夏の終わりに
夏の終わりに見る夢は
はるかな思い出の中の入道雲
遠い山並みは青くかすみ
落葉松の小径を独りさまよう
夏の終わりに聞く歌は
白樺とすすきの原をわたる風
なつかしい面影をたどり歩けば
古い詩の一節がよみがえる
さようなら 夏の日
坂道をあえぎ昇ったきのうの真昼
今日ひまわりの花は朽ちて
蝉の声も絶え
秋草の野に虫の音が洩れる
さようなら 夏の日
夜へと傾いていくもの憂い黄昏れに
逆光で見失った君を見つけられない
一つの季節が終わっただけなのに
心の谷間を風が吹き抜けていく
さようなら 夏の日
君にまたいつか会えるだろうか