隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

三人の役者がチャーミングで~「こんばんは、父さん」

2012年11月07日 22時17分10秒 | ライブリポート(演劇など)

2012.11.6 (火)
「こんばんは、父さん」
at 世田谷アブリックシアター

 http://nitosha.net/n37/index.html


作・演出 永井愛
出演 平幹二郎/佐々木蔵之介/溝端淳平


 登場人物三人の台詞劇。
 廃墟となった町工場に偶然居合わせた、かつての工場主で今はシルバーセンターの仕事をしヤミ金の取り立てに追われる男、その息子で一流企業のサラリーマンのはずが今は離婚してねぐらもない男、そしてヤミ金の取り立てを生業にする若者。
 以前に平田満と加藤治子で観た母子の劇「こんにちは、母さん」(永井愛作で、これが素晴らしかったのです)(ココ)がストーリーとセリフの妙味というなら、こちらは純粋にセリフのやりとりで魅せる。
 父と息子の確執、借金の取り立て屋と追われる男の相反する利益・・・真逆の立場で言葉を投げ合い、それがときには罵声になったり哀願になったりしながら、見ている私はふと思う。
 「どうなればこの人の人生はOKってことになるんだろう」
 それは自分のこととしてもそうだけれど、あまりに難しい問いかけで、何がOKで何がダメなのか、なんて、究極の疑問なわけです。
 人はたぶん、そういう難問のために、こうやって人と過激な、穏やかな、有意味な、無意味は言葉をえんえんと交し合っているんだということが、観ているうちにわかってくる・・・そういう貴重な時間だったかな。
 かなり過酷なところで生きている三人だけど、結局、最終的には、過去を振り返ったり、暴走しそうになる若者を止めようとしたり、取り立て屋としての立場を忘れているのか、目の前の親子のために酒を買ってきたり・・・そんな面を見せたりする。
 昔から小説や芝居のテーマにあるけど、人間って、中途半端に不幸せなときは情けないほど弱っちいけど、落ちるところまでいったら結構見栄えがする程度には開き直れるのかな、とか、そんなことを思ったり。
 永井さんはもっと深遠なテーマをおもちだったかもしれないけど、私はそんなありふれたありさまに触れて、少し浮き上がれた気がしたのです。

 役者は三人とも、それぞれにチャーミング。「チャーミング」は人を形容するときにどの年代にも使える褒め言葉だと思っている。
 平さんはいつもの怪しさをきれいに捨てて、なんだかわかりやすい初老の男を見せてくれます。ときおりの大仰なセリフさえ、この舞台に馴染んで聞こえる。
 蔵之介さんの身軽なあやふやさ、特徴のある発声、ときどき聞きづらいときもあるけれど、今回は老と若の真ん中で、いい意味でもバランスがありました。
 そして溝端くん。すみません、まったく期待していなかったのですが、セリフのきれ、立ち振る舞いの清々しさ、そして、なんだか堂々とした感じがよかったな。
 年齢の差、経験の差、空気の違い・・・そういうものがあるような、ないような、不思議な空間でした。
 ステキな心地よい空間だったという意味です。

 若者を励まして送り出したあと、親子で交わす追憶の言葉のやりとりがよかった。
 華やかな過去の幻影から抜け出して生きていくことはなかなか大変なことだけれど、この親子はなかなかしたたか、そして「たくましい」。
 照明で浮き上がった二人の表情が、さまざまなものを、さまざまな状況を、自分たちの行く末を、私たち観客のそれぞれの心の奥に想像させたかもしれない。


 そうそう、お隣の30~40代のお姉さん。
 ご友人との会話から想像するにかなりの芝居好きと思われるのですが、開幕後の佐々木蔵之介登場からラストまで、驚きの長時間の「オペラグラスによるガン見」、見事でした!!


 夕暮れの濃霧? こんなの久しぶり。

 
 
 


                     


 「THE ROCK STORIES」
 フジテレビ系にて11月13日(火)〜15日(木)に放送される。
 

 http://natalie.mu/music/news/79528

 内田裕也
 奥田民生/吉井和哉/山崎まさよし
 岸田繁(くるり)/OKAMOTO'S
 甲本ヒロト/真島昌利(ザ・クロマニヨンズ)
 小林武史/亀田誠治
 小室哲哉/高見沢俊彦
 セイジ(ギターウルフ)
 チバユウスケ(The Birthday)/ROY(THE BAWDIES)
 トータス松本/山口隆(サンボマスター)
 仲井戸"CHABO"麗市×Char
 中村一義/曽我部恵一/LOVE PSYCHEDELICO
 Kj(Dragon Ash)/金子ノブアキ(RIZE)
 向井秀徳
 ムッシュかまやつ/ミッキー・カーチス
 宮本浩次(エレファントカシマシ)
 Ken Yokoyama/マキシマムザ亮君(マキシマム ザ ホルモン)/TAKUMA(10-FEET)
 その他 

 こ、こ、これは見なくちゃ!


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