読みたい本は、いっぱい積読状態ですが、図書館から借りていて、返却期限が近づいたものや、
次に予約がある本から読みます。
『臨床の砦』は、3話からなっています。
第1話の「青空」は、このブログに感想を書きました。
第2話 凍てつく時、第3話 砦
本日読み終わりました。
主人公は循環器内科の医師、敷島寛治。
他に出てくる医師の名前が、なんだか戦艦のようだなあと思っていましたが、
この信濃山病院は、まさに小さな砦。
未経験のコロナウィルス感染症に、果敢に立ち向かう医師や看護師、スタッフは、
やっぱり戦艦に乗っている乗務員たちのようです。
ちなみに、医師の名前は、三笠、春日、日進、敷島、音羽、龍田・・・
2021年1月、感染第3波のころ、感染者総数が5000人だと恐怖を感じている。
2022年の8月、第7波の今、自宅療養者が143万8000人・・・夏川さんも想像もできなかったかもしれません。
いつまで、どこまで感染者が増加するのか?
いつ、終息するのか?
2021年4月に出版されたこの「臨床の砦」は、
現役の医師であり、作家である夏川草介さんにしか、書けない。
この作品は、大事な記録として、残るのだろうという予感がします。
***第3話 P196から引用します****
ちょうど1年前、神奈川県の市中病院で国内初のコロナウィルス感染症の死者を出した病院があった。
治療法もまったく未知の時期に、その病院で必死にコロナ患者を治療し、救命した経過をまとめて
日本感染症学会いに寄稿された論文が、敷島の言う相模原論文である。(中略)
そうして、この壮絶な記録の最後は、医師とともに奮闘した、看護師を始めとする病院スタッフに対する謝辞で
締めくくられていた。世の中には日々、無数の学術論文が投稿されているが、特別な肩書も役職もない人々への
簡潔な謝辞で終わる論文というものは、そう目にするものではない。
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確かに、2020年4月ころ、緊急事態宣言が出されたり、未知なる脅威に対して、
日本中が、世界中が、恐怖を感じていた。
得体のしれないウィルスとの闘い。
医療従事者の方々の献身的な働きに、いまも、感謝するばかりです。
現場(臨床)の記録を、この作品で読ませていただけました。
白い蓮 (親愛なる教え子 杉浦譲治君からお借りしました)