隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

やっと観られた『日本の女』(阿佐ヶ谷スパイダース)

2007年06月24日 14時07分00秒 | ライブリポート(演劇など)
SPECIAL SCLEENING 『日本の女』(6月2日 in ザ・スズナリ)


 個人的な理由で「芝居」を封印していた2000年代前半の間に、阿佐ヶ谷スパイダースの「暴走する男たちシリーズ」(今回の対談で、最初からシリーズ化を予定していたわけではないことが明らかになったけど)の『日本の女』『はたらくおとこ』が上演されていた。
 今回最終作の『少女とガソリン』を観るにあたって、無性に前2作が観たくなっていた時期に、このSPECIAL SCREENINGの企画を知って飛びついた、ということです。
 映画は映画館に行かなくても(行きたいんですけどね)DVDで間に合わせられる体質なんですが、話題の芝居がテレビで放送されても全く観る気がしないタイプ。なので、ビデオ上映?ってとこで迷ったんですけどね。
 まして午後2時開演って…。一応仕事人ですしね。万難を排して(笑)、行ってまいりました。

★女性賛歌?
 女性が好きであるがゆえの「女性への過激な行動」の数々。女から受けた裏切り行為でエスカレートする男たちのはずれた日常がおもしろおかしく?、グロを重ねながら展開される。
 おかしくも悲しい、愚かとも思えるひたむきさに、例によって(としか言いようがないのですが)ニコチン的な中毒症状を誘われてしまう…、そういう長塚圭史の世界です。抜けられない…。
 主人公が刺してしまった瀕死の妻の体を、女に愛と恨みを抱く男たちが蹴ったり飛び乗ったりする暴行を続ける。それが陰湿ではなく、妙にコミカルに見えるのは、それぞれの中に女性を愛するが故の鬱憤があるからか。
 ラスト、女性擁護団体に包囲される中、仲間をみな逃がして、一人、死んだ妻への愛の言葉を叫びながら、必死で「女への白旗」を振る主人公の姿に、不覚にも涙を流してしまった。
 そして、「とっておき」が入っている、と言っていた黒い金庫のトビラが開けられると、中からは、死んだ妻の白骨化した遺体が、不気味な花に彩られ、なぜか悲しげなきれいな表情で現れ、ああ、これは「女性賛歌」の芝居だったのか、と思い当たったのです。

★優しい狂気
 暴走する男たちの中心にいて、頼りないいい加減な男で、なんの信念もないんだけど、いつしか組織の中心にいて、精神的な支えになっている。そして、時に過激、時にチャーミングな父親役の中村まことが光っていた。最近では2年前くらいに『エドモンド』を観ただけだけれど、「優しい狂気」は健在でした。
 ビデオでも十分楽しめた、というわけです。いつか、再演されることを!


 ビデオ上演後の対談は、中村まこと vs 中山祐一朗。演劇ライターの富永京子さんの進行で、まったり(笑)進みました。
 この芝居は最初、長塚圭史の「女性のいなくなった男の世界」を描いてみたいというモチーフで始まったそうですが、結局は、そういう世界を作りたいと男たちが思うに至った過程を描いた前半のほうがおもしろくなってしまった、という経緯があったそうです。そこがなんだかおもしろかったかな。
 お二人の人柄とおかしなキャラが垣間見える40分あまりの「いい時間」でした。

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