2007・3・22~24 春のぶらり旅
「青春18きっぷ」を利用しての安上がり、オリジナルの旅がカモシカ流である。
ぶらり旅とは言ってもおおよその目安をもって臨む。やはりその背骨になるのは山である。1日目は大和三山をメインに明日香村を巡ってみよう。2日目は京都トレイル半日とあとは状況に応じてプランニングしよう。(自転車で広域を、あるいは徒歩で狭域を、その他) 3日目は帰途ついでに伊吹山<日本100名山>。・・・・・。。。
そんなイメージを持って さあ、旅の始まりである。
第1日目(3/22)大和三山と明日香村探訪の旅
深夜1時31分、「ムーンライトながら」から旅は始まる。
京都から近鉄は使わずJR線を利用したので「畝傍」着が10:15とやや遅めであった。YHで自転車を借りて周ることにする。
万葉集や古事記をベースに今日はしばし万葉人・明日香人になって大和の風になって歩こう。
“大和はくにのまほろば たたなづく青がき 山ごもれる大和しうるわし”
古事記 倭建命
昨年は山の辺の道を歩いたが、学生時代よりずっと気になっていた大和三山を眺めた。山とは言うものの実質は丘みたいなものだから登山の対象にはならないが、古よりのいわれのある山であるから富士山と同じく1度は登っておきたいものである。
大和三山とは、畝傍山・耳成山・香具山(香久山)の3つを指す。飛鳥のどこからでも山容を眺められ、眺める場所によって趣が異なるため、古くから人々に愛でられ、多くの歌に詠まれている。
さて、その耳成山からのスタートであった。
耳成公園脇の登山口から登る。地元の人のウォーキングコースといった場所である。
登り始めてほどなく山口神社がある。(左) 山頂は展望はない。(右)
神社から山頂までやたらと猫が多い。出会ったその数は半端ではなかった。「ネコ山」の別名を付けたいくらいであった。(古の由来に失礼か?)
耳成山公園より望む「耳成山」。大和三山の中では最も低いが、平野に聳え立つ独立峰の為、その端正な山容が一段と高く感じられる。古くは、耳梨山あるいは天神山と呼ばれていたという。
麓は山を取り巻くように住宅が建ち並んでいる。ある意味では、三山の中で最も俗化が進んでいる山である。
ここ公園は桜の名所でもあるが、蕾が膨らみ始めたところであった。その代わりにユキヤナギの花が満開であった。
約2キロ南に進むと「藤原宮跡」。持統、文武、元明天皇の三代にわたる宮跡。大和三山のほぼ中央に649年に持統天皇によって建設された。わが国初の計画都市の跡地で中国の都にならって街路が碁盤の目のように区割りされていた。
今は、発掘されたものは奈良文化財研究所の資料室にあり広大な宮跡の周囲に大和三山を望む田園風景が広がる。この日はこの上ない晴れでヒバリが賑やかに天宙で啼いていた。
朱雀門跡より。耳成山、その前の森が大極殿。一直線にだだっ広い朱雀大路が延びる。
このど真ん中を当時の宮廷人になり、悠然と歩いてみた。大極殿も、その周りもぜ~んぶ歩きつくしてみた。大概の観光客は入り口でチラッと見てすぐ後にするがもったいない。京都のように現物が残ってないのが明日香の地である。イメージ力である。想像を膨らませて思いを馳せてみるとあっという間に時間が過ぎている。
畝傍山
耳成山
天の香具山(香久山)
香具山は 畝傍ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より
かくにあるらし 古昔<いにしえ>も
然<しか>にあれこそ うつせみも 嬬<つま>をあらそふらしき 中大兄皇子
有名な三山妻争いの歌である。(巻一の十三)
大和三山の間には、古い伝承に見られるような男女の間のいりこみがあって、恋の三角関係が神代の頃にもあったらしいことに思いを馳せるとさらに面白い。
実は、中大兄皇子をめぐる実際の恋愛話が根底にあるのだが・・・。。。
美ヶ原を思わせる広々とした空を眺めていたら、長旅の疲れからかしばしの昼寝をしてしまう。
畝傍山/ 耳成山 / 香具山
足元には素朴な春の花が・・・・
藤原宮と大和三山の位置関係
次は、「香具山」に登る。
多武峰<とうのみね>北西の尾根の末端に位置するコブが侵食されて独立した山になったといわれている。平べったくて山容は分かりにくいが、古代は国見の地であったとされる。三山の中で「天の」と冠されるのは香具山だけであるから特別な意味をもった山であったことは容易に想像がつく。
香具山登山口
これ以外にも香具山を詠んだ歌は「万葉集」の中にもいくつかある。
春過ぎて 夏来たるらし 白妙の 衣乾したり 天の香久山 持統天皇巻1-28
久方の天の香具山 このゆふべ 霞たなびく春立つらしも 柿本人麻呂巻10-1812
香具山山頂より
樹間から畝傍山、耳成山、写真では切れているが二上山が確認できた。
かつては展望の地であったようで、手書きの展望図があった。
山頂には「國常立神社」があり、(写真右)中がツインでふたつの社がある面白い作りである。
山頂を後に下ると小さな「イザナミ神社」がある。
さらに集落の間を下ると「天岩戸神社」に到着である。
「天岩戸神社」は、須佐之男命<スサノオノミコト>の乱暴を嫌い、天照大神が天岩戸に隠れたため、国中が暗闇となった。(たぶん皆既日食の現象が生んだ神話と考えられる)そこで天宇受売命<アメノウズメノミコト>が岩戸の前でストリップダンスを踊り、興味津々でチラ見した天照大神を誘い出したというユーモラスな伝説を伝える。
因みに、「古事記」は神話であるが、読んでみると意外と面白い。岩波文庫がお奨めである。“国づくり”のくだりなどエェッ!!というリアルな記述もあるので読んだことのない方は是非この部分だけでも読んでみてください。へぇ~、「古事記」って面白いじゃん。ということ請け合いです。きっと続きも読みたくなって古代史マニアになるかも?
第1日目はここでまだ半分である。この後は
「大和三山+明日香 ぶらり旅(1)ーB」に続く。乞うご期待!<意外な目の保養が・・・。>
綺麗な写真を見るにはPCでないとダメなので
さっきカオルさんのところでも・・・
またしても・・・
お天気が良くて景色が綺麗ですね
ユキヤナギの花好きです
続き楽しみにしています
ユキヤナギお好きですか。それはよかった。奈良ではどこも見頃でした。
続きが完結するのはまだ先になりそうです。気長にご覧ください。
古代の人は一体どうとらえていたものかは謎のままです。
この石は正面から見たところですが、亀さんが笑っているように見えませんか?
「亀石」といい、明日香村のいわばアイドルです!