど、その人は変わらず歩いていました。傘もささずに。今まで声をかけるのをためらっていた私ですが、そのときは思わず、
「大丈夫ですか?」
って。そうしたら、笑って、
「大丈夫、大丈夫」
思いがけず、大きな元気な声がかえってきました。
それ以来、会うと、すこしだけお話しするようになりました。ほんの少しだけだけど。
でも、いつか伝えたいです、毎日の努力でこんなに回復されて、すごいなあってね。私だって、頑張らなくちゃ…、そんな気持ちにさせてもらったことも。
最近、『朝日新聞』の朝刊の「人脈記」が渋沢栄一にちなんだ経営者の話を特集しているし、前回は人権派と言われる弁護士たちの特集だったでしょ。世の中にはかっこいい先駆者たちがいたんだなあと感動していたんだけど、そんなふうに大げさなことではなくても、こうやって地道に生きている人の中にも、光るものや輝く人たちがいるんだな、ということです。
年寄りはキライとか苦手とか、そういうとんでもないワタシなんだけど、でも、そんな私を謙虚に、そして優しい気持ちにさせてくれた、輪舞歩道橋での出会いでした。
『広辞苑』によると、「輪舞」とは「人が輪になって踊ること」らしい。その輪舞っていう単語がついている歩道橋がわが家の近くにあります。いつ頃できたんだっけなあ。正確にはわからないのですが、ここ10年以内? そんな感じです。
こんなふうに十字路の真上にでっかく丸い歩道橋が君臨しているのです。わかりますか? かなりでかいものなので、電車に乗り遅れるっ!というときには、なんだかぐるーっと遠回りしているような気になる。真ん中をつっきれる通路があればいいのに、とか思ったりする。
そうそう、ちょっとオシャレなドラマに登場して(どんなドラマかは忘れたけど)、おおっ!と驚いたこともある。「昨日、撮影してたよ。○○(これも忘れた)がいたよ」なんていう噂をきいたこともあり。
晴れ渡っているときには、遠く富士山が見えることも。今は真っ白な山姿がきれい。歩道橋をあるくと、こんな感じです。
とにかく通路の幅がはんぱじゃなく広い。アウトレットができたり、獣医看護大学?ができたりして、多少は人通りも増えたかもしれないけど、でも実は本当に人の通らない歩道橋なのです(笑)。とくに夜は、この歩道橋を通って帰宅する人が少ないので、いつも貸切り状態のよう。ある意味、税金の無駄遣いの象徴のような施設。
でも晴れ渡った空を独り占めできるし、歩くのはほんとうに気持ちがいい。とにかく空が大きいのです、ここでは。スピッツの「空も飛べるはず」じゃないけど、でもちょっとそんな気分にもさせてくれる…。
★だけど…
人が通らないわりには、とにかくゴミが多い。歩道橋の上はそんなことはないのですが、歩道橋へ上り下りする階段には、吸い殻、ハンバーガーショップの袋、スナック菓子のふくろ、などなどが散乱している。とくに吸い殻はひどい! どいつだ、ここにポイ捨てするやつは!!
みかねて、たまに帰りにビニール袋に拾ったりするんだけど、私も気が向いたときしかしないからなあ。あまり自慢はできません。なんかね、悲しくなるような光景です。
それと、ここからの風景を邪魔するものが現れた。ここからはあまり高い建物は見えなかったのですが、民間の高層マンションができまして、最近シートが取っ払われて、その様態が明らかになりました。こんな感じ。
そっち方向はあまり高層の建物はなく、ちょっとヨーロピアンな雰囲気の町並みに統一されてて、たま~に散歩したりしてるんですよね。そこにこんな無機質な建物が。ああ…。
まあ、私の場合はすぐに慣れちゃうんだろうけど、ちょっと邪魔されたなあ、と今は少し不愉快。しかたないけど。
★ステッキのステキな男性
ここでのステキな出会いを書くのが今日の目的でした(忘れるところだった)。
去年の夏頃に、ここを歩く70代か80代くらいの男性を見かけたのです。たぶん病気で倒れられて、体が不自由になり、そのリハビリのために毎朝歩いていらしたのです。 ステッキをついて、ほんとうに少しずつ一歩一歩ゆっくりと…。かわいいキャップをかぶり、うすいパーカーなどをはおって。
私は仕事柄、毎朝決まった時間にそこを通るわけではないんだけど、8時か9時台には必ずその姿を見ることができました。きっと毎朝毎朝1時間近く(?)歩いていらしたのだと思います。
いつの頃からか、すれ違うと(その人と私は逆回りに歩いているので)、軽く会釈をするようになりました。「おはようございます」と声をかけたかったんだけど、ひょっとして話すこともままならない状態なのかな、とそんなことを考えて、会釈だけ何か月も。
秋を過ぎるころになると、目に見えてその足取りが軽くなり、そのうちステッキをつかずに少しスピードアップしているのに気づき、ああ、すごいなあ、と感動すら覚えるほどでした。
冬になってからも変わることなく、淡々と歩く姿が見受けられました。モスグリーンの毛糸のキャップをかぶり、少し大きめの軽そうなジャケットを着て、首にはくすんだ色のチェックのマフラー。誰の趣味なんだろう。奥さん? 娘さん? お嫁さん? それともご本人? 嫌味じゃないオシャレがさりげなくて、小柄なその人が歩道橋をゆっくり歩く姿は絵になります。
そして、先週の久しぶりの雨の朝。霧雨程度ではあったけれど、その人は変わらず歩いていました。傘もささずに。今まで声をかけるのをためらっていた私ですが、そのときは思わず、
「大丈夫ですか?」
って。そうしたら、笑って、
「大丈夫、大丈夫」
思いがけず、大きな元気な声がかえってきました。
それ以来、会うと、すこしだけお話しするようになりました。ほんの少しだけだけど。
でも、いつか伝えたいです、毎日の努力でこんなに回復されて、すごいなあってね。私だって、頑張らなくちゃ…、そんな気持ちにさせてもらったことも。
最近、『朝日新聞』の朝刊の「人脈記」が渋沢栄一にちなんだ経営者の話を特集しているし、前回は人権派と言われる弁護士たちの特集だったでしょ。世の中にはかっこいい先駆者たちがいたんだなあと感動していたんだけど、そんなふうに大げさなことではなくても、こうやって地道に生きている人の中にも、光るものや輝く人たちがいるんだな、ということです。
年寄りはキライとか苦手とか、そういうとんでもないワタシなんだけど、でも、そんな私を謙虚に、そして優しい気持ちにさせてくれた、輪舞歩道橋での出会いでした。