今日は、南アの小学校の教科書について。
その前に、日本のおさらい。
日本では、義務教育段階の小学校では、
全ての子どもに対して教科書は無償で提供されているのは、ご存知の通り。
(義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律により規定)
そして、配布される教科書は、
教科書検定を無事に通ったもののなかから、
各市町村教育委員会がその地域内の使用教科書を認定しています。
では、南アではどうでしょうか。
南アでは、義務教育段階で教科書無償配布はありません。
(ノートとペンは少数ですが年度初めに無償で配られます。詳しくはこちら)
また、教育委員会から
「これを使いなさい」といった指示はありません。
あるのは、年間カリキュラムのみで、「これを教えなさい」という紙切れだけが届きます。
もちろん南アの学校にも教科書会社があるのですが、
教科書が無償ではないこと、また人口比で子どもが多すぎることなどの
複数の要因が絡んで、一部の学校に限定されています。
ということで多くの子どもたちは、
各担任が決めた教科書を2~3人でシェアして勉強しています。
その結果、授業の大半を、黒板にある説明や練習問題を写すことに費やします。
これでは、写し間違いをしたり(参考記事はこちら)、
宿題の際、分からないときの参考図書がなかったりと
はたから見ると、効率は非常に悪いです。
(南アに来て、改めて教科書の重要性を感じました。)
それが座学中心の一方通行な授業の原因とも思います。
そんなことを考えている矢先、
昨年、南ア政府により全ての小学校に
全ての子どもたちに教科書が配られると発表されました。
多くの先生たちが、
本当にそんな予算があるのかと疑問視していましたが、
そこはさすが南ア、アフリカ随一のrichな国。
今年初めに届きました。
対象は、Gr.1から6までの全ての子どもに対して、
算数科と現地語のテキストが届きました。
中を開けてみると、びっくり。
全面カラー印刷で、写真もふんだんに盛り込まれていて、
とても楽しそうな冊子でした。
しかし、よく見るとお分かりいただけますでしょうか。
これは、教科書ではなく、ワークブック。
数の公式について、解説もほとんどなく、
理解できない子どもたちにとっては、ただ問題集としてしか使えません。
また、このワークブックの内容と
州政府から来たカリキュラムとが結構ずれていて使いずらい、
さらに、このワークブックの位置づけがCIから説明されていない点など、
数々の問題を抱えていますが、
ともあれ、一歩前進といったところでしょうか。