kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

ひろしま美術館特別展 「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」

2016年05月08日 | 展覧会
「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」
会場:ひろしま美術館
会期:2016年4月9日(土)~2016年6月12日(日)

早くから告知されていた、新年度早々の大物展覧会。
もう、お腹いっぱいのボリューム感で大満足。

ヴェネツィアを巡るさまざまな作品が一堂に会しているが、特に前半の西洋絵画が見ごたえたっぷり。
以前にも書いたことがあるが、広島で中世西洋絵画をまとめて観ることができる機会が少ないので、それだけに楽しい。

第1室から木版の巨大な「ヴェネツィア鳥瞰図」が展示されているが、これだけでずっと見続けていられるくらい、飽きない。すでに500年も経過しており、ところどころ修復されている点も興味深い。

ここにはカルロ・ポンティが撮影したヴェネツィアの写真が展示されており、「かの大プロデューサーの写真がこんなところで見られるとは!」と感動したが、どう考えても年代が合わない。同姓同名の別人だったわけね。

つづく、「ヴェネツイアの肖像」も面白い。横顔のポートレートもなるほどと思わせる。モチーフの皆さま、実にひげが立派で、ワタシのヒゲ熱が過熱する。

第二部にあたる宗教画のコーナー「描かれた祈り」も、宗教画が身近にないだけに一点一点じっくりと見たくなる。キリスト教や聖書に通じていれば、より楽しめるのだが、無宗教の門外漢にもわかりやすい解説が添えられている点がありがたい。

幼子のキリストやマリア、東方の三賢人など確かに敬虔な感情を起こさせるのだが、その一方でこういった絵画などの人工物だけを敬うようになる危険性も感じるし、そこから宗教改革とかイスラム教における偶像崇拝禁止などの思想に通じることも実感できる。

モチーフの取り上げ方として、時代考証的におかしいものもある(多い?)点も興味深い点だ。

個人的にはここまでの前半で濃密すぎて、お腹いっぱい、入場料分は元を取った感じ。
後半の「ヴェネツィアのライフスタイル」に入るとすでに集中力が欠如している。また、織物や服飾は単品だけの展示が多いので、もうちょっと点数や種類があった方が面白かったような気もする。

最後は19世紀以降に描かれたヴェネツィアの風景画が中心となる。本展示会のメインビジュアルであるモネの「ヴェネツィアの大運河」もここに展示されているのだが、こういった印象派や後世の作品は前半の質的ボリューム感に比べると、後付け感があって見劣りがしてしまう。

出口にはヴェネツィア風のマスクで記念撮影をさせてくれるのだが、いかにワタシでもおひとりさまでは恥ずかしい。撮影したかったなあ。(笑)
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