昭和60年8月12日午後6時56分。
山の奥のそのまた山奥で、ひとつの航跡が消えた。
山の名は、御巣鷹山・・・地図にも載っていない山。
最後の音を聞いたという村人もいた。
この日から時間が止まってしまった人。
この日から別の人生が始まった人。
ヘリコプターが爆音をたててひっきりなしに空を飛び、
喪服の人を乗せた黒塗りが田舎の道を行き交った。
町全体が重苦しい悲しみに沈んだ夏。
あの日からもう34年が経った。
つい昨日のことのようにも思える。
しかし関係者の頭は白くまた薄くなり、時の経過を改めて感じる。
この夏のことは決して忘れまい。