2014.11.20(木)
『大谷ノブ彦の キキマス!』
ニッポン放送 13:00-16:00
http://www.1242.com/program/kikimasu/
毎週木曜日の「レジェンド」のコーナー、11月はスピッツ特集(先週はココ)。
聴き逃した方、録音に失敗した方、Podcastで聴くのが面倒な方…、以下で大谷さんの喋りを簡単に(笑)まとめますので、よかったらどうぞ。
「 」内は大谷さんの発言ママ。多少、順番をかえたりして編集しています。
1週目で「運命の人」、2週目で「僕の天使マリ」を紹介し、今週は「8823」(考えてみたら、この選曲はたしかに個性的)。
2000年のアルバム「ハヤブサ」に収録されている楽曲。
「よく森脇さん(誰?)が『それでも稀勢の里は大関や』と言います。『稀勢の里、なめないでください、大関なんです』と」
この引用をあえて使って、大谷氏は言う、「それでもスピッツはロックバンドなんや」。
ここで彼は先週の話を繰り返す。
スピッツはブルーハーツ的なものを踏襲しかけて、「自分たちの最短距離(?)は違う」とUKのオルタナティブロックのサウンドをいち早く取り入れたバンドだ、と。「日本でもかなり最初のオルタナティブロックバンド」という認識。「非常にフェミニンな声、ポップなメロディーから、どちらかというとポップなバンドのイメージがあるけれど、実は、非常にマニアックな洋楽体質なロックバンド」
ここまでが先週までの復習。
■ジレンマ?
初期の頃はなかなか売れず、「彼らにとっての至上命令は『売れること』になってしまった」。
売れるためにもがいているときのアルバム「crispy!」。歌詞も簡素になって、「草野マサムネさんにしてはわかりやすい。『君が思い出になる前に』なんて、明らかに聴き手を想定した曲になっている」。
でも、このアルバムも売れなかった。
「自分たちは世間に受け入れられないのか」と思ったその頃、カラオケブームがやってきて「ひとつのepoch-makingといわれるバンド、Mr.Children」が売れ始め、タイアップという力で「ロビンソン」がヒットする。
ただし、メンバーはこの曲が売れるとは思わずシングルカットする気もなかったが、メガバンドとしてスピッツの快進撃が続く。
そんな中、洋楽志向のオルタナティブバンドを目指しているはずなのに、CMソングに使われ、大きなホールでのライブツアーが続き、マスの中に入っていく自分たちに疑問を抱き始める、「ほんとうに表現したかったのは、これなの?」。
1997年あたりから、フジロックなどのフェスが始まる。欧米のロックバンドがやってきて、日本のバンドと同じステージに立つ。
この頃、ナンバーガール、くるり、スーパーカーといったバンドがデビューしてフェスで活躍する。そこでスピッツは「なめんなよ、お前たちがやっていることを、俺たちはずっと前からやってるんだ」」と。
自分たちもそういうステージに立つバンドになりたかったのではないか、と悩んだメンバー。バンドは一時、崩壊しかける。「求められていることと、自分たちがしたいことが異なる。どうしたらいいんだ」
■名盤「ハヤブサ」が生まれる
その中で改めて、自分たちはロックバンドなんだという意志表示をすべきなんじゃないか、と思い始めたのが2000年。
石田ショーキチをプロデューサーに迎えて、アルバム「ハヤブサ」を制作する。
「日本のロックバンドのアルバムを聴きたいと思うなら、まずこの『ハヤブサ』を聴けば、続いてリリースされた優れた日本のロックバンドのアルバムを聴く能力が携わります! それくらい、このアルバムにはロックのあらゆるパターンが入っている」
歌詞も、「一筋縄ではいかない」、「非常に文学性が高い」。
「『HOLIDAY』なんて、歌詞だけ聴いたらおっかないですよ。ストーカーソング。『もしも 君に会わなければ もう少しまともだったのに』とか。これって情念ですよ」
「『メモリーズ・カスタム』なんて、どれだけザラザラした音の処理をしているんだという感じ。当時の先進性(?)のあるサウンドになっている」
「8823」は「ポリス」的なリフから始まる。1970年代のポストパンク的なイントロから入って、サビでの解放感! 「これがスピッツメロディー!」
「歌詞が深い! ロック史上最高の歌詞のひとつ」
「君を自由にできるのは 宇宙でただ一人♪ 宇宙ですよ。前回も言いましたが、SM的な観点!」
「ところが、これらの曲が、ポップソングとして受け入れられた。それは、スピッツというバンドの実力が上がっていたことの証拠。初期の『名前をつけてやる』と同じ世界観を、ポップで聴きやすく口ずさみたくなるメロディーに乗っけることに成功してしまったアルバムなんです。ポップとロックという表裏一体のものがどちらも音楽の喜びであるということをひとつのロックバンドがなしとげた記念碑的アルバム。2000年代の始まりのアルバムとして、非常にレベルの高い作品だと思います」
「ダサイ」と思われていた、というのがスピッツのテーマだった。「今は振り向かず ハヤブサ クズと呼ばれても笑う♪」という歌詞が加わった瞬間に、「われわれの歌」になってしまう、この魔法。
「若い方で、この『ハヤブサ』を聴いてない方、人生、損をしています。すばらしいロックアルバムであり、すばらしいポップアルバムです」
「すばらしい才能をもったロックバンドがこの日本にいる。そして、日本人でなければ書けない歌詞です」
「スピッツが今も現役でやっているのは、このアルバムがあったからだと思っています」
なんで熱いファンが多いか。それは、歌詞をいかようにも解釈できるから。年齢を重ねたからこそ沁みる歌詞もある。
第1回、第2回と進むにつれて、ますますエスカレート気味で、ちょっと感想を述べづらくなっています(笑)。
あくまで、大谷氏の見解ということで。
スピッツのバンドとしての経緯、立ち位置、歌の解釈など、ファンにはそれぞれの受け止め方があるので、それはそれとして。
前回もそうでしたが、「いろいろ勝手に解釈できることのおもしろさ」が、ファンであることをやめられない理由のひとつ、ってところは「異議なし」です。
私も「ハヤブサ」は大好きなアルバム。ニューアルバムをずっとヘビーローテーションして何ヵ月かたったとき、最初に聴きたくなるのがなぜか、このアルバム。
どの曲も好きだけれど、リリース時にはあまり思い入れをもてなかったはずの「甘い手」が今は胸の奥に入り込む。草野の少し鼻にかかった声もいいし、夜の闇に強烈な光があたる感じがイメージをふくらませる。
大谷さんの解説でいちばんの違和感は、「史上最高の」とか「世界レベルの」とかいう表現かな。ファンとしてはちょっとうれしい評価ではあるけれど、そういう比較っていちばんスピッツらしくない感じがする。どことも比較できない、同種の…とも言えない、ほかにはない不思議なバンド、というふうに付き合ってきたからかなぁ。
アシスタントの脊山麻理子さんは、「裸の胸が触れ合って ギター炸裂♪」の歌詞を「セクシー」だと言い、「エロさを上品に表現するところ、直接的なエロじゃないところ」を評価していました。
★「NO MUSIC, NO LIFE.」のポスター
http://tower.jp/article/news/2014/11/21/101
10月26日(日)のイベント「Bowline」(さいたまスーパーアリーナ タワーレコード主催)の全出演アーティストが登場。
楽しそうな、いい写真。
ところで、エレカシの宮本さんはどこ?
衆議院解散→選挙へ。
若い人が自分たちの未来に希望をもてないでいる。投票しても何が変わるの?と。
気持ちはすごくわかる。自分もそういう若者だったし。
でも今は、とりあえず棄権はしない…、それだけは決めている。
議員の定数是正も、議員数の削減も行われなかった。約束は反故にされたまま、選挙が行われる。