弟子屈町「道の駅 摩周温泉」には、足湯がある。
ここで体を温めて、お風呂代わりにしようと考えた。
(足湯の様子を撮っていない、というのが、私のダメさ加減なんだよなぁ・・・悲)
もう暗くなりかけた夕方、観光客の姿はなくタオルを片手に足湯コーナーに行くと、お湯の出口近くで一人のおじさんが足を浸していた。
遠慮して少し離れて座って足を入れる。
「余計なお世話かもしれないけど、こっちの方が温かいし、綺麗だよ。」
せっかく声をかけてくれたので、近づいて向かい側に座った。
「先にこんなおっさんが居たら、離れて座るよね?ははは。」
気さくな感じのおじさんだ。
「邪魔しちゃ悪いと思って、遠慮しちゃうんですよ。」
「どっから来たの?」
「旭川です。」
「地元の人かぁ。」
「地元・・・、えっと、どちらから?」
「奈良だよ!」
「奈良?!どれくらい、居るんですか?」
「ん~・・・、二か月くらいかな?ここを拠点にね!」
「二か月・・・いいですねぇ!」
「いいか?家に居ても、同じだからねぇ。ははは。」
リタイヤして、悠々自適なのか・・・?
細かいことを聞くのは失礼と思い、深掘りしない。
「連休終わりだけど、大丈夫なの?」って、向こうから聞いてきた。
「今失業中で、来月から仕事なので、今のうちに旅行を・・・。」
「え?仕事はコロナのせい?」
「そういうわけじゃなく、いろいろと・・・・。」
「そっか、そっか、ごめん、ごめん。」
他人の私生活は詮索しないように配慮する人、のようだ。
「いつまで居るんですか?」と、今度は深掘り。
「そうだなぁ・・・、紅葉を見てから帰ろうかな、と思って・・・。どこかいい所知ってる?登山はダメだよ。」
どこがいい、と聞かれても、私はそんなに名所は知らない。
層雲峡とか、ロープウェイで行く銀泉台と旭岳、滝ノ上の渓谷とか、誰でも言えそうな場所を口にした。
「いろいろな人に聞いたら、オンネトーを勧められたよ。行ってみたら、紅葉してなくても良かったよ。ただボーっと見てるだけで、何時間でも・・・。」
なんだ・・・、もう良い場所知ってるじゃん!
「オンネトーは行ったことがないんです。」
「ぜひ寄って帰りなよ!いい所だったよ!」
内地の人に、北海道の景勝地を勧められ、複雑な心境。
「今回は摩周湖の雲海を見たかったんですけど、今朝はダメ。明日も挑戦しようと思って・・・。」
「あれはねぇ、運だからなぁ・・・。上で泊まってもいいんだけど、寒くてね。」
「私は寒くてもいいんですけど、上がっちゃうと、おトイレが心配。」
「トイレなら第1駐車場にあるよ。」
「でも、有料駐車場だから夜間は閉鎖してるんじゃ・・・。」
「いや、空いてるらしいよ。管理の人が居なくなったら、自由に出入りできるって。車中泊仲間が言ってた。」
「へ~、そうなんですね。」
そんな会話をしながら、今夜の行動を思案していた。
第1のトイレを使えるというのは、意外な好情報だ!
足を浸けているだけで体中がポカポカして、マスクが苦しくなるほどだ。
お互いに道中の安全を気遣って、おじさんと別れの挨拶をした。
車に向かいながら空を見上げると、星が一つ、二つ、と見えている。
「いいかもしれない・・・。」
近くのコンビニで飲み物やパンを買い込んでから、夕食は弟子屈ラーメンの本店に入った。
札幌や千歳空港に支店があり、結構有名らしい・・・知らなかった!
醤油ラーメンを頼むと、黄色く太いちぢれ麺に少ししょっぱいと思うくらいの濃厚なスープ。
私の中の「これぞ北海道のラーメン」を、久しぶりに食べた気がした。
旭川の「〇頭火」なんか、あれは私的に北海道ラーメンじゃないのだ!
満腹で満足した後、道の駅に戻り歯磨きして顔を洗って、車中の寝床を整えた。
夜7時30分。
今から摩周湖に行き、一晩中上で過ごすのは辛い気がする。
なので今から12時頃まで寝て、そして摩周湖に上がるのだ!
そうすれば、星景と朝景を両方狙える!
第1のトイレが使えるなら、長時間の滞在も安心だ。
「よし、寝るぞ!」
山の上でなければ、寒さはそれほどでもない。
けれど、何故か1時間ごとに目が覚めて、あまり熟睡はできなかった。
0時にアラームをセットしたけれど、23時30分頃に目が覚めて、ごそごそ準備をして摩周岳に向かう。
弟子屈町側からのアクセスは、川湯温泉側よりも道の勾配が緩やかで走り安い。
第1駐車場に着くと、出入り口は塞がれておらず、本当に入ることが出来た。
トイレも使えるし、さすが有料だけあって綺麗。
時間外に入るのはルール違反なのか?と心配しながらも、硫黄山で共通の駐車料金は払っているので許して欲しい。
そこから更に進み第3展望台の駐車場に着くと、なんと、白いボックスカーが停まっていた!
「夜景狙いのカメラマンか?」
運転席に人が乗っているのが見えたので少しびびるけれど、勇気を出して展望台に上がった。
昨日同様、防寒は完璧だ!
真夜中1時。遠い町の灯りは、どこだろう?
この暗闇の中でも、長時間露光なら湖を写せるだろうか?
けれど、良~く目をこらすと空には雲が漂っているようだ。
雲の流れが気になって、約20分でシャッターを下ろした。
湖は暗く、空のアングルも中途半端だ。
「仕方ない、空をメインにしよう。」
カメラをもう少し上に向けて、今度は30分の露光に挑戦してみた。
暗闇で待っている時の切なさ。
もう一台カメラがあれば、もっと星空が撮れるのに・・・
待っている間、足踏みしたりスマホを見たりしていたら、ヒソヒソと人の話し声が聞こえてきた。
「え?なに?」
背筋がゾワリとしたけれど、良~く見ると、展望台の別の位置に人が来ているようだ。
おそらく、さっきの白いワゴンの人・・・、二人づれだったらしい。
第3展望台は、道路から階段を登って左右に道が分かれて、両側に見晴らし台がある。
私は左側、彼らは右側に陣取っている、という構図。
暗闇で一人で居るのは、怖い。
でも、他に人が居るというのも、不気味に怖いものだ。
やっと30分経って、シャッターを下ろした頃、お腹がもやもや・・・トイレに行きたくなってきた。
露光30分の後は、データ記録にも30分かかる。
その間に第1展望台に下りて用を足せば丁度いい♪
鹿の出現に気を付けながら坂道を下り、トイレ休憩してから再び第3の駐車場へ・・・。
「お!赤ランプ消えてる!記録終わったね!どんな感じに映ったかな?・・・、え?」
カメラの液晶画面には・・・バッテリー交換の文字が・・・
「そ、そ、そんな~~~~!!!」
保存画像を見ると、写真は残っていなかった・・・データ移行の前に電池切れ。。。
電池残量を確認せずに長時間露光をしてしまったのだ。
いや・・・、確認したつもりで、まだ大丈夫だと勘違いをしたのだ。
確かに、最近、電池の持ちが悪くなっている。
それにしても、長時間露光を連続するのだから、念のため交換しておくべきだった!
え~ん!泣く!!本当に涙が出た!!!夜の貴重な1時間をどうしてくれる!!!!!
全て自分が悪いのだ。泣いたって、どうしようもない。
電池の予備は1個。
これを切らすと、後の撮影が出来なくなる。
車のシガーソケットから充電する器具はあるけれど、エンジンを点けっぱなしにしておくのも環境に悪いし、この一つの電池を大切にしよう。
ブルアワーの星景の後、日の出までカメラは休止。
5時近くなると人が増え始め、昨日の横浜の女性も登ってきた。
再会の挨拶をした。
宿の人に手袋を借りた、と言って、昨日より暖かそうな格好をしていた。
昨日よりは晴れている。
そして、昨日より風がかなり強い。
今日も雲海は現れない。
はるばる横浜から来た彼女が、気の毒だ。
私は地続きの北海道に居るのだから、再挑戦の障害は低い。
「また来い、ってことかな?」と、横浜の女性がつぶやいた。
「うん、また来てください!」彼女と自分に向かって、力強く言った。
ここで体を温めて、お風呂代わりにしようと考えた。
(足湯の様子を撮っていない、というのが、私のダメさ加減なんだよなぁ・・・悲)
もう暗くなりかけた夕方、観光客の姿はなくタオルを片手に足湯コーナーに行くと、お湯の出口近くで一人のおじさんが足を浸していた。
遠慮して少し離れて座って足を入れる。
「余計なお世話かもしれないけど、こっちの方が温かいし、綺麗だよ。」
せっかく声をかけてくれたので、近づいて向かい側に座った。
「先にこんなおっさんが居たら、離れて座るよね?ははは。」
気さくな感じのおじさんだ。
「邪魔しちゃ悪いと思って、遠慮しちゃうんですよ。」
「どっから来たの?」
「旭川です。」
「地元の人かぁ。」
「地元・・・、えっと、どちらから?」
「奈良だよ!」
「奈良?!どれくらい、居るんですか?」
「ん~・・・、二か月くらいかな?ここを拠点にね!」
「二か月・・・いいですねぇ!」
「いいか?家に居ても、同じだからねぇ。ははは。」
リタイヤして、悠々自適なのか・・・?
細かいことを聞くのは失礼と思い、深掘りしない。
「連休終わりだけど、大丈夫なの?」って、向こうから聞いてきた。
「今失業中で、来月から仕事なので、今のうちに旅行を・・・。」
「え?仕事はコロナのせい?」
「そういうわけじゃなく、いろいろと・・・・。」
「そっか、そっか、ごめん、ごめん。」
他人の私生活は詮索しないように配慮する人、のようだ。
「いつまで居るんですか?」と、今度は深掘り。
「そうだなぁ・・・、紅葉を見てから帰ろうかな、と思って・・・。どこかいい所知ってる?登山はダメだよ。」
どこがいい、と聞かれても、私はそんなに名所は知らない。
層雲峡とか、ロープウェイで行く銀泉台と旭岳、滝ノ上の渓谷とか、誰でも言えそうな場所を口にした。
「いろいろな人に聞いたら、オンネトーを勧められたよ。行ってみたら、紅葉してなくても良かったよ。ただボーっと見てるだけで、何時間でも・・・。」
なんだ・・・、もう良い場所知ってるじゃん!
「オンネトーは行ったことがないんです。」
「ぜひ寄って帰りなよ!いい所だったよ!」
内地の人に、北海道の景勝地を勧められ、複雑な心境。
「今回は摩周湖の雲海を見たかったんですけど、今朝はダメ。明日も挑戦しようと思って・・・。」
「あれはねぇ、運だからなぁ・・・。上で泊まってもいいんだけど、寒くてね。」
「私は寒くてもいいんですけど、上がっちゃうと、おトイレが心配。」
「トイレなら第1駐車場にあるよ。」
「でも、有料駐車場だから夜間は閉鎖してるんじゃ・・・。」
「いや、空いてるらしいよ。管理の人が居なくなったら、自由に出入りできるって。車中泊仲間が言ってた。」
「へ~、そうなんですね。」
そんな会話をしながら、今夜の行動を思案していた。
第1のトイレを使えるというのは、意外な好情報だ!
足を浸けているだけで体中がポカポカして、マスクが苦しくなるほどだ。
お互いに道中の安全を気遣って、おじさんと別れの挨拶をした。
車に向かいながら空を見上げると、星が一つ、二つ、と見えている。
「いいかもしれない・・・。」
近くのコンビニで飲み物やパンを買い込んでから、夕食は弟子屈ラーメンの本店に入った。
札幌や千歳空港に支店があり、結構有名らしい・・・知らなかった!
醤油ラーメンを頼むと、黄色く太いちぢれ麺に少ししょっぱいと思うくらいの濃厚なスープ。
私の中の「これぞ北海道のラーメン」を、久しぶりに食べた気がした。
旭川の「〇頭火」なんか、あれは私的に北海道ラーメンじゃないのだ!
満腹で満足した後、道の駅に戻り歯磨きして顔を洗って、車中の寝床を整えた。
夜7時30分。
今から摩周湖に行き、一晩中上で過ごすのは辛い気がする。
なので今から12時頃まで寝て、そして摩周湖に上がるのだ!
そうすれば、星景と朝景を両方狙える!
第1のトイレが使えるなら、長時間の滞在も安心だ。
「よし、寝るぞ!」
山の上でなければ、寒さはそれほどでもない。
けれど、何故か1時間ごとに目が覚めて、あまり熟睡はできなかった。
0時にアラームをセットしたけれど、23時30分頃に目が覚めて、ごそごそ準備をして摩周岳に向かう。
弟子屈町側からのアクセスは、川湯温泉側よりも道の勾配が緩やかで走り安い。
第1駐車場に着くと、出入り口は塞がれておらず、本当に入ることが出来た。
トイレも使えるし、さすが有料だけあって綺麗。
時間外に入るのはルール違反なのか?と心配しながらも、硫黄山で共通の駐車料金は払っているので許して欲しい。
そこから更に進み第3展望台の駐車場に着くと、なんと、白いボックスカーが停まっていた!
「夜景狙いのカメラマンか?」
運転席に人が乗っているのが見えたので少しびびるけれど、勇気を出して展望台に上がった。
昨日同様、防寒は完璧だ!
真夜中1時。遠い町の灯りは、どこだろう?
この暗闇の中でも、長時間露光なら湖を写せるだろうか?
けれど、良~く目をこらすと空には雲が漂っているようだ。
雲の流れが気になって、約20分でシャッターを下ろした。
湖は暗く、空のアングルも中途半端だ。
「仕方ない、空をメインにしよう。」
カメラをもう少し上に向けて、今度は30分の露光に挑戦してみた。
暗闇で待っている時の切なさ。
もう一台カメラがあれば、もっと星空が撮れるのに・・・
待っている間、足踏みしたりスマホを見たりしていたら、ヒソヒソと人の話し声が聞こえてきた。
「え?なに?」
背筋がゾワリとしたけれど、良~く見ると、展望台の別の位置に人が来ているようだ。
おそらく、さっきの白いワゴンの人・・・、二人づれだったらしい。
第3展望台は、道路から階段を登って左右に道が分かれて、両側に見晴らし台がある。
私は左側、彼らは右側に陣取っている、という構図。
暗闇で一人で居るのは、怖い。
でも、他に人が居るというのも、不気味に怖いものだ。
やっと30分経って、シャッターを下ろした頃、お腹がもやもや・・・トイレに行きたくなってきた。
露光30分の後は、データ記録にも30分かかる。
その間に第1展望台に下りて用を足せば丁度いい♪
鹿の出現に気を付けながら坂道を下り、トイレ休憩してから再び第3の駐車場へ・・・。
「お!赤ランプ消えてる!記録終わったね!どんな感じに映ったかな?・・・、え?」
カメラの液晶画面には・・・バッテリー交換の文字が・・・
「そ、そ、そんな~~~~!!!」
保存画像を見ると、写真は残っていなかった・・・データ移行の前に電池切れ。。。
電池残量を確認せずに長時間露光をしてしまったのだ。
いや・・・、確認したつもりで、まだ大丈夫だと勘違いをしたのだ。
確かに、最近、電池の持ちが悪くなっている。
それにしても、長時間露光を連続するのだから、念のため交換しておくべきだった!
え~ん!泣く!!本当に涙が出た!!!夜の貴重な1時間をどうしてくれる!!!!!
全て自分が悪いのだ。泣いたって、どうしようもない。
電池の予備は1個。
これを切らすと、後の撮影が出来なくなる。
車のシガーソケットから充電する器具はあるけれど、エンジンを点けっぱなしにしておくのも環境に悪いし、この一つの電池を大切にしよう。
ブルアワーの星景の後、日の出までカメラは休止。
5時近くなると人が増え始め、昨日の横浜の女性も登ってきた。
再会の挨拶をした。
宿の人に手袋を借りた、と言って、昨日より暖かそうな格好をしていた。
昨日よりは晴れている。
そして、昨日より風がかなり強い。
今日も雲海は現れない。
はるばる横浜から来た彼女が、気の毒だ。
私は地続きの北海道に居るのだから、再挑戦の障害は低い。
「また来い、ってことかな?」と、横浜の女性がつぶやいた。
「うん、また来てください!」彼女と自分に向かって、力強く言った。