(4)スキー天国
その日ばかりは、寝不足も気にならない。2月の真夜中。凍てつくような寒さの中で、ダウンジャケットを着た24歳の青年は行動を始める。車にエンジンをかけ、暖気運転を行う。そしてスキーを車のキャリアに括り付ける。吐く息が白い。そうこうするうちに仲間が集まってくる。雪山に出発だ。その前に、一軒、寄る所がある。青年の彼女の家だ。彼女は青年よりも1歳年上だ。歳を聞くまでは、まさか年上とは . . . 本文を読む
(3)真冬のサーファー
21歳の青年は、幼友達の二人といつも馴染みのBARでたむろしていた。青年は、大学に通っていた。他の二人は専門学校を出て、働いていたので多少は金があった。従い、青年は飲む人、友人は金を払う人という役割が自然とできた。その頃、三人は偽者のサーファーだった。髪は長く、服装はサーフ・ブランドのTシャツや花柄のアロハっぽいシャツ、ボトムは少しフレアの入ったジーンズやコーデュロイの . . . 本文を読む
(1) 雨のステーション~天気雨
高校を卒業して、大学に入ったばかりの18才の少年は、高校時代の同級生で、短大に通い始めた彼女と喫茶店で会った。少年は、彼女のことが大好きだった。女の子に愛を告白した経験など一度もない少年は、大変な決意で、しどろもどろになりながら自分の気持ちを伝えた。しかし、彼女はあっさりと「ごめんね。他に好きな人がいるの」と言った。彼女と別れた後、少年はバス・ターミナルで . . . 本文を読む
僕達のような世代にとってユーミンは、青春(少し恥ずかしい言葉だが)のBGMだった。
ユーミンはいつしかJ音楽界の女王様になり、毎年クリスマス前に発売されるアルバムは400万枚を超えるセールスを記録した。
ユーミンは「私が売れなくなるのは、都市銀行が潰れるのと同じよ」と言った。
しかし、絶対に潰れないと思っていた都市銀行が潰れるような時代が来た。
それに伴い、ユーミンのアルバムも以前 . . . 本文を読む
会社のお付きあいで、経済同友会に入っている。23日に開催された夏季セミナーは豪華ゲストスピーカーをお招きし、前半はトヨタの奥田相談役、後半は映画監督の山田洋次氏だった。
山田氏は寅さんシリーズを48本取った松竹のスター監督である。
学生時代、僕は映画研究会で映画を撮っていた。映画研究会では代々引き継がれてきたバイトがあり、それは名古屋駅前の松竹直営の映画館で売店を中心に雑用をこなすことで . . . 本文を読む
富士山の麓にある富士スピードウェイで開催された野外ロック・フェスティバル「UDO MUSIC FESTIVAL 2006」に参加した。
出演するミュージシャンは、バディ・ガイ、プリテンダーズ、CHAR、フォープレイ(ラリー・カールトン、ボブ・ジェームス他)、ドゥービー・ブラザーズ、ジェフ・ベック他多数でインディーズ系の日本のバンドを含めると30もの演奏が4つのステージで行われる。メイン・ステ . . . 本文を読む
あるTVの音楽番組で、ラッツ&スターのお姉ちゃん、鈴木聖美がテレサ・テンの「時の流れに身をまかせ」を歌っているのを見た。
この鈴木聖美の歌を聞いた時、テレサ・テンがいかに偉大な歌手かということに天の啓示のごとく気が付いた。僕にとって、この気付きは衝撃的と言っても過言ではないほど大きなものだった。
鈴木は、フェイクを入れまくって、R&Bっぽく歌った。
彼女がギミック一杯の歌い方をすれば . . . 本文を読む
2005年のベスト・アルバムはこれで決まり。
はからずしも「ミュージック・マガジン」のブリティッシュ・ロック部門でも第一位に選ばれていた。
ポール・ウェラーは、格好いい。
僕は、ポール・スミスの服が好きだ。英国のトラディッショナル・テイストを微妙にモッズ調に尖らせているところがお洒落だ。
ポール・ウェラーが実際にポール・スミスを着ているのかどうかは知らないけれど、僕のイメージの中で . . . 本文を読む
ドラマ版「野ブタ。をプロデュース」は、原作小説を大胆に改編することによって物語りに生き生きとした活力を注入した成功作である。
一時期、TVドラマをよく見た時期があったが、最近は余り見ないので、大きな事は言えないが、2005年のTVドラマのベストのひとつかも。
物語の舞台、設定は原作のものを借りてはいるが、ドラマのテーマは原作とは全く反対側のもの、言わば、原作のアンチ・テーゼとしてこのドラ . . . 本文を読む
日は遡り大晦日。
憧れのNIKITA嬢は、大掃除をして、レコード大賞を十年ぶりに観て、赤いキツネを一人で食べて早寝したそうだ。
らしくない大晦日の過ごし方が、逆にサバサバして、らしい気もする。
僕もレコード大賞を少し観た。
子供の頃、レコード大賞は大きなイベントだった。
大晦日は、掃除を終えると、普段より早くお風呂に順番で入って、すき焼きを食べ(我が家では、すき焼きが一番のご . . . 本文を読む