kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

マネー・ショート 華麗なる大逆転

2016年05月08日 | ★★★☆☆
ワタシの映画評価基準は3通りあって「面白い映画」「楽しい映画」「よくできた映画」なのだが、この映画は決して「楽しく」はない。
単純に「面白い」という訳でもない。「よくできていて、面白い」映画というべきだろう。

2008年に起きたリーマンショックと世界恐慌を予測した銀行マンやファンドマネージャーの活躍を描く・・・と言えば聞こえはいいが、実は「暗闘を描く。」といった方がかなり正確。世の中の経済システムが狂っているなら、その狂気に乗っかって大稼ぎしてやろうという山師の映画だ。

その、とにかく複雑な金融と経済システムを解説しつつ、ちゃんと娯楽映画に仕上げている。

一応、この映画には4人の主人公がいることになっており、このアウトロー4人がさも手を組んで・・・みたいに思えるのだが、実は4人にはほとんど接点がない。ブラピなどに至っては、他の3人と全く顔を合わせない。

残念ながら、個人的にこの4人には感情移入できる要素が全くない。こういった銀行マンにも証券マンにもファンドマネージャーにもお目にかかったこともなければ、知り合いにもいない。日々の株式市場が今の生活に直結していることもない。彼らが血眼になって動かしている金融市場もスケールが分からないから、ことの重大さがピンとこない。
これが「誤って人を殺した。」とか「浮気が奥さんにばれた。」とかいうような話だったら、もっと慌てようもあるのだが、「○○億ドルの損失」って言われても・・・。

劇中で語られるように結局ババを引くのは、無知な低所得者層の人たちで、金の亡者がしっぺ返しを食らうことはない。形だけのカタルシスも描かれず、とても楽しい映画とは言えない。

時系列で事態を追いかけても面白くなさそうな話を面白くしているのは、その表現手腕。色んなたとえ話を盛り込み、登場人物が事態を説明し、フラッシュバックの映像で時代をつなげる。スコセッシの表現をもっと慌ただしくしたようで、それでいて分かりやすい。コメディとかギャグマンガの手法なのだが、それが功を奏している。

4人の中で印象に残り、輝いているのはスティーブ・カレル。世の中全てに腹を立てていて、それでいてその世界の上でメシを食っている。さらに有能で見立てが素晴らしいから、4人の部下も従っている。そんな自分に釈然としないから、セラピーにも通っている。極端になりそうなキャラを微妙なサジ加減で演じている。

で、この旦那を支える妻がマリッサ・トメイ。「レスラー」とか「リ:ライフ」とか女神様のような女優ですね。(笑)






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題名:マネー・ショート 華麗なる大逆転
原題:The Big Short
監督:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベール、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット、スティーブ・カレル
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