kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

女神の見えざる手

2017年12月24日 | ★★★★☆
日時:12月22日
映画館:サロンシネマ

ワシントンDCで屈指の辣腕ロビイストとして恐れられるミス・スローン。銃規制法案をめぐり、銃規制反対派の企業からロビー活動の依頼を受けるが、同じタイミングで規制派のロビー活動会社からヘッドハンティイグを受け、移籍する。
勝利のためには手段を選ばず、人間的なモラルにも欠如した彼女はあらゆる手段で、規制派の票数確保に動く。

名前こそ知っているが、実態がよくわからなかったアメリカのロビイスト活動について、この映画を観るとよく分かる。逆に馴染みがないと映画そのものがわかりづらいし、セリフで説明される部分も多いので、ウカウカしていると人物関係がわからなくなりかねない。

主人公のジェシカ・チャステインの辣腕ぶりの描写が的確で、仕事ぶりだけではなく手を抜いた食生活やエスコート・サービスを利用することで性欲を処理しているなど、ディテールには共感できる。(といっても、ワタシが風俗を利用しているという訳ではない。)

さらに同時進行する事態をモンタージュで細切れに描くのだが、これが慌ただしさが続く日常の雰囲気をよく醸し出している。扱っている事象は全く違うが、自分の日常とオーバーラップする、する。

もちろん、銃規制反対派もお互いに手口を知る者として、あらゆる手管を繰り出してくる。お互いの手を読み合い情報戦をやり合うあたりは、戦争映画やスパイ映画に近い雰囲気がある。

銃規制反対派はチャステインが過去に扱った案件を議会公聴会に持ち出し、彼女と銃規制法案を葬り去ろうとする。映画的には当然、最後の切り札が準備されるのだが、そこは見てのお楽しみ。

「自分のキャリアを殺すくらいなら、殺されて死ぬほうがまし。」のセリフもカッコいい主役のジェシカ・チャステインは知的で冷淡な雰囲気がピッタリのはまり役。彼女をはじめ、登場人物の顔がいい。マーク・ストロングとかマイケル・スタールバーグとか諜報物にピッタリだし、女性陣も基本的に色気のなさがそれらしくていい。それにしても、サム・ウォーターストンが主要キャストで登場するなんて、嬉しいなあ。

ところで、この両陣営とも国のためと思いながらの活動がどんどん激化していくのだから、「皮肉なものだよ」。






題名:女神の見えざる手
原題:Miss Sloane
監督:ジョン・マッデン
出演:ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、マイケル・スタールバーグ、ググ・バサ=ロー

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