日時:4月14日
映画館:八丁座
1971年、ニューヨーク・タイムズは米国政府の対ベトナム戦略の分析レポートを入手し、スクープする。後塵を拝したワシントン・タイムズだったが、独自のルートで情報源を特定し、後追いスクープを狙おうとする。
奇しくもタイムズは株式公開を準備中で、投資家筋への配慮が必要な時期でもある一方、ホワイトハウスは記事の差し止めを命じ、更には取材手法の合法性も問われ・・・
パブだけ見るとメリル・ストリープとトム・ハンクスが秘密文書を追う映画のように見えるが、今回のメリル・ストリープは押しの弱いタイムズの社主役で、これまでの「私がメリル様よ」というような役柄とは一線を画している。ただ、そこがこの人の上手いところで、会社の将来と報道の使命、友情と職務といった相反する立場の中で、とにかくやかましい連中を相手に苦悩する役を自然に演じている。ワタシには無縁の「ノブリス・オブリージュ」も実感することができる。
トム・ハンクスは記者ではなく、有名な編集主幹役。(「大統領の陰謀」ではジェイソン・ロバーツが演じていた。)確かに彼の年で記者をやるには無理があるのだが、コメディ俳優だった若い頃を知っていると、着実に上手に大物俳優になっているなあと思う。
現場で大物ネタを捕まえてくる役は「ブレイキング・バッド」「ベターコールソウル」のボブ・オデンカーク。
「リンカーン」の時も思ったのだが、スピルバーグ映画は時代に見合った顔を見つけてくるのが上手い。メイクやファッションセンスの巧みさもあるのだが、やはり役者の層の暑さを実感させられる。ちなみにボブ・オデンカークの他にもマイケル・スタールバーグ、ジェシー・プレモンズ、キャリー・クーンと「ファーゴ」TVシリーズの出演者がいい顔で出ている。
ちなみにマクナマラ役はブルース・グリーンウッドなのだが、彼、「13デイズ」ではケネディをやっていたよね。(笑)
役者の雰囲気だけでなく、70年代の新聞社を再現した美術も見事で、モンタージュで新聞が出来るまでの工程をつぶさに見せてくるとところなど映像的にワクワクしてくる。ポストの大印刷所の様子などあまりにも出来が良くて、ロケしたのか、セットを組んだのか、CGで再現したのか、気になるところだった。(たぶん、最後のロングショットはCGじゃないだろうか。)
本題にはほぼ関係ないが、オープニングのベトナム戦争も適度に緊張感が漂ういいシーンだ。
ストーリーの本質は、たぶん、多くの企業や組織で揉める、ミッションの追求と組織の維持のぶつかり合いで、その分、映画的な派手さはないのだが、そこはスピルバーグの卓越した手腕によって一大エンターテイメントとなって、涙のエンディングになる。
この映画が涙々になっていまうのが、今の世情と合致するところが多く、やはり現状に対する不安と希望がないまぜになってしまうからなんだろうな。
映画館:八丁座
1971年、ニューヨーク・タイムズは米国政府の対ベトナム戦略の分析レポートを入手し、スクープする。後塵を拝したワシントン・タイムズだったが、独自のルートで情報源を特定し、後追いスクープを狙おうとする。
奇しくもタイムズは株式公開を準備中で、投資家筋への配慮が必要な時期でもある一方、ホワイトハウスは記事の差し止めを命じ、更には取材手法の合法性も問われ・・・
パブだけ見るとメリル・ストリープとトム・ハンクスが秘密文書を追う映画のように見えるが、今回のメリル・ストリープは押しの弱いタイムズの社主役で、これまでの「私がメリル様よ」というような役柄とは一線を画している。ただ、そこがこの人の上手いところで、会社の将来と報道の使命、友情と職務といった相反する立場の中で、とにかくやかましい連中を相手に苦悩する役を自然に演じている。ワタシには無縁の「ノブリス・オブリージュ」も実感することができる。
トム・ハンクスは記者ではなく、有名な編集主幹役。(「大統領の陰謀」ではジェイソン・ロバーツが演じていた。)確かに彼の年で記者をやるには無理があるのだが、コメディ俳優だった若い頃を知っていると、着実に上手に大物俳優になっているなあと思う。
現場で大物ネタを捕まえてくる役は「ブレイキング・バッド」「ベターコールソウル」のボブ・オデンカーク。
「リンカーン」の時も思ったのだが、スピルバーグ映画は時代に見合った顔を見つけてくるのが上手い。メイクやファッションセンスの巧みさもあるのだが、やはり役者の層の暑さを実感させられる。ちなみにボブ・オデンカークの他にもマイケル・スタールバーグ、ジェシー・プレモンズ、キャリー・クーンと「ファーゴ」TVシリーズの出演者がいい顔で出ている。
ちなみにマクナマラ役はブルース・グリーンウッドなのだが、彼、「13デイズ」ではケネディをやっていたよね。(笑)
役者の雰囲気だけでなく、70年代の新聞社を再現した美術も見事で、モンタージュで新聞が出来るまでの工程をつぶさに見せてくるとところなど映像的にワクワクしてくる。ポストの大印刷所の様子などあまりにも出来が良くて、ロケしたのか、セットを組んだのか、CGで再現したのか、気になるところだった。(たぶん、最後のロングショットはCGじゃないだろうか。)
本題にはほぼ関係ないが、オープニングのベトナム戦争も適度に緊張感が漂ういいシーンだ。
ストーリーの本質は、たぶん、多くの企業や組織で揉める、ミッションの追求と組織の維持のぶつかり合いで、その分、映画的な派手さはないのだが、そこはスピルバーグの卓越した手腕によって一大エンターテイメントとなって、涙のエンディングになる。
この映画が涙々になっていまうのが、今の世情と合致するところが多く、やはり現状に対する不安と希望がないまぜになってしまうからなんだろうな。
題名:ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 原題:The Post 監督:スティーブン・スピルバーグ 出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、ボブ・オデンカーク |
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