泉を聴く

徹底的に、個性にこだわります。銘々の個が、普遍に至ることを信じて。

猛省を詩

2015-08-31 20:37:25 | 
あなたは 返品を出すのを忘れました
箱詰めし 伝票を貼り スキャンまでしたのに
上半期の締日だというのに
たあいもない よくあること?
ならばなぜ ぐっすり眠りに落ちたはずなのに
日の出前 目覚めなければならなかった?
頭の回路には 薄暗いバックヤードに放置された返品の山が
たまらなくなって あなたを揺り起した
俺たちを忘れんな! と
あたしたちを無視しないで! と
だから 猛省を詩

あなたは お店のシャッターに激突しそうになりました
自転車に空気を入れ 軽くなったペダルに浮かれ
自分の体重と速度の掛け算が生み出すエネルギーを忘れ
眼鏡が合わないのに 怠惰ゆえに新調しないまま
目を酷使し 疲れて頭もしびれ
優等生だったから大丈夫 という甘えもあって
ふんふんふん らんらららーと暗夜行路を滑走
危ない! 命を落とすところでした
だから 猛省を詩

思えば 人は
猛省の積み重ねの上に 立っていました
産まれたての赤ん坊は 自分がどこに行くか知らない
可能性が 一本の枝ならば
猛省は 枝にそって伸びる一本の影
影を見失ったとき その枝はもう折れて落ちている

だから 猛省を詩
猛省は 言葉でできている
言葉が日々 人を作っている

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