カモシカさんの山行記録・旅日記etc.

山は心のふるさと。登山(アルプス~低山まで)・ハイキング・小旅行の気ままな記録です。

槍ヶ岳<槍穂縦走1日目>

2007-08-04 | 山行記録

2007・7・31 上高地~槍沢~槍ヶ岳

日本近代登山の父、ウェストンは槍ヶ岳を「日本のマッターホルン」と称して 北アルプスのどこから見てもその姿を見ることができる。尖った槍の先端の如き鋭い頂を持つ名峰である。北アの全ての道は槍に通じる、といわれるようにその頂を中心に東西南北に広がる4つの尾根を持っている。東鎌尾根、西鎌尾根、北鎌尾根、そして南岳から穂高連峰に続く稜線という展望に優れた縦走路が続く。
私は、表銀座から東鎌尾根での縦走が槍ヶ岳との最初の出会いであった。以来、すっかり槍穂の虜である。氷河地形を残す渓谷は高山植物の宝庫で、夏にはシナノキンバイ・ハクサンイチゲ・クルマユリ等々の花々が咲き乱れ、秋にはナナカマド・ダケカンバを中心とした紅・黄葉が山を美しく彩る。

今年もまた槍穂と大キレットの展望を楽しむ&馬の背~ジャンダルム~天狗・間ノ岳~西穂間のスリリングな岩稜歩きを楽しむがテーマであったが、台風5号の影響でコース中途での打ち切りで半分までの達成であった。残りの部分は、後日改めて歩こうと思う。先ずは3日間の記録を記すことにする。

 

河童橋からの穂高連峰を望む。好天が期待できる清々しい朝だ。

 

小梨平を抜け、小道を進むと梓川沿いに左手に明神岳が大きくその山容を見せる。いい感じの青空ではないか!

 

約1時間半程で徳沢に到着。ハルニレに囲まれた気持ちよいキャンプ場だが今日はテントも極めて少なく閑としていた。シジュウカラのさえずりをBGMにコマドリの高らかなさえずりが深山に冴え渡る。

 

徳沢から更に1時間で横尾(1615m)に到着。ここは涸沢、穂高方面・槍ヶ岳方面・蝶ヶ岳方面への分岐点となる。上高地からここまで11キロ、さらに槍ヶ岳へは11キロの道のりである。快晴ブルースカイに映える前穂東壁。

 

槍への登山道を梓川の清流沿いに進む。雪解けのせせらぎの音が心地よい。今年は例年より水量が多い。ほどなく「槍見河原」のポイントだ。多くの場合ここから槍を望める日は少なく、多くの登山者をがっかりさせる場所だが、今日は100点満点の眺望だ!今はこんなに小さくしか見えない槍だが、コースを進むとその姿が変化して迫力を持って迫ってくるのだ。

 

一の俣、二の俣を過ぎ、標高1820mの槍沢ロッジに到着。ヘリポートの脇には望遠鏡がセットされていて自由に槍の穂先の様子を見ることができる。

 

30分ほどで石垣の積んである非難小屋跡(以前は槍沢小屋だったとか)
小さなテン場になっている。
大ピーカンに余計胸が高鳴る。だが、この先の登りに絞られる。

 

標高2100mの大曲。東鎌尾根に通じる水俣乗越の分岐。

 

大曲から槍沢下部を振り返る。最奥は蝶ヶ岳の稜線。

 

大曲から槍沢上部を仰ぎ見る。昨夏は白馬の大雪渓と見間違うほどの残雪でパックリ口を開いたクレバスもあり雪上を登ったが、今年は完璧に夏道を歩かされる。

 

上高地からここまでの道筋にも花は何種類も咲いていたが、ここに来てお花畑の始まりだ。先ずはニッコウキスゲを中心とした群落で幕開けだ。

 

シナノキンバイやミヤマキンポウゲの黄色の花が最盛期だ。新緑と残雪と青空と花。
そして、アルプスの山なみ。この辺り登りとしては相当堪えるきつい場所だが、この
風景が心を癒す。(写真では花ひとつですが、いっぱい咲いてます!)

 

氷河公園<紅葉の槍を映す氷河池がある>へ通じる天狗原への分岐。

  

斜面も高山植物のはなのオンパレード。ハクサンフロ、コバイケイソウ、ヨツバシオガマ、イワツメグサ、ミヤマカラマツなどいろいろあるがどうしても黄色のシナノキンバイ・ミヤマキンバイが目を引く。

 

回り込んで標高2500mを過ぎると、一気に切っ先を天に向けた槍がその雄姿を見せる!

 

槍沢をはじめ稜線はガスがかかることがほとんどなので、こんな雲ひとつない真っ青な空をバックに槍の穂先をクリアに拝めるのは稀有のことである。

 

坊主岩屋下の分岐。ここまで上がると一段と槍が迫力を持って迫って見える。
多くの登山者がダイレクトに山頂を目指すが、私はここでいつも東鎌尾根へと登る。

 

青空に向かってお花畑が広がる。

 

ミヤマクロユリも咲いている。

 

ハクサンイチゲの白とシナノキンバイの黄色がお花畑を大きく二分する。

 

お花畑から目を転じれば槍沢の渓谷を挟んで早くも前穂が望めた。心ウキウキである。

 

加えて、槍から先の大喰岳・中岳・南岳~穂高までの稜線が真横から見渡せる。

 

ヒュッテ大槍の脇に飛び出す。ここからは東鎌尾根を辿り初日のうちに1回山頂を踏む。

 

稜線を進む。槍がだんだん大きく見えてくる。振り返れば、赤い屋根のヒュッテ大槍の後方に常念・蝶が綺麗にその山容を見せている。

 

常念岳アップ。

 

蝶ヶ岳の右には前穂北尾根がくっきりと見える。

 

正面に槍の穂先を見て進む。深田久弥は「何処から見てもその鋭い三角錐は変わることがない。それは悲しいまでにひとり天をさしている」と記している。大好きなフレーズだ。

 

いよいよ槍が迫り来る。

 

その右には北鎌尾根の稜線が延び、この高さまで登ると後方に裏銀座の山々がはっきり見て取れる。

 

辿ってきた東鎌尾根を振り返る。常念山脈が美しく続く。

 

槍の肩近くまで登れば、明日歩く穂高に連なる稜線が立体的に見えてくる。

 

槍の穂先への登りだ。かつてよりピンの数も増え、細い鉄梯子が頑丈な鉄梯子に付け替えられ随分楽をして登れるようになった。それでも渋滞を招くところだ。
この登りは岩登りの初級、いわば幼稚園。大キレットが中学生。ジャンダルムのルートが高校生と例えると分かりやすいか。ここで少しでも不安を感じる人はもう少し訓練を重ねてから大キレット以上に進むことを奨める。

 

ほぼ垂直に見える鉄梯子2本を登りきれば、3180mの槍ヶ岳のテッペンだ!

 

大きな大きな槍ヶ岳山荘が小さく見える。人が少ないので、穂先へ10分弱で登れた。

 

大キレットを経由して穂高連峰へと連なる稜線。私にとっては見慣れた山岳風景だが何度見てもワクワクする。右に、焼岳。その奥に乗鞍、更に奥に御岳まで見える。

 

穂高連峰のアップ。ロバの耳、ジャンダルムもはっきり見える。期待感に胸が膨らむ。

 

本邦第5位、3180mの槍ヶ岳山頂にて。

 

憧れの北鎌尾根に下り、登り返してみる。

槍ヶ岳山頂からの360度の大パノラマは、翌日朝の山頂写真とダブるのでそちらに譲ることとします。ヒュッテ大槍まで戻り、明朝に備える。(星空を眺めて1日目終了)

 

 


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
食う寝るさんへ (カモシカ)
2007-08-06 23:52:03
足は浮いてませんよ、テンコーじゃないですから!
祠の後ろにつま先を乗せられるちょうどいい石があるんです。

快晴率非常に高いでしょ!ツクモフェア同様、またとない好天ゲットです。
写真がいいのは、山岳風景の美しさと好天に助けられています。
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ぜいぜいさんへ (カモシカ)
2007-08-06 23:46:03
自然に体が動いちゃうんですよー!

そうか、写真撮影しなければもっと早く行けるってことですね!
そうなんです、ピークのみならずその行程をひっくるめて感動の連続なのです。
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Unknown (食う寝るさんだ-す)
2007-08-06 23:04:20
あの~・・・山頂の写真足が空に浮いて見えるのですが、気のせい?
しかし、いい天気!
その2も拝見しましたが、カモシカさんの写真は毎度キレイですね~。
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Unknown (ぜいぜい)
2007-08-06 22:58:12
また山頂でそんなあぶないことして~
それにしても、山頂までの道程もとってもすてきですね。こんなにたくさん写真を撮ってても、1日目に山頂まで行ってしまうなんて恐るべしですよ。カモシカさん!
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たんべぇさんへ (カモシカ)
2007-08-05 21:56:44
この時期にしてはまたとない天気でしょう!
大当たり出しました!
快晴率抜群でしょ、ツクモフェアで運は使い切ってませんでした。(笑

槍穂の縦走は夏の恒例です。槍から大キレット、ジャンダルム・・・。100名山の数を延ばすことはあまり考えてないのでお気に入りをぐるぐるばっかです。

天気がいいと技術はなくてもそれなりの写真になりますって。 この後も続きがありますよ。
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じもら~さんへ (カモシカ)
2007-08-05 21:47:05
じもら~さんこそ中央アルプスの快晴でよかったではないですか。私にとってご無沙汰の山域なので今年の秋こそ空木の天気を当てたいです。
写真は天気と山の姿が素晴らしいのですよ。
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いいな! (たんべぇ)
2007-08-05 19:24:04
なになに…この天気、ずる~い!!
素晴らしい景色ですね、うらやまし
このコース毎年恒例なんですか?
私も30年前に槍沢から大キレットを越えたことあるけど、今はムリかも…こわい!?

写真きれいですね。
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快晴 (じもら~)
2007-08-05 08:29:39
素晴らしい、天気に恵まれましたね(^ω^)

木曽駒からも、槍の穂先見えてましたから
大パノラマの日でしたね。
カモシカさんポーズで喜びを表現してますね(^ω^)
素晴らしい写真の数々ありがとうございました。
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