☆映画の旅の途中☆

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『ベヒモス』(2015)@東京フィルメックス

2015年11月22日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『ベヒモス』Behemoth

中国 / 2015 / 91分
監督:チャオ・リャン(ZHAO Liang)

【作品解説】
資源の豊富な内モンゴルでは中国各地から集まった出稼ぎ労働者たちが働いているが、同時に産業化に並行して起こる環境破壊が深刻な問題を引き起こしている。圧倒的な映像で、内モンゴル自治区の炭鉱や鉄鋼場で働く労働者たちの姿を描くチャオ・リャン監督のドキュメンタリー。 (フィルメックスHPより)

【感想レビュー】@フィルメックス
広大な土地に地響きかと思うような喉歌が鳴り響く。ホーミーかしらん
羊に山羊、馬。遊牧民の暮らしぶりと、そのほんの少し先で行われている環境破壊の画に圧倒されます。炭鉱の爆破によって地が切り裂かれていく音がする。粉塵の中でろくな防備もせずに黙々と作業を続ける労働者達。身体中には粉塵が入り込んでいます。。

また鉄鋼場の労働者達は、防備をせずに火の粉を浴び続け、顔は焼けて赤黒くなり、素手の作業で水膨れやマメだらけになった掌からは、過酷な労働環境が滲みます。炭鉱の粉塵の灰色、鉄鋼場の炎の赤色。病に倒れる労働者が後をたちません。ここは地獄なのだろうか。

この世の矛盾、歪みが、事物に断層をつけることで表現されていました。これ、初めは自分の目がおかしくなったのかとパチパチさせて何度も見てしまいました

こんな状況にしてしまったのは人間。破壊された環境に、追い詰められていくのもまた人間自身。
ラストに出てくる彩り楽しいマンション群は、ゴーストタウンらしい。都市部との対比に言及しつつも、結局は鏡と同じように一つの世界、一つだといわれているように感じました。
ホーミーの二重発声も、一人で複数の音程、メロディーを操る歌唱法で、一つの肉体で成すもの。他人事ではないのですよね。。
不快な周波数の電子音がキリキリと耳に残ります。

こういう作品を観ると、まぁるい地球儀が思い浮かんでくる。あっちでもこっちでも、地球のあらゆるところで、地球は壊されている。壊されている?自分は?いやいや、壊しているのだよなぁと愕然とします。。

『ひそひそ星』といい『ベヒモス』といい、作品の世界観が有機的に結びついていく観賞ができるフィルメックス!!
素敵過ぎるっ






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