kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

スポットライト 世紀のスクープ

2016年04月17日 | ★★★★☆
日時:4月17日
映画館:八丁座
パンフレット:A4版変形。タブロイド紙をイメージした薄手の紙がいい感じ。

カトリック聖職者による性的虐待をスクープしたボストン・グローブ紙、スポットライトチームを描いた今年のアカデミー賞受賞作品。

ワタシ、元々、こういう調査モノというか、スクープものが大好き。コスタ・ガブラスの「Z」なぞ、大好きな映画の1本だ。さらに好きです、華のないオッサンが活躍する映画。

このスクープの端緒となるのが、同紙の新任局長による事件の追跡調査の命令。新任局長を演じるのはリーブ・シュライバー。どちらかと言えば、剛腕系のイメージが強いのだが、ユダヤ人のよそ者という強みを活かして、そ知らぬ顔で穏やかに指示を下したり、大物に切り込んでいく役柄がいい。

陣頭指揮を取るのはマイケル・キートン、頼りになるリーダーをカッコよく演じている。それ以上に仕事に対する信念がいい。報道人として友情と一線を画すあたりとか、妥協しない姿勢とか見せ場満載。
信念のないところで仕事をしていて、寝ていると退職した夢まで見てしまう自分と比べてしまう。(ちょっと愚痴)

熱血記者にマーク・ラファロ、報道部長にジョン・ステッラリー、調査のキーマンとなる弁護士がスタンリー・トゥッチとこれまた、顔触れが地味なのだが、またそれがいい味を出しているし、どのキャラクターにも陰影があるあたり、脚本の上手さ。

細かい資料調査と数えきれない聞き込み、優れた推察によって、事件の全容が判明していくあたりは、こういった調査モノ映画の醍醐味と言える。資料入手を巡る法廷闘争などはいささか分かりにくく、退屈しそうなものだが、シーンごとの切り替えが早く、テンポよく描かれるので退屈しない。
事件の舞台は2001年で、風俗はそんなに変わらないのだが、手作業に頼る資料調査など隔世の感がある。(ちなみにマイクロフィルムで過去の新聞記事を探すと、動きについて行けなくて酔って気分が悪くなる。)

この映画がアカデミー賞を取ったのは、単に実録ものいうだけでなく、その背景にあるカトリック教会とアメリカ社会の関係や信仰に対する考え方、そこにある問題の構図まで描いたからだろう。逆にそういった背景を持たない日本人には、肌感覚として実感できないところもある。

この手の映画のエンディングとしてお決まりの展開になるのだが、新たな被害者が発覚していく点は悲しいものがあるな。






題名:スポットライト 世紀のスクープ
原題:SPOTLIGHT
監督:トム・マッカーシー
出演:マイケル・キートン、マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、リーブ・シュライバー
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