kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ゴモラ

2012年02月16日 | 洋画(普通、まあまあ、及第点)
日時:2月13日
映画館:サロンシネマ
パンフレット:A4版700円。

「ゴモラ」と言っても、配給会社でさえ断っているようにウルトラ怪獣のゴモラではなく、ソドムとゴモラに由来した悪徳の都の意。ナポリの犯罪組織「カモッラ」の実態を描いた社会派映画。

ストーリーは5つの話が同時進行する。カモッラの下働きをする少年トト、不正に産業廃棄物を処理するフランコ、組織構成員に給料を配る係のドン・チーロ、高級オートクチュールブランド服の仕立て職人パスクワーレ、武器を片手にいきがるチンピラ マルコとチーロ、それぞれに人生の運命が待ち受ける。(原作を呼んでいないと設定にわかりづらいところもあり。)

カモッラを軸に5つの話がどこかで接点があるのかと思いきや、案外、それぞれの話にほとんどつながりはない。そういった点だけでなく、全体に映画的な作りがない。

イタリアンでマカロニ的なカッコよさも、作劇上の仕掛けも、ドキュメンタリー映画のような整理されたストーリーもない。
画面は小汚く、登場人物はみんな、見た目冴えない。顔がイタリア人でなければ、どこの国の物語かよく分からない。
お待ちかねのバイオレンスシーンもほとんどなく、描写もおとなしい。
1シーン1シーンのカットは長めで、取材映像のような緊張感が漂う。

つまり、映画的なケレン味は徹底して排除され、再現された事実を淡々と積み上げて1本の映画にしている。そこが良いかどうか、面白いかどうかは好き嫌いの分かれるところだろう。

映画を象徴するビジュアルが、川べりでパンイチでカラシニコフをぶっ放つマルコの姿だけでしかないというあたりが、この映画の性格を端的に示しているような気がする。(しかも、ストーリー展開上、あまりパンイチの必然性がない。)

ワタシがイタリア語を勉強しているのに、全然聞き取れないのは、きっと強烈なナポリ方言のせいだろう。(と実力の無さを言い訳する。)

ところで、映画のラスト、些末な事件を片づけたボスが、部下から「なんでこんなに手間をかけるんです。」と質問される。「ここまでやってこそ、一件落着」ってガッツポーズをとるボスがおかしくもあり、怖くもあり。






題名:ゴモラ
原題:GOMORRA
監督:ロベルト・サヴィアーノ
出演:トニ・セルヴィッロ、ジャン・フェリーチェインパラート、マルコ・マコル

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