嬉しくて嬉しくて
涙が止まらない
今日は母と夫と私で
父のいるA病院へ荷物を届けに行きました。
洗濯物とお菓子とジュースとを持って。
担当の看護師さんがお休みなので
絶対に父には会えないと思っていたんですが
「会っていかれますか?」
と対応して下さった看護師さんが声をかけてくれました。
扉の向こう側に
真っ白な髪
色白で痩せた顔
何故扉の前に呼ばれたのか分からないような顔をして遠くを見つめている
父の横顔が見えました。
沢山手を振って
マスクを外して素顔を見せると
父の表情が変わりました
にこにこと笑う父
隣に居た母のマスクを私がひっぱって素顔を見せると
父は驚いたようにおどけて笑ってくれました。
泣きたい気持ちを抑えて
マスクの中で顔を真っ赤にしていた母
私も涙が出そうになって直ぐにマスクをつけて笑いながらこぼれる涙を拭きました。
以前の時より元気になっている
本当にそうかどうかは分からないけれど
『私や母を認識してくれた!!』
そう思えて安堵しました。
扉の向こうで
父が私に話しかけています。
聞こえにくい
聞こえにくいけど
『うん 、うん 』
と沢山頷いて話を聞きました。
「○△□はどうやった?
やっぱり、何にもないよりはなぁ.........
●▲■を持って帰ったら?
あ、桃があったなぁ。
ちょっと待ってて。
持ってくるから.........」
そう言って扉から離れる父。
それっきり
扉の前には現れませんでした。
扉の近くで寄り添ってくれていた看護師さんが向こうへ行った父を見て
「お父さんね、もうこちらには来られないかも。向こうでね(先程看護師さんへ渡した)お菓を食べてるみたいです。」
と教えてくれました。
母と私と夫は笑って
そして看護師さんに頭を下げて帰りました。
病院をでて
それから私は声をあげて泣いてしまいました。
会えて良かった。
嬉しかった。
妄想の中で生きているけれど
私たちの名前はでてこないかもしれないけど
今さっきの記憶はすぐなくなっちゃうかもしれないけれど
私たちが会いに来た瞬間を父は喜んでくれたんだ