kamacci映画日記 VB-III

広島の映画館で観た映画ブログです。傾向としてイジワル型。美術展も観ています。

犬ヶ島

2018年06月02日 | 年間ベスト3
「いぬやしき」とか「○○島」とかいう日本映画と勘違いし、完全にノーマークだったが、先日の「ぼくの名前はズッキーニ」に引き続いてのストップモーションアニメ。監督はウェス・アンダーソン。

いきなり、三人の高校生が体育館で演奏する和太鼓のオープニングに始まり、そこからとても一言で説明できない。最初からその世界観に引き込まれる今年のベスト入り確実の映画。

これから20年先の日本。ウニ県メガ崎市で流行った犬の流行病、ドッグ病の蔓延を阻止するため、市長令により犬は全部、ゴミ処理場の島(犬ヶ島)に捨てられることになる。コバヤシ市長の養子、アタリ少年は捨てられた飼い犬スポッツを探すために犬ヶ島に行くが遭難、そこで野良犬5犬組に助けられ・・・

GODZILLA」とか「ベイマックス」「パシフィック・リム/アップライジング」など「もう一つの日本」は今の流行りだが、舞台となるメガ崎市は外国映画にありがちな中華日本でもリトルトーキョー日本でもなく、全く斬新なセンスのレトロ未来日本。基本的に正しくて、ちょっと外している漢字表記が楽しい。

これに限らず監督のセンスで作り込まれた画面の情報量が半端でなく、DVDのモニター画面ではもったいない。ぜひ、劇場の大スクリーンで見たほうがいい。

もちろん、ストップモーションの技術もずば抜けていて、CGかと見間違えるのだが、随所に盛り込まれたアニメとの相乗効果でフルカラーのオサレなコミックを読んでいるかのようだ。
で、その一方で乱闘シーンになると日本のギャグマンガ的に丸い煙の中でドタバタとやるという手抜き(?)描写に大笑い。

犬たちをはじめ、アタリ少年、コバヤシ市長、アメリカ人留学生トレイシー、渡辺教授などなど偏見のステレオタイプでいて、微妙に外しているキャラクターも楽しい。(たぶん、計算づく)

ワタシが観たのは吹替版で犬は流暢な日本語を話すのだが、アタリ少年はたどたどしい日本語。オリジナル言語では犬は英語、人間は日本語を話すらしく、全員日本語を話すと混乱はなはだしい。

犬の会話が人間に通じているかどうかが判然としないのだが、この感覚、その昔「じゃりン子チエ」で猫の小鉄とジュニアの会話が人間に通じていたのかどうかよく分からなかったのに似ている。

和太鼓を中心にした音楽もヘンテコで魅力的。脱力感にあふれ、映画の雰囲気を高めてくれる。そこで「Tokyo Shoeshine Boy」が流れるかっ!

という訳でちょっとクセのある映画がお好きな方はぜひご覧いただきたいのです。






題名:犬ヶ島
原題:Isle of Dogs
監督:ウェス・アンダーソン
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