実に5ヶ月ぶりの山行である。
思えば正月初めにピッケル・アイゼンでの雪山デビューを果たした直後に、身体のあちこちが同時多発的に悲鳴を上げた。さあこれから雪の世界を存分に楽しむぞという時に、今まで騙し騙し様子を見ながら付き合ってきたパーツが一気にバランスを崩してしまった。
まだ完治したわけではないが、歩くだけなら行けそうだという確信がようやく持てた。
無事に気持ちよく歩けた、日帰りの山行記録をしたためることにする。
登らせてくれた山に感謝である。
2008・6・7(土) 八ヶ岳ラウンドコース
雲の多い天気であるのは想定内。万一、身体がギブアップしたらそこで山行を中止して引き返すのもありと覚悟を決めていざ出発。
未明の中央道を走るのも久しぶりだ。甲府盆地はうっすら朧だ。しかし、何と幸運なことに周辺は雲に隠れているのに八ヶ岳だけは、くっきり全容を見せている。
黒いシルエットではあったが、晴天の八ヶ岳を登る自分の姿を想像し、気持ちは高揚する。
登山靴を履き、靴紐をきりっと結ぶ。いつになく嬉しい!
足が喜んでいるようだ。登山靴の靴底を通して感じる地面の感触。ひんやりした早朝の空気。思いっきり深呼吸をして歩き始める。
登山口付近は、ようやく新緑の頃。まだ十分な陽光は射さないが、フィトンチッドはたっぷりである。喧しいくらいの野鳥のさえずりに迎えられ、山の気を全身に感じながらゆっくり歩を進める。
見慣れた美濃戸周辺の景色が実に新鮮に目に映る。
美濃戸山荘の前で柳川南沢沿いに行者小屋へ向かうルートを取る。
南沢はようやく芽吹きの頃。清涼なせせらぎの瀬音と、コマドリなどの美しいさえずりに包まれて軽快に進む。
1/fの癒しの揺るぎだ。
途中、昨年の通行止めの名残を感じさせるやや荒れた部分があり、アスレチック気味に通過するポイントもあるが、難なくクリア。ウォーミングアップにはちょうど良い。
程なく行者小屋手前の広い河原に出る。朝日が眩しい。
山は、黒いシルエットでしか捉えられない。
正面に大同心・小同心が、くっきりと見える。
八ヶ岳に来たなと実感する瞬間である。
赤テに導かれ、コースは一旦樹林の中に入る。少しばかりの残雪であった。
再び沢に出る。ヘリポートの辺りから、ぐるりと見渡す。
正面に赤岳、右の阿弥陀、左に横岳を捉える。
赤岳アップ。
行者小屋に到着。
霜で、テーブルもベンチも真っ白であった。
阿弥陀~赤岳~横岳と続く稜線が、大障壁のようにぐるっと取り囲み、迫力がある。
南沢の方向には、
大キレットを挟んで穂高~槍がくっきりと眺められた。
行者小屋までは、助走である。
ここから赤岳に向けて、一気にGOである!
テン場を抜け、文三郎道に向かう。
登山道に入るや否や雪道となる。
軽アイゼンは携帯していたが、なくても対応できた。
真っ白い雪の上になにやら茶色いものが無数にある。
至る所カモシカのチョコボールだらけ!
<私ではありません。野生のカモシカさんですよ!>
どう避けても踏まずには前に進めないくらいの量でした!
この付近一帯はどうやらカモシカの公衆WCのようである。
さらに、
その雪の上にあるものを発見!
美しい八ヶ岳レポに掲載をどうしようか迷いましたが、ヤマノボラーである以上皆さん多かれ少なかれ目にしますよね。この類。
こういうのもひっくるめて、自然ですから。
まあ、今回見たものはかなり衝撃でしたけど・・・。
↑ この特徴的な足型を見れば 想像つきますね。
死骸。しかも背骨と腰と後ろ脚だけ?
大きさからして、若いカモシカです。
肋骨や頭部は辺りを探してもありません。完全に白骨化しているわけでもなく?
引きちぎられたような痕跡。肉食獣はいないはずだし・・・?
天然記念物のカモシカを密猟?
どうにもこうにも腑に落ちない屍です。1週間後にもここを通過しましたが、まだありました。
今後の山行で、ここを通る度にきっと思い出すなぁ。
さて、気を取り直して急登をこなす。
文三郎道のジグザグの急登が始まると雪は無くなる。
上空には爽やかな青空が広がった。
右手に阿弥陀岳を眺めながら、ぐんぐん高度を稼ぐ。
ふりかえると、後続の登山者が登ってくる姿を捉える。
行者小屋が小さく見える。
バックには、北アルプスがずらり。
オールスターキャストで端から端まで白く輝いて並んでいる!
小さな中岳も迫って見えてくる。
硫黄岳の向うに蓼科山も見えてくる。
高度を上げると、阿弥陀と中岳が重なって見えてくる。
蓼科、天狗、硫黄、横岳など全てが見渡せる!
回り込むように高度を上げる。阿弥陀、中岳の重なり具合も変化する。
中岳からの縦走路をあわせる分岐に着く。
いい眺めだ!
阿弥陀の左に権現。
その後方には、雪をまとった南アルプスの北岳・甲斐駒・仙丈、鳳凰三山が美しい。
南アルプスの右には中央アルプスも勢ぞろいだ。
中央アルプスがずらり。更に、御嶽、乗鞍~北アの残雪を抱いた峰々が遠望できる。
中岳~阿弥陀に真っ直ぐ延びる登山道。
硫黄、横岳方面を望む。
赤岳に向かって登る。朝日の光にルンゼ状の鎖場上部が霞む。
右手後方、阿弥陀南稜のルートがくっきり見える。
あっという間に山頂直下の稜線に飛び出す。
富士山だ! 雲海に霊峰富士が浮かぶ。
権現と南アルプスも迫力ある眺めだ。
赤岳南峰山頂で パチリ! 大好きな青空が歓迎してくれた!
千晴も山頂からのぐるりの展望を満喫した。
以下、山頂からのパノラマを8枚お楽しみください。
縦走路の横岳方面、頂上小屋から時計と反対周りに360度です。
硫黄・横岳方面、頂上小屋
硫黄岳の置くに天狗、蓼科山と続く。
北アルプスも端から端までくっきりだ!
山頂からは中岳、阿弥陀が一直線の眺め。
阿弥陀南稜とそのこうに中央アルプス、
さらにその左にキレット小屋を経て権現に続く縦走路と権現・編笠山。
その後ろには迫力の南アルプスのジャイアントが並ぶ。
やや雲が多く南アルプスの稜線部だけしか見えないが、これはこれで味がある。
ほぼ同じ角度の写真であるが、少し時間が経過し、陽光量も増すと若干印象が変わって見える。
WSWの風が時おり強く吹く。このときばかりはTシャツだけではさすがに肌寒くウエアを羽織る。
山頂には僅か4~5人。静かに展望を楽しめた。この後の行動予定がなければ、1日中でも眺めていたいくらいだ。
ほぼ半年ぶりに身体に感じる稜線の風は実に心地よかった。
今までに何回も八ヶ岳を訪れ、その度に想い出ができる。過去のその度ごとの山行が脳裡に蘇ってくる。
目の前の展望に あの日あの時のあの場所での数々の感動が重なった。
八ヶ岳山行とツクモフェア(本編その2)へつづく。
☆愛しのツクモグサと今年も逢えました☆
八ヶ岳山行とツクモフェア 6/7DJ版・・・ここから戻れます。
「みんなの夏山」、しゃべり場は こちらからどうぞ!
心により一層の力が湧いてきますよね。
山にいけ無かった山男にとって最高の天気でよかったですね。またバッタリできることを期待していますよ。私も月末には八ヶ岳を目指そうと思っております。
待っておりました。(笑)
私は山は好きでも主に山菜採りでした。(笑)
ですからそばにいても赤岳には登ったことがありません。
写真が沢山あって自分が登っているような感覚で見ることができました。詳細記事ありがとうございます。
そんなに遠くないうちに私も赤岳に行きたくなりました。
それから私はFoXfireのカメラザック(黒とオレンジ色)を背負って山にいきます。ベージュの帽子かオレンジのバンダナ。
よろしくお願いいたします。
復活していきなり、ラウンド八ヶ岳ですか?
それも日帰り?
カモシカさんがゼンカイになったら・・・恐ろしいほどです(笑)
ブログ開設2周年おめでとうございます。
カモシカさんが機械オンチだったなんて信じられません。
きれいな写真が数え切れない数の充実のブログ。いつも楽しませていただいてます♪
私が八ツを訪れた一週間前は南アルプスもクッキリだったのですね~
カモシカさんの半年ぶり復活を八ヶ岳のお山も祝福しているかのようです。
これからも楽しみにしていますよ(^_^)/~
どうぞよろしくです!!
山も天気も祝福してくれたようです。
えいじさんも割りと狙うところが似ているので、そのうちバッタリデすね。
次の土日は若干天気回復の予報が出てます。
これからの夏山シーズンが気楽で一番楽しいですよ。
山菜は詳しく知りませんので、レクチャーお願いします。
基本スタイル、マークしておきます(笑
久しぶりなので、初めての山は怖いし、展望のいいところがいいし、花も楽しみたいし、日帰り圏内でなどとの思いから、八ヶ岳浮上でした。
どこかご一緒できる機会があるといいですね。
めちゃくちゃ機械オンチです!
写真はコンデジの数うちゃあたるですから(笑
いいカメラで撮ったたんべぇさんのお花には、かないませんよ。
クリア度は、7日の方がよかったですね。
お陰様で、お山もお天気で祝福してくれたようです。
ホントにカモシカさんは、山に好かれてるな~と思わずにはいられません。
そして、レポから溢れ出てくる、山への喜びに心が打たれますね。
山にまた訪れる事ができた事に、飾った言葉が用意できません。
単純にこれですが。
おめでとうございます。
やっぱり山はいいな!
単純だけど、私もこうかな。