ネットでも話題になっている埼玉県議会での虐待禁止条例の改定案。
その内容は、小学校1~3年生の子どもだけの登下校、子どもだけで公園で遊ぶこと、子どもだけでおつかいに出かけること、子どもだけで留守番をすること。を禁止し、発見した場合は通報する義務もあるというもの。
両親が共働きで留守番していた場合も虐待になるのか?の問に、自民党埼玉県議団の田村氏は、「もちろん、そう考えています」と回答。「子どもを守るために、自分の家庭を見直していただいて」とコメント。
親にも子どもにも行動制限を強いるこの条例案…各家庭の事情などおかまいなしだ。
経済的事情などもあるなかで、親にだけその責任を押し付けるのは間違いだ。子どもたちの放課後支援(学童クラブなどの充実など)や子育てへの経済的な支援、長時間過密労働や低賃金の是正なども「政治」が「責任」をもって行うべきことだ。そういった政治の責任を放棄して、「虐待です」と答える埼玉県自民党議員団には、「政治の仕事をしろ!」と言いたい。
DVなどの問題もある。こういった場合、親元にいるのは危険な場合もあるし、条例を盾にDVを助長させる可能性もある。
こうした自民党の考え方の根底にあるのは、戦前に行われていた「教育勅語」や日本会議、統一教会などの教えだ。個人ではなく家庭という集団を大切にしなさいと。親(家長)の言うことを聞きなさい。と。
「家庭を大切に」というのは一見、いいように見えて危険だ。当たり前だが、子どもにも人権がある。しかしその当たり前のことをわかっていないのが自民党の面々のようだ。
さて、この条例案は何も埼玉だけの問題ではない。この考えは自民党が共有している考えなので、他の都道府県でも広がっていく可能性さえある。埼玉県議会では、委員会での採決は強行されたようだが、本会議での採決は13日に行われる予定だ。委員会では、自民党と公明党が賛成している。自民党埼玉県県議団だけではなく、公明党埼玉県議団、そして自民・公明党の国会議員にも「反対」の意見を送ろう。
(*この条例案は、知事(県)提案の議案ではありません。自民党埼玉県議団提案です)