スタート10分前。
ちょうどお昼である。たしか放送でスタート地点の気温は26.5度、湿度71%と言っていたような気がした。昨年に比べたら気温は高くない。でも湿度が高かった。この湿度が大敵だ。呼吸が楽ではないのだ。
スタート5分前。
関係者の放送者がスタート前のランナー気分をほぐそうとしてか、余計なことをしゃべっていた。並んでいるランナーに笑いが起こる。多分みんなそれなりに緊張しているのだろう。気温が高くなってきた気がするのは、ランナーの体から発する熱もあるのだろう。それはそうだ。一般参加者の3000人以上が、隙間もないほど寄せ集まって並んでいるのだから。これが冬や雨の日だったら、その体温で湯気が上がり、一面真白に違いない。
スタート1分前。
アナウンスでスタート10秒前まで、もう放送は入れませんと。
そこらじゅうで太ももをたたく音が始まった。気合が入る。
スタート10秒前。
最後のアナウンス。腕時計の表示をストップウォッチに変えた。
「パーン!!!」
号砲が響き渡った。150mほど前方にスタートゲートが見える。前のランナーが次々にスタートしていく。焦っても仕方がない。ゆっくりと歩き出す。徐々に前後の間隔が開いてくる。ゲートの50m手前で”走る”という行為になった。
号砲から約1分ちょっとでゲートを通過。この通過をもって、一般参加の確認とネットタイムの計測が始まるのである。しかし、5km毎の関門タイムは号砲から開始される。最初の5kmだけは、このスタートハンデをみて32分となっている。あとは5kmで28分だ。それでも4時間ギリギリのランナーにとっては1分でも早くスタートしたい。それだけこの5kmで28分というのは大変なのだ。
最初の1kmの入りは約7分。スタートロスを入れても6分/kmペース。まぁ前がつかえてるからしょうがない。焦って抜こうとすれば、右に左に移動しなければならない。それが後半への脚に影響する。もともと最初の5kmはペースは速くなりがちだ。幸いアミノバリューのメンバーH氏とM氏と並走することになり、お互いペースの確認をしながら行くことができた。このあとH氏とは長い道のりを共にすることになるのである。
リラックス、リラックスと言い聞かせながら走る。不思議と暑さは感じない。水分補給が効いているのか。今回は15km過ぎからがスタートだと。それまでは観光気分で走るのだと。給水はあわてず空いているとところで取る。飲みすぎず、その時欲しいと思う程度で良い。但し、毎回必ず取る。少しずつ少しずつ。コースはすべて頭に入っている。それでも頭の中のイメージはいつも走っているサイクリングロードだ。
5kmを過ぎたら15kmまでは長い下りだ。沿道ではみなさんが「がんばれ~」と声援を分け隔てなくくれる。1kmのラップが5分10秒から15秒で安定してきた。そして平岸街道に出る前で10kmの標識を超えた。
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